『西参道シネマ』ブログ by zelphis

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zelphis(ゼルファイス)は映像制作、映画ライターなどの経験のある男性。 https://twitter.com/_zelphis

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ようこそ。 有料となっていますが、すべて無料で読めます。 「面白い」と思った方は購入または投げ銭を。シェアサイトみたいなものです。次の記事執筆の励みになります。よろしくお願いします。 by zelphis (ゼルファイス)

    • 『野獣の青春』 鈴木清順監督のエンターティメント傑作。こんな映画があったんだ。

      評価 ☆☆☆ あらすじ 謎の男が街にやってくる。ふたつの勢力のうち、のし上がろうとしている暴力団の縄張りで暴れている。チンピラたちにケンカを売り、キャバレーでは金も払わずに飲み放題。男は、暴力団に自分を買わないかと言い出す。 『野獣の青春』は1963年に公開された鈴木清順監督作品。出演は宍戸錠、川地民夫など。本格的なハードボイルドである。物語は二転三転するので、ここでは伏せておくけれど、このストーリー展開は、現在の、さまざまな香港、韓国映画に影響を与えている。黒澤明の『用

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      • 『ナショナル・トレジャー』 ゲームみたいなご都合主義。タートルトーブ監督もお金に目がくらんだ?

        評価 ☆ あらすじ 1974年、アメリカのワシントンDCにベンというひとりの少年がいた。好奇心旺盛なベンは自宅の屋根裏部屋で、ある年代物の書籍を発見。祖父であるジョンにこの書物に関すると、祖父はある歴史について語り出した。それは、1832年のことだったという。 ジョン・タートルトーブ監督は『クールランニング』、『あなたが見ている間に……』、『フェノミナン』など、良質な映画を撮ってきたことで知られている。 しかし、2004年公開の『ナショナル・トレジャー』は違っていた。出

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        • 『スター・ウォーズ エピソード3 / シスの復讐』 評価のポイントはラストカット。ルーカス監督の本領発揮。

          評価 ☆☆ あらすじ 遠い昔、はるか彼方の銀河系で…。銀河共和国と分離主義勢力との間に勃発した“クローン大戦”は約3年が経過。戦局は悪化の一途をたどる。銀河の平和と秩序を司るジェダイ騎士団は共和国軍へ。クローントルーパー部隊と共に分離主義勢力のバトル・ドロイド部隊と激しい戦いを繰り広げていた。 このシリーズの感想はネット上にいっぱいあっても『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』のラストカットに関する分析、考察は少ない。もちろん、映画はラストカットだけではない。

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          『八甲田山』 映画興行は『ロッキー』以上の大ヒット。上層部の判断ミスはホラーより怖い。

          評価 ☆☆☆ あらすじ 1902年、いずれはロシアと戦争になると考えた明治政府は極寒の地で戦うため、雪中行軍の訓練を考えた。弘前第八師団の友田は、青森第五連隊の神田と弘前三十一連隊の徳島に「雪の八甲田山を歩いてみたいと思わないか? 」と提案。違うルートで行軍して雪山ですれ違うよう計画した。 怖い映画だ。ホラーである。この映画を観て怖いと思わないひとがいたら不思議なくらいだ。それが、1977年公開の『八甲田山』。監督は森谷司郎。出演は高倉健、丹波哲郎など。 何が怖いか? 

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          『七人の侍』 黒澤明の最高傑作。これを観ずして映画を語るなかれ。

          評価 ☆☆☆☆ あらすじ 世は戦国時代。野武士たちがある村にやってくる。馬に乗った野武士たちが村を襲うかどうかを相談していた。それを聞いていた村人が村の長老に相談することにした。長老は「やるべし、侍を雇うのじゃ」と答える。 映画の面白さとは何か? まだよくわからないところはある。ただし、観客を満足させるという意味で、この『七人の侍』を越える作品はなかなかない。この映画は1954年に製作された黒澤明監督作品。出演は三船敏郎、志村喬など。キャラクター設定、ストーリーの展開、セ

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          『ガタカ』 『エデンの東』がモチーフか? カインとアベルの未来の物語。

          評価 ☆☆☆ あらすじ 近未来、遺伝子の操作で優秀な人間「適正者」を産むことができるようになった。結果、遺伝子操作を受けていない「神の子」は、遺伝子操作を受けた「適正者」より差別的な扱いをされる世界となった。「神の子」であるヴィンセントには「適正者」である弟がいた。 「遺伝子操作によって優良種だけが優遇される社会を舞台にしたSF作品」。1997年公開の『ガタカ』はそんなふうに宣伝されている。監督はアンドリュー・ニコル。出演はイーサン・ホーク、ユマ・サーマンなど。この作品を

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          『水の中の八月』 地方映画の傑作でもある。アート系、セカイ系の行き着く果て。

          評価 ☆☆ あらすじ 高飛び込みのオリンピック候補選手、葉月泉。女子高生である彼女はイルカのプールで、高校の先輩、桑島真魚という男性に出会う。雨の日、ずぶ濡れになりながら登校する泉をバイクに乗った真魚が声をかけた。 『水の中の八月』は石井聰互監督(現在は石井岳龍監督)の1995年の作品。石井監督の映画はある意味予言書でもある。出演は小嶺麗奈、青木伸輔など。1976年の『高校大パニック』(8ミリ版)はアメリカで多発する高校での銃乱射事件を予見し、1980年『狂い咲きサンダー

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          『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 タイムトラベルシーンは『バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー』。良い脚本はすべてを凌駕する。

          評価 ☆☆☆☆ あらすじ 1985年のある朝。ヒルバレーに住む高校生男子マーティンは、いつものように変人老発明家のドクの家に立ち寄った。ドクは不在だったが「すごいものを発明した」と電話が。マーティは学校に遅刻しそうになりながら、得意のスケボーで学校に向かった。 黒澤明は「よくできた脚本からはよくできた映画が作られることはあっても、できの悪い脚本からは良い映画は作れない」と言っている。 1985年公開の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は脚本がとてもいい。監督はロバート・

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          『プレステージ』 映画のあらすじ自体がネタバレ。タネ明かしはしないほうがいい。

          評価 ☆☆ あらすじ 19世紀末のロンドンでふたりのマジシャンが人気を二分していた。ひとりは華麗なパフォーマンスが得意なアンジャー。見事なマジックを発案するボーデン。ふたりは互いにライバル的存在だった。ふたりとも師匠・ミルトンの下で修行を積んだ門下生だった。 2006年公開の『プレステージ』はヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベールが出演した、19世紀末のロンドンを舞台にした手品師たちの物語。監督はクリストファー・ノーラン。 ノーラン監督作品は構成が凝っていて一度観た

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          『人魚伝説』 1984年に制作されたとは思えない先見性。殺戮シーンは圧巻。失笑を越えて涙する。

          評価 ☆☆ あらすじ 漁師の佐伯啓介と妻で海女のみぎわは船で沖に出て、アワビ漁を行って生計を立てていた。ふたりが住む町では巨大レジャーランド施設の建設が計画されている。反対派の啓介はスナックで酔にまかせてクダを巻いていた。泥酔状態の啓介を友人でカメラマンの宮本祥平は自宅まで送り届けた。 1984年に制作されたとは思えない先見性を持つ映画。池田敏春監督の代表作『人魚伝説』をやっと観ることができた。原作はカルト漫画家として知られる宮谷一彦。脚本は西岡琢也、音楽は本多俊之、撮影

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          『ゴーン・ガール』 夫婦関係ではなく、格差社会の風景が描かれた社会派サスペンス。

          評価 ☆☆ あらすじ 中年男性のニックと妻のエイミーは愛し合って結婚したはずだった。ところが今の関係は冷めきっている。ニックは妹マーゴが働いているバーで酒を飲んでいた。家に帰ると部屋の様子がどうもおかしい。エイミーがどこにもない。消えてしまったのだ。 「あなたは愛する人のことをどれだけ知っていますか?」 映画『ゴーン・ガール』のキャッチフレーズである。これを見て笑ってしまった。愛する人だからこそ知らない方がいいことが山のようにあることは誰もが知っている。 夫婦とはお互い

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          『夜叉』 サントラがおすすめ。すべてが時代遅れになることへの悲哀と郷愁。

          評価 ☆☆ あらすじ 若狭湾の小さな港町。そこで漁師として働く修治はかつて大阪で「人斬り夜叉」の異名で恐れられたヤクザだった。15年前に足を洗った修治は、妻と母と静かに暮らしていた。修治の背中に夜叉の刺青が彫られていたが、そのことを知っているのは冬子とうめだけだった。 高倉健の追悼として何を取り上げようかと考えたが良いのが見つからない。映画として面白いが高倉健の映画としてはいま一歩のものもあるし、逆もある。そんな中、久しぶりに観たいと思ったのは『夜叉』だった。 1985

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          『影なきリベンジャー 極限探偵C+』 極限探偵シリーズにハズレなし。タイにはオキサイド・パン監督がいるのだ。

          評価 ☆☆ あらすじ チャン・タムは落ちぶれた探偵をしている。タイの中華街に事務所を持っていた。ある日、フェイロンという男がやってきた。酔っ払っていた。彼は一枚の写真を持っている。その写真に写っている女性はフェイロンを殺そうとしているという。 探偵ものは本当にゴマンとある。五万じゃないですよ(某サイトの編集長が「最近のサイトには誤字が五万とある」と書いていた。おいおい)。しかし、映画館内に住んでいる探偵は『影なきリベンジャー 極限探偵C+』のチャン・タム(アーロン・クォッ

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          『オール・ユー・ニード・イズ・キル』 映画としては古臭いタイプの戦意高揚もの。鈍感な人間ほどハマる。

          評価 ☆ あらすじ ある日、ハンブルク郊外に謎の隕石が落下した。しかし落下したのは隕石ではなく擬態したエイリアンだった。彼らは5年かけてヨーロッパを侵略。世界各地に飛び火しつつあった。エイリアンと戦うために組織された「統合防衛軍」は、機動スーツと呼ばれる最新鋭パワードスーツを導入、日々、戦闘を繰り広げていた。 昔、ノストラダムスの大予言ブームがあった。「1999年にはきっと世界は滅ぶんだ」と思って勉強しなかった子供たちもい。世界は滅ばなかったけれど、勉強しなかった自分の人

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          『君よ憤怒の河を渉れ』 中国で大人気。滅茶苦茶な設定で、滅茶苦茶なラストだけど「面白い」。

          評価 ☆☆ あらすじ 新宿の雑踏にいた東京地検検事である杜丘は、突然、見知らぬ女性から「私を強姦して、現金とダイヤを盗んだ犯人よ」と大声で叫ばれる。緊急逮捕された杜丘だったが、取り調べの中で、さらに別の男から「カメラを盗んだのはこの男だ」と窃盗の容疑をかけられる。 いろんな映画を観てきたし、いろんな小説を読んできた。自分が面白いと感じる作品の多くはこぢんまりとした話が多い。世界を救う話とか、壮大なスケールの物語とかも悪くないが、そんなものを観ていると次第に醒めてくる。なん

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