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アン・リー監督『ラスト、コーション』上海を舞台としたラブサスペンス


<作品情報>

「ブロークバック・マウンテン」で05年度アカデミー監督賞を受賞したアン・リー監督が、再び禁断の愛を描いたラブサスペンス。1942年日本軍占領下の中国・上海を舞台に、抗日運動の女性スパイ、ワン(タン・ウェイ)と、彼女が命を狙う日本軍傀儡政府の顔役イー(トニー・レオン)による死と隣り合わせの危険な逢瀬とその愛の顛末が描かれる。第64回ベネチア国際映画祭では金獅子賞とオゼッラ賞(撮影賞)のダブル受賞を果たした。

2007年製作/158分/アメリカ・台湾・中国・香港合作
原題:色,戒
配給:ワイズポリシー
劇場公開日:2008年2月2日

https://eiga.com/movie/53341/

<作品評価>

60点(100点満点)
オススメ度 ★★☆☆☆

<短評>

上村
アン・リー作品はどれもよくてかなり期待していた。のだが、期待が大きすぎたかな。そこまで入り込めなかった。レベルは高いし演技は素晴らしいんだけど…
技術面では文句は一つもない。撮影、美術、衣装とどれをとっても一級品。当時の西洋と中国、日本の様式が混じり合った建物や衣装は素晴らしい。みているだけでリッチな気分になる。
トニー・レオンとタン・ウェイの演技はもちろん、その佇まいからして色気が匂い立つよう。トニー・レオンは最初からなのだが、タン・ウェイは夫人になりきるうちに本物になっていく。その見せ方がいい。
後半その関係性が変わっていき、指輪のシーンでは完全に逆転してしまう。「ああ、この人は本当に…」という表情が悲痛すぎた。それをセックスシーンでも表現しているのが見事。鏡や窓、ガラスを使った演出もいい。
ただ2時間半超えはさすがに長かった。特に前半が長すぎる。みたいのは後半なんだからさっさと切り上げてほしかった。
端正でよく考えられたレベルの高い作品ではあるが、途中で飽きてしまう。文句は特にないのだが、イマイチ乗り切れず。

吉原
日本の支配下における香港と上海を舞台に、日本側の特務機関員の男と彼の暗殺を企む女スパイの掛け合いを激しい性愛描写で描いている。全体を通してみると、面白い映画だったが、これと言って凄く良かった場面もないし、心に残ったのはラストの切なさと過激なセックスシーンだけだった。
アン・リーの映画って撮り方もオシャレだし、面白い映画が多いんだけど、どうしても何処か引っかかる感じが否めない。無駄に上映時間が長いせいもあるのかもしれないが多くの作品が非常に惜しい。
すごく気になったのは、終盤トニー・レオンが渡した指輪の箱がおそらくCartierのものだったと思うが、この時代から今に至るまでデザイン変わってないのか否かという全くもってどうでもいいことだった。

<おわりに>

 アカデミー賞監督でもあるアン・リー作品です。アン・リー作品さすがのクオリティは認めつつ、全面的に肯定はできない作品です。

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