夏のバラードで一番好きな曲はGLAYの「Special Thanks」かもしれない
めるるがテレビで「ミスチル知らない」って言ってましたけど、今の若い子ってGLAYを知ってるんだろうか。
ギリギリGLAY全盛期を知っている32歳の僕は10代前半の頃にドはまりして、今でもたまに聴いています。
そんな僕が、GLAYの楽曲の中で特に好きなのが「Special Thanks」。
「HOWEVER」や「ずっと2人で…」なんかに比べると知名度は低いかもですが、個人的にはJ-POP史上にも残る名曲だと思っております。
当然メロディも素晴らしいんですが、TAKUROの書く歌詞って抒情的で実に良いものが多いんですよ。
僕の大好きなB'zやMr.Childrenとはまた違った良さがあって。
字面で見ただけでも美しいというか、良い意味でちょっとカッコつけてるんですよね。
これが出だしの歌詞なんですけど。
実に美しくないですか?
この出だしだけで85%名曲なのがわかるというか。
その後も、
と、実に詩的なフレーズが続く。
どことなくひと夏の恋、運命的な出会いを想起させます。
「1秒先も見えなくても、名前を口にすれば幸せ」な恋なんて、人生に一度出会えるかどうかなんじゃないかな。
サビの歌詞はメロディに載せて聴くと実に印象的です。
「~〇〇を」というフレーズの畳み掛けって中々他の曲ではないものですよね。でも、投げっぱなし感がなく曲にうまくハマっている。
そして、TAKUROにとって人生とは「儚さで綴る」もので。
恋することで生まれる奇跡的な瞬間は儚さに満ちた人生の中で至福の瞬間である、と表現しているんですね。
実にポエミーですけど、個人的には非常にセンスが良いと思います。
サビ後半のセクションでは、主人公の後悔が描かれています。
今まで歌詞で描かれたストーリーは、冒頭で歌われていた「道の向こうにある戻れない夏」、つまり過去の話であることが暗示される。
歌詞が切ないことはもちろんなんですが、この曲は夏という季節が持つ特異性を実にうまく使っていると思います。
夏って、多くの人のノスタルジーを刺激する季節だと思っていて。
夏休み、海、緑、夏祭り、ひと夏の恋…多分、経験したことがない人はあまりいないはず。
この曲は、万人が夏という季節に持っているノスタルジーをうまく刺激するんですよね。
そして、キモとなるのがサビ締めのこの歌詞。
冒頭の「道の向こうに戻れない夏がある」と並ぶキラーフレーズです。
何一つ特別な言葉は使っていないのに、TERUの歌いっぷりも相まって非常にグッとくる。
同時に、この曲に「Special Thanks」と名付けるTAKUROのセンスも素晴らしい。
この表現って、映画のエンドロールやCDのクレジットなんかでよく見ますよね。
作品作りの中心を担った人は、当然スタッフとして名前が表示される。
「Special Thanks」は、中心ではないけど感謝を伝えたい相手に対して用いる表現。
TAKUROは人生を一本の作品と捉え、ひと夏の思い出を共に過ごしてくれた彼女に対しての気持ちを「Special Thanks」として表現したのではないでしょうか。
いやー、すげえセンスだ。
ギターソロ後のこのフレーズが、よりそんな推論を加速させる。
秋を告げる海鳴りに時の流れを感じる。
そして、誰の中にも忘れ得ぬ人がいる。
ただただ流れていく時の流れと、忘れられない人が自分の中にいることを受容する歌詞。
この無常観と寂寥感が美しい。
夏に聴くと切なくなれること請け合いの名曲です。
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