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君のいない毎日

仕事帰り、よくコンビニに立ち寄る。
ここで雑誌を立ち読みして、明日の朝食を買って帰る。それが帰り道のルーティンだ。

いつも通りコンビニ内に入って窓際の方に向かうと、雑誌にゴム紐がかけられていた。
どうやら立ち読み対策をするようになったらしい。

残念だけど、これじゃ読めそうにない。
しょうがないから、明日の朝食だけ買って帰ろう。
僕は3年間ほぼ毎日買っているヨーグルトと菓子パンを手にとって、レジに向かった。

コンビニを出て、少し歩くと家に着く。
帰り道、ふと君のことを思い出した。

いつも2人でこのコンビニに寄って、次の日の朝食を買って帰っていた。
帰り道は、決まって手を繋いで。
君を歩道側にして、家まで歩いた。

もう、歩道側か車道側か気にする必要もない。
ヨーグルトも菓子パンも、一人分だけで良い。
コンビニでの立ち読みが禁止になったことを、愚痴る相手もいない。

なんとなく、空を見上げた。
都会の空にはあまり星も見えない。

『実家の方では、もっと星が見えたのにな』

一年前の今頃、君がそんなことを言ってた気がする。
あれは寒い日だったから、きっと今ぐらいの季節だったはずだ。
そう考えたあと、思わず苦笑いが浮かんだ。

上を見ても下を見ても、君を思い出してしまう。
僕は、昨日の帰り道のことさえもほとんど覚えていないのに。
何気ない話をした一年前のことは、はっきり覚えているみたいだ。

君がいない毎日は、いつ当たり前になるんだろう。
三ヶ月経った今も、僕は慣れないよ。

僕のいない毎日は、君の中ではもう当たり前になっているのかな。

できれば僕が、君のいない毎日に慣れるまで。
君も一緒の気持ちであって欲しいと思う。

僕だけ覚えていたら未練があるみたいで、なんだか悔しいから。

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