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『七人の侍』 黒澤明の最高傑作。これを観ずして映画を語るなかれ。

評価 ☆☆☆☆



あらすじ
世は戦国時代。野武士たちがある村にやってくる。馬に乗った野武士たちが村を襲うかどうかを相談していた。それを聞いていた村人が村の長老に相談することにした。長老は「やるべし、侍を雇うのじゃ」と答える。



映画の面白さとは何か? まだよくわからないところはある。ただし、観客を満足させるという意味で、この『七人の侍』を越える作品はなかなかない。この映画は1954年に製作された黒澤明監督作品。出演は三船敏郎、志村喬など。キャラクター設定、ストーリーの展開、セットや小道具などの美術、どれも非常に完成度は高い。



さまざまな映画を観てきたが、やはり『七人の侍』のクオリティの高さを痛感せざるをえない。監督の黒澤明ですら、この映画を越える作品を後に作りあげたかというと疑問だ。この映画が、1954年に製作されたことにただただ驚くばかりである。



志村喬、三船敏郎、宮口精二、木村功、千秋実、稲葉義男、加藤大介、彼らが演じた登場人物たちはそのまま彼らと一体化し、キャリアとして刻み込まれ、私たちの記憶にある。どのキャラクターも興味深いが、特に勘兵衛のリーダーシップ、菊千代の大らかさ、久蔵のストイックさは素晴らしい。



確かに音声が聞き取りにくいというマイナス面はある。映像や音声をリマスタリングして欲しい。もちろん、現在のままでも十分なのだが。



この映画は武士の戦いのリアリティを追求したという話をよく聞く。だが、黒澤明的リアリティであって、実際がどうかという議論は意味をなさない。司馬遼太郎の小説の司馬史観みたいなもの、として捉えるべきだろう。



いまさら、この映画の素晴らしさを語っても仕方がない。むしろ、この映画を観ないままで映画を語るというのはいかがなものか? それだけは示しておきたい。



同時にまだ観ていない人には、かつてシネマプロダクションという映画サークルで私が聞いた先輩からのメッセージを送りたい。



「君は幸せだ。これから本当の映画の面白さを知ることができるのだから」



初出 「西参道シネマブログ」 2016-01-04



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