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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 タイムトラベルシーンは『バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー』。良い脚本はすべてを凌駕する。

評価 ☆☆☆☆



あらすじ
1985年のある朝。ヒルバレーに住む高校生男子マーティンは、いつものように変人老発明家のドクの家に立ち寄った。ドクは不在だったが「すごいものを発明した」と電話が。マーティは学校に遅刻しそうになりながら、得意のスケボーで学校に向かった。



黒澤明は「よくできた脚本からはよくできた映画が作られることはあっても、できの悪い脚本からは良い映画は作れない」と言っている。



1985年公開の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は脚本がとてもいい。監督はロバート・ゼメキス、出演はマイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイドなど。3シリーズが製作されているが、特にパート1が素晴らしい。シンプルで話がまとまっている。パート2やパート3はゴテゴテしすぎていて、後付って感じが否めない。僕はパート1を何度観たかわからないが、見直すたびに「良く書けているなぁ」と思ってしまう。



さらに、この映画の根底には未来に対する希望がある。かつてハリウッドが、アメリカが持っていた信じられないくらいの楽天さがある。ただし、その明るさを感じるにはアメリカが未来を信じていた1960年代に戻らなければいけないというのはちょっと皮肉な話でもある。



それでもこの映画は観客を勇気づける。努力すればいつか未来は変えられるのだと。現実世界が悲惨になっている中で、この明るさは再評価に値する。タイムマシンがデロリアンというアメリカ車なのも象徴的である。



この映画に影響を受けた作品は多い。邦画『サマータイムマシン・ブルース』はちょっと変わっていた影響下にある作品だ。物語は日本の平和を謳歌する大学生たちの、何とも言えない夏休み的空気感が漂う映画だが、設定がほぼ『バック・トゥ・ザ・フューチャー』である。



逆に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に影響を与えているのが『バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー』だろう。ロックンロールとタイムマシン、スピードを上げるとタイムスリップするという発想もここから来ている。タイムスリップシーンはそっくり。



当時、ロバート・ゼメキス監督はほとんど知られていなかった。この映画のヒット後、ゼメキスの初期の映画を観直すことができた。その中では『抱きしめたい』がいい。ビートルズに憧れ、彼らのホテルに侵入するファンの話。さて、ビートルズなんて出演してくれるわけもなく、そっくりさんでも使うのか? ふふふ、観て下さい。



ネットを探していたらマイケル・J・フォックスもクリストファー・ロイドの近影を見つけた。年を取ったね。無理もない。30年だぜ。いろいろあったんだろう。特にマイケルは病気に苦しんでいるというが、そのことがよくわかった画像だった。でもがんばっていた。涙である。シリーズ4の制作も待たれているが、いったいどうなることやら。



それでもアラン・シルヴェストリ作曲のメインテーマがかかり、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの「パワー・オブ・ラブ」が彼らのバックに聞こえるとワクワクする。いい映画だ。



さらにさらに、些細なことで申し訳ないが、ジェニファー役のクラウディア・ウェルズ。パート2からエリザベス・シューになったが、やっぱりクラウディアの方がいいと思いません? エリザベス・シューも可愛いんだけど。



追記




『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のビハインド情報がオープンになりつつある。エリック・ストルツ版では冷蔵庫がタイムマシーンだったとか、ご年配になったクラウディア・ウェルズとか。いやぁ、この映画、実は奇跡のように偶然が重なってできてたんだね。



初出 「西参道シネマブログ」 2015-10-23



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