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『影なきリベンジャー 極限探偵C+』 極限探偵シリーズにハズレなし。タイにはオキサイド・パン監督がいるのだ。

評価 ☆☆



あらすじ
チャン・タムは落ちぶれた探偵をしている。タイの中華街に事務所を持っていた。ある日、フェイロンという男がやってきた。酔っ払っていた。彼は一枚の写真を持っている。その写真に写っている女性はフェイロンを殺そうとしているという。



探偵ものは本当にゴマンとある。五万じゃないですよ(某サイトの編集長が「最近のサイトには誤字が五万とある」と書いていた。おいおい)。しかし、映画館内に住んでいる探偵は『影なきリベンジャー 極限探偵C+』のチャン・タム(アーロン・クォック)か濱マイク(永瀬正敏)くらいだろう。



『影なきリベンジャー 極限探偵C+』は2007年制作の作品だが、日本公開は2014年。監督はオキサイド・パン。出演はアーロン・クォック、リウ・カイチーなど。



探偵チャン・タムはタイの中華街で謎の事件に遭遇し、行く先々で殺人事件と遭遇し、自分も狙われるようになる。冒頭シーン(「Mi Panda」は最高!)とさまざまなショットは、往年の日本のアウトロードラマを彷彿とさせる。アーロン・クォックは若く見えるが映画公開時点で42歳だったらしい。ほんとに? 下手したら20代半ばくらいに見えないか? カーアクションがあったり、橋の上から飛び降りたり、すごいです。



特にこのカーアクションが面白い。数多くの映画を観てきたがあんなカーアクションの結末は見たことがなかった。「他と違った映画を作るんだ」というオキサイド・パン監督の気持ちが伝わってくる。そういう意気込みを感じさせてくれる映画は良いです。



パン監督はサスペンスタッチの演出、映像作りが上手い。ライティングや撮影にはそんなに費用がかかっているとは思えないけれど、スピード感と迫力がある。なかなかできることじゃない。編集も上手いし、全体的なルックも魅力的。猥雑としたタイの中華街が見事に描かれている。



ただし、脚本は雑すぎて話は空回り。確かにこれまでにない脚本かもしれないが、途中から結末が見える。事件が事件を呼ぶという巻き込まれ型サスペンスだから、全体を通じての柱が必要なのはわかるけど、結末としてあれはないという感じ。もっとパン監督に適した脚本がありそうだ。



奇妙な脚本であっても、オキサイド・パンの演出と映像のセンスは本当に素晴らしい。日本で映画かドラマを撮影しないかな。面白いものができそうな気がする。かつて濱マイクという探偵シリーズがあったのを知っている人はいるだろうか? 横浜を舞台に、さまざまな監督によって一話ずつ撮影されるという意欲的というか実験的な試みだった。視聴率は悪かったが面白いかったですよ。



やっぱり映画監督は結果を出さないと次を撮ることはできないらしい。自己満足で終わる作品ではどうあがいても結果は出ない。ちなみに『影なきリベンジャー 極限探偵C+』はヒットして、その後、第2作『冷血のレクイエム 極限探偵B+』、第3作『コンスピレーター 謀略 極限探偵A+』と続編が作られた。どれも外れがないのだ。パン監督すごいね。それにしてもさ、CからAになる続編の並べ方ってわかりにくくないかな?



初出 「西参道シネマブログ」 2014-12-27 



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