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トム・ストッパード監督『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』ハムレットの裏側



<作品情報>

シェイクスピアの戯曲「ハムレット」の脇役ローゼンクランツとギルデンスターンを主役に据え直し、「ハムレット」の世界を“脱構築”した非常に演劇臭の強い魔術的文芸映画。90年ヴェネツィア国際映画祭グランプリ作品。監督・脚本は原作戯曲('66年初演=劇書房刊)の作者で、「未来世紀ブラジル」「太陽の帝国」などの脚本を手がけてきたトム・ストッパードで、これが彼の映画監督第一作となる。撮影はピーター・ビジウ、音楽はスタンリー・マイヤーズが担当。巻頭巻末に挿入歌として、ピンク・フロイドの「シーマスのブルース」が使われている。出演はゲイリー・オールドマン、ティム・ロスら英国若手舞台俳優に、アメリカからリチャード・ドレイファスが加わっている。

1990年製作/イギリス
原題または英題:Rosencrantz and Guildenstern are dead
配給:CFD
劇場公開日:1991年6月29日

https://eiga.com/movie/50952/

<作品評価>

65点(100点満点)
オススメ度 ★★☆☆☆

<短評>

おいしい水
『ハムレット』に登場するハムレットの学友ローゼンクランツとギルデンスターンの視点から描いた作品です。ひたすらに哲学的で無意味な会話が繰り返される構成には気が狂いそうでした。
冒頭からコイントスをして「表、表」と言い続けたりとセリフの反復が多いです。そのくせほとんどそれらは意味をなさない。ローゼンクランツとギルデンスターンは自身の状況を案じるのみで何も分かっていないのです。
人の愚かしさが主題でしょうか。どんな状況になっても人は自分のことさえ分かっていないのです。ましてや他人のことなど分かるはずがないですよね。ローゼンクランツとギルデンスターンは死んでいるも同然の存在なのです。
面白いかと言われるとつまらない部類ですが、無意味な言葉が交わされ続けるある種のトリップ感がある映画でした。

吉原
世界一有名な悲劇「ハムレット」のモブキャラであるローゼンクランツとギルデンスターンを主人公にしたコメディを鑑賞しました。日本ではこの作品のDVDが入手困難なため、米国iTunesで視聴しましたが、非常に面白かったです。
本来、悲劇であるはずの物語が面白おかしく描かれていると、どうしてもチープに感じられそうなものですが、この作品では意外にも高尚さを保っています。特に、演劇一座が演じている「ゴンザーゴ殺し」が、王の前で演じられるだけにとどまらず、「ハムレット」の物語そのもの、さらにはこの作品自体にもなっている点が非常に興味深いと思いました。 
主人公のローゼンクランツとギルデンスターンを演じたゲイリー・オールドマンとティム・ロスの演技も非常に素晴らしかったですが、ハムレットを演じたイアン・グレンも見事でした。個人的にはケネス・ブラナー版の「ハムレット」が一番好きですが、ハムレットは誰が演じても特徴的で魅力的な役だと思います。

<おわりに>

 「ハムレット」の脇役二人を主役にするという変化球映画です。シェイクスピアに興味があれば楽しめるのではないでしょうか。

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