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【哲学入門】世界一わかりやすい現象学的還元 フッサール ハイデガー

先に結論だしてから、補足していきます。
結論はこれ

・人間は脳内で再構成された世界しか観測できない→現象学的に物を見る
・言葉(概念)の意味定義を掘り下げよう、概念を成り立たせる条件そのものを掘り下げよう→還元

現象学的還元とは
→現象学的に物を見ることを前提にして、認識の根本を還元しよう。
→人間は脳内で再構成された世界しか観測できないってことを前提にして、言葉(概念)の意味定義を掘り下げよう、概念を成り立たせる条件そのものを掘り下げよう。

ここから補足説明。流れとしては
・人間が物を見るしくみをサラッとコピペしてから
→絵描きを例えにして人間の認識のしくみをわかりやすく解説
→人によって見えてる世界が違うことを、タバコは悪なのかって問題を例に解説
→最後に、人によって「日本の伝統とは何か?」の考えが違いすぎることを例にして、現象学的還元を使えば、「伝統とは何か」を掘り下げられるってことを話します

動画版もあるよ



物を見るしくみと絵描きの比喩



要するに、物体が反射した光→目→網膜→視神経→脳 と、物を見るときは、物体が反射した光を目で受け取って、最終的には脳で見ているといえる

引用元https://holdings.panasonic/jp/corporate/sustainability/citizenship/pks/library/019vision/vis001.html


人間は、見た物を脳内で再構成した(≒作り直した)世界を観測しているってこういうこと。

あんま実感湧かないと思うから、絵描きで例えてみる

もしもあなたが、絵がメチャウマで、自分の見たモノをそのまま(写真撮るみたいに)キャンパスに描ける絵描きだったとしても、キャンパスに描けないものがある。

・例→紫外線、赤外線→肉眼で見えないものはキャンパスに描けない

また、よくよく観察したら、木の影にイモムシがいたことを見落としたり、端っこにハエがいたことに気づいていなかったら、当然それもキャンパスに描けない
→見落としたものはキャンパスに描けない

あと、一つのものばかり詳しく見ていて、他のものはどうでもよくなって見てないパターンもある
・自分好みの美男美女が眼の前にいたら、その人を強調した絵を描きたくなると思う(もちろん相手に許可とって描く)
ダ・ヴィンチの最後の晩餐みたいに、強調したいものに集中線をかけて、私が見たいもの、私が見せたいものだけを見せる絵を描くことは、まま有ると思う

まとめると
・人間は正確に世界を見てないよね、見落としや勘違いはあるし、注意してよく観察した物ばかり詳しく見ているよね
ってこと

ここから
・もしかして人間の思考(頭の中の世界、心の中で考えたこと)にも間違いや勘違いはあるんじゃないの?
コレを考えたのが現象学。

フッサールのエポケー(判断停止、判断中止)は、この考え方をするための前段階って感じなんだと思う。
頭の中の思いつきとか信念を吟味するために、括弧に入れるとか自然的態度を一時的に止めるとか言ってるのかと。

次はタバコを例にしてもっと掘り下げます

タバコ善悪問題で認識のズレが分かる



タバコを憎む人と、そーでもない人をイメージしてほしい

タバコ殺しさん「タバコは悪だ!健康に悪いし空気も汚れるし最悪!タバコなんてこの世から消え去ればいいんだ!」
Aさん「健康に悪いのはたしかにね。でも言い過ぎじゃないすか?」
タバコ◯し「何を言うんだ君は!タバコなんて明らかな悪だろ!滅びるべきだ!」
Aさん「いや、健康に悪い=道徳的な悪ってのはおかしくないすか?お酒とかエナジードリンクは取り過ぎると健康に悪いけど、悪だとは普通思われてないじゃないすか」
「タバコも同じで、健康には害があるけど、吸うか吸わないかは個人の判断の問題だと思う。納税しまくってるて所を見ると納税者の鏡ともいえるし」
「健康と道徳って別モンだと思う。むかつく野郎を殴ったら心の健康には良さそうだけど、道徳的には悪じゃないすか(というか法律で罰則がでますわ)」

タバコ殺し「何言ってるのかわからん😠タバコは悪だタバコハー!タバコガー!」
Aさん「えぇ…😨」

認識(≒物事に対する考え方とか感じ方)のズレがわかりやすいのが、タバコ善悪問題

タバコ殺しさんの認識「タバコ=善悪問題」
Aさんの認識「タバコ≠善悪問題(健康問題と善悪問題は別モンやで)」

タバコ嫌いの人の見ている世界と、そーでもない人の見ている世界はかなりズレてる。
健康問題と道徳的な問題が重なるのがタバコ嫌いの人が見ている世界で、健康問題と道徳的な問題は別次元の問題だと思ってるのがそーでもない人の世界になっている

まとめると
・正確に世界は見えてないなら、思考(頭の中の世界、心の中で思ったこと)にも間違いやズレはあるはずだよね。例えば、言葉の意味定義をあんま考えずに話すとか、タバコを善悪で語るかどうかとか。

こーゆー認識のズレ問題をはっきりさせるのが現象学的還元ですね。

次は日本の伝統を例にして、個々人で物の見方感じ方がかなり違うよねってのを解説しますね

「日本の伝統」ってなんですか?



??「日本の伝統とは天皇制だ!」
!!「いや、日本文化こそ伝統だ!茶道、武道、着物、寿司、畳や日本刀エトセトラが伝統なんだ!」
@@「伝統的な日本の心が消えている!若モンに根性がない!日本人としての誇りはないのか!」

若者「よくわかんないですけど、ボカロとか漫画アニメって伝統なんすかね?割りと長く続いてますけど…」
野球部「甲子園も伝統っすか!?」
ギャル「うぇーい、先輩にギャルメイク教えてもろたwまじ伝統チルエモ」
ジャニオタ「ジャニーズ最高!でもこのままじゃジャニーズの伝統もジャニーズも消えちゃう!」

?!@「「「何を言ってる!そんなものが日本の伝統なわけないだろ!!」」」

歴史学者(そもそも天皇制って江戸時代以前には存在してないんだけどな〜)
哲学者(伝統の定義がブレブレで草。何年何百年続けば伝統だと考えてるのか?そこらへん曖昧やんけ)
認識論者(自分の生きた時代に流行っていたものを伝統だと考えてそう。近代から現代に在る文化とか社会的風習しか考えてない?江戸時代や縄文時代があったことを知らないのか?)

「日本の伝統」って言葉に込めた意味が、時代によって世代によって個々人によって、全然違ってくる

平安〜江戸時代あたりの日本人は武士道が伝統だと思ってそうだし、古墳時代はヤマト王権が伝統だと思ってそう

要するに
・物の見方感じ方が個々人で違うよね→同じ言葉を使っていても、言葉に込めた意味が他人と自分とでズレてる可能性あるから、ちゃんと確かめようよ

ってこと。

ちょっとオマケで、日本の伝統を、現象学的還元で分析してみる

まず、
・発言してる人の経験とか知識から「日本の伝統」って言葉に込めた意味を推測する
→スローガン「誰もが自分自身の視野の限界を、世界の限界だと思い込んでいる」「医者は人間を弱いもの、弁護士は人間を悪いもの、牧師は人間を愚かなものと見る」byショーペンハウアー
→人々は、天皇制とか、文化、根性、誇り、ボカロや甲子園やギャルやジャニーズとかを伝統だと思ってる。

・「日本の伝統」って言葉(概念)の意味定義を掘り下げよう、概念を成り立たせる条件そのものを掘り下げよう

jjj「伝統がバラバラすぎる…共通点とかあるんか?」
kkk「とりま伝統って、
・長続きしてるもの
・時代によって変わるもの
・本人の思い込み
とはいえるんじゃね?」
j「思い込みは草。でも人間の頭の中にだけ存在してるのが伝統とは言えそう」
k「自然科学じゃないから、伝統はフィクションだよね〜」
j「あと精神的なもの(誇りとか)と、物理的に観測できるもの(制度とかボカロとか)の二種類があるの不思議やね、伝統って」
k「自分らが大事にしたいものを伝統扱いしてるんじゃね?どっちみち精神的。個人の好き嫌いが出てるわ」
ショーペンハウアー「国民的誇りに執着する時点で、個人として誇れるものを何一つ持っていないことがわかるな」
j「辛辣すぎるェ」
わい「そういや前に、大佐がオプチャで『伝統とは連続性を持ちつつ変化するもの』て言ってたの思い出したわ」
k「それや。一回まとめ直すか」
k「伝統の条件(らしきもの)は
・長続きするもの(期間はまちまち)
・人間の頭の中にあるもの
・大事にしたいと思ってるもの
・連続性を保ちつつ変化するもの
こんなところか」
j「暫定的には伝統の定義条件はこれで良さそうかな。大佐の定義が一番明確だと思うけど」

※さらにオマケの話。伝統を決めるには、アンケートとって統計を使うと良さそう
この記事で少し触れてる

※ついでに、地政学から伝統が決まる可能性もある
・2000年くらい地形はほぼ変わってない→地理的な条件から国民性の傾向が生まれていそう


まとめ



現象学的還元とは何か?
→現象学的に物を見ることを前提にして、認識の根本を還元しよう。
→人間は脳内で再構成された世界しか観測できないってことを前提にして、言葉(概念)の意味定義を掘り下げよう、概念を成り立たせる条件そのものを掘り下げよう。

・人間は正確に世界を見てないよね、見落としや勘違いはあるし、注意してよく観察した物ばかり詳しく見ているよね
・正確に世界は見えてないなら、思考(頭の中の世界、心の中で思ったこと)にも間違いやズレはあるはずだよね。例えば、言葉の意味定義をあんま考えずに話すとか
・物の見方感じ方が個々人で違うよね→同じ言葉を使っていても、言葉に込めた意味が他人と自分とでズレてる可能性うあるから、ちゃんと確かめようよ

私の理解ではこうなる
現象学的還元は、分析の方法論でもあり、分析のマインドセットでもある

終わり

参考文献

現象学的還元とは何か 早稲田大学リポジトリ

ネットで拾えた、詳しい解説

現象学的還元は、フッサールハイデガーよりは、カント、ショーペンハウアー、ヴィトゲンシュタインを読んだ方がいい気がする。
過去にまとめてます


名言を検索するだけでも違うと思う。ショーペンさんの「視野の限界=その人の世界の限界」とかウィトゲの「私の心の限界が私の世界の限界である」「幸福な人の世界は不幸な人の世界とは別の世界である」とか。あとカントは現象学的な哲学だし。

あと認知科学、知覚心理学系の易しい本を読むとか(認知バイアスとか調べたらいいと思う)
この本とかオススメです



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