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ジョン・シュレシンジャー監督『真夜中のカーボーイ』都会の孤独を描いたニューシネマ



<作品情報>

ジョン・ボイトとダスティン・ホフマン共演によるアメリカン・ニューシネマの名作。大都会ニューヨークで生きる若者たちの孤独と友情を描き、第42回アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚色賞を受賞した。テキサスの片田舎からニューヨークへやって来たカウボーイ姿の青年ジョーは、自身の肉体と美貌を武器に金持ち女性の相手をして富と名声を得ようと考えていた。しかし最初の客に騙され、逆に金を巻き上げられてしまう。そんな彼の前に、足の不自由な詐欺師ラッツォが現れる。2人はともに底辺から這い上がろうともがくうちに奇妙な友情で結ばれていくが、ラッツォは深刻な病に侵されていた。監督は「ダーリング」「遥か群衆を離れて」のジョン・シュレシンジャー。

1969年製作/113分/PG12/アメリカ
原題:Midnight Cowboy
配給:ユナイト
劇場公開日:1969年10月9日

https://eiga.com/movie/49731/

<作品評価>

80点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆

<短評>

おいしい水
素晴らしい!これは映画としてすごく面白く、そして革新的です。もろアメリカン・ニューシネマのこの作品がアカデミー作品賞とれたという事実が驚きしかないですね。
時系列関係なく、というか未来に起こるかもしれないことまでごちゃまぜにしたフラッシュバックの編集の迫力が凄いです。多くを言葉では説明しないこの映画の文法がすごく好きでした。
ダスティン・ホフマンがよかったです。終盤はもう汗だくでどうしようもなくなりながらも二人の極貧生活に微かな希望を見出しているような切なくて痛々しい言動に泣きました。
世界の片隅で生きるどうしようもない人々をそのまま切り取って、でもそこに微かな救いを求めています。二人の関係性がすごくよかったです。自分の好きなことだけでは生きられない。現実を受け入れるという残酷なことを見事に描いた傑作です。

吉原
田舎町からモテる生活を夢見てニューヨークに出てきた似非カウボーイが生活の違いや人と人の関係が軽薄な都会の街の雰囲気に揉まれて翻弄する物語。ジョン・ヴォイド演じるカウボーイとダスティン・ホフマン演じる胡散臭い男二人の友情を描いた物語で、なかなかにセンセーショナルかつ過激なシーンも少なからず存在します。
1969年とは思えない様な描写が多く、当時はかなり衝撃的だったのではないでしょうか。今の映画では当たり前の様に使われている演出が用いられており、この作品から影響を受けた作品は少なからず存在すると思います。主題歌の「Everybody's Talkin'」も劇中で効果的に使われていてとても印象的です。
今となってみると、よく作品賞を取ったなと思う様な内容ですが、当時の時勢としては必然的だったのかもしれません。今で言えば「エブエブ」の様な作品も取るわけだし、その時代時代の嗜好が反映されてるわけですね。三大映画祭だけでなく、アカデミー賞も分析すると面白いです。

<おわりに>

 アメリカン・ニューシネマの代表作とされる本作、地味ですがとてもいい作品でした。

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