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#344 言い訳プレゼンテーションはやめてくれ。会社を語らず、社会を語れ!

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

皆さんの周りには、言い訳だけが達者で一緒に仕事をしていても無益だしあまり一緒にいたくないと感じる人はいないでしょうか。

私は民間企業に勤めていて、IT業界で割と規模が大きいプロジェクトを担当してきたということもあり、基本的にB2Bビジネスです。

B2Bビジネスは、お互いの組織リソースを活用できる分、社会的インパクトが大きいことができるので、そこにやりがいを感じられる人にとってはいい環境が揃っていると思います。一方で、取り組んでいるプロジェクトそのものは大きいけれど、それを担当している人の器が小さすぎて、辟易するシーンもしばしば。

特に私が嫌いなパターンは、「言い訳プレゼンテーションが達者な人」です。
そして、10年以上B2Bビジネスの世界に身を置いてきて分かったことは、「言い訳プレゼンテーション」ばかりの組織と、そうでない組織があるということ。もちろん相対している担当組織がそうだっただけ、ということもあり得ますが、少なくとも、そういう部署を抱えた会社だということは分かります。

新卒採用よりも中途採用時の方が、会社を見る目が洗練されているのは、特にB2Bビジネスにおいては、一緒に取引をしたことがある会社のことは、中も含めてよく分かっている、という要素が大きいでしょう。

実際に、同業の人と話していても、世間では有名で高収入が期待できる人気企業であっても、その内実(どんな人がいるか、組織風土、仕事プロセスなど)が分かっていて、なかなか酷いと分かっているところには絶対に行かない、ということも少なくありません。

世間的には有名な企業でも、一緒に仕事を進めてみると「言い訳プレゼンテーション」ばかりで、「一体あなたは、何の価値を生んでいるのですか?」と感じることもしばしば。個人レベルでも「この件はどうなってましたっけ?」と聞いて、ひたすら何故自分がそれをやれていないのか、を延々と話し出す人もいますね。

いやいや違うんです、できてないならできてないという事実だけ伝えてくれれば良くて、その上でどうするかを議論することに時間を使いましょうよ。あなたができていない理由や経緯なんて知ったこっちゃないのです、という気にしかなりません。

「ああ言えばこう言う」で抗弁だけが達者な人もいますね。短期的な保身には良いかもですが、そういう人には一緒に仕事がしたいという人は集まってこないので、中長期的には損しているのでは?と考えます。

今日は、「言い訳プレゼン」は格好悪いし、自分や自分が所属する組織の評判を落とすことにしかならないと考える理由と、その対極にいる「会社を語るのではなく、社会を語れる人」がいかに素敵か話していきます。


言い訳プレゼンは、無能を晒しているだけ

B2B(B2Gでも一緒かも)ビジネスにおける打ち合わせにおいて、よくある言い訳プレゼンは「うちの会社には、こういう規定があって出来ません」とか「他部署がいいと言わないので出来ません」みたいな話です。

もちろん、「何でもかんでも出来ます」という話はないと思いますが、出来ない理由が完全に相手の組織よがりで、時にはその組織の事情を取引先に転嫁してこようとする組織まであります。

冒頭述べたように、B2Bビジネスの醍醐味は組織リソースを活用して、一人では出来ない大きなプロジェクトにチャレンジできるところにあります。だから、組織に属する担当者に本来求められる能力は、外の組織と共にプロジェクトを進める上で、自分の所属組織のリソースをいかに引っ張ってこれるか、という点です。

ところが残念なことに、「上がいいと言わないので出来ません」「他部署が反対しているので出来ません」と堂々と言い、自分の所属組織リソースを引っ張ってこれないことを「さもありなん」と涼しい顔で言ってしまう。
淡々と事務処理はこなすものの、「社内を説得出来ません」を当然のように言ってしまうのは、「私には組織を動かす力はありません」と公言しているのと同じです。

私自身も「社内を説得出来なかった」経験はたくさんあります。

だから、自戒も込めてこうやって話しているのですが、少なくとも「社内事情で出来ません」と回答する類のものには「自分には組織を動かす能力がありません」と言う話が含まれていることも少なくありません。だから、全て「出来なくて当然でしょ」のスタンスでいるのは、恥ずかしいこともあることを認識しておくのが良いと考えています。

「会社」を語らず、「社会」を語れ!

結局、「うちの会社(組織)は、こういう事情があるから出来ません」という話は、「会社」を語っているだけなのです。
本来、様々な人が集まって行うプロジェクトは、そのプロジェクトが達成したい社会的な意義や目的があるはずです。

しかし、一生懸命自分の会社や組織の都合ばかり語る人は、まず「社会」を語ることはありません。つまり、視野が狭く、何のための事業か?を考えることが出来ていないということになります。

優れたリーダーは、人を巻き込んでプロジェクトを立ち上げ、推進していける人です。「人を巻き込む」プロセスで重要なのは、いかに「共感」を作ることができるか
そんな時、自分の会社の事情ばかり話している「会社」を語る人に対して、共感が生まれるはずもないのは肌感覚で分かりますよね。

より深い共感が生まれる瞬間は、「社会」を語っている時です。今の社会はこうなっていて、こういうところに自分たちは価値貢献できるはず。これが達成できれば、こういう社会的な意義を創り出せたり、自分たちとしてもこういうステージに進むことができる。この事業は、自分たちだからこそ取り組む必要がある(自分たちにしかできないことなんだ)、ということを自分の言葉で語れる人にこそ、人は集まってくるのではないでしょうか。

「自分たちはこうだから出来ない」とか「上がこう言ってるからやれ」のような「会社」のストーリーテラーではなく、「社会がこうだから自分たちはこうする」という「社会」のストーリーテラーなわけです。

組織能力は、マネージャーが「社会」を語れるかに依存する

「会社」を語る人ばかりの組織か、「社会」を語る人ばかりの組織か、の違いは、マネージャーのレベルに依存すると感じています。マネージャーが当然のように「会社」ばかり語る組織では、「会社」を語ることが仕事であるとメンバーも考えて、同じように「会社」を語る軍団が組成されます。

一方で、「社会」を語れるマネージャーがいて、「会社」ばかりを語ることがいかに自分の価値を下げているか、に気付かせてくれる組織では、「会社」ばかりを語る人があまりいません。

これは、就職先や転職先、異動先を選択するときの一つの重要な視点になると考えています。相手が担当者であればまだしも、マネジメントレベルの人と話していて、スラスラと「社会」を語れる人であるか。

私は異なる組織のレベルを測る際に、経営者や経営幹部、マネージャークラスの人が何を話しているか?に注目します。特に、マネージャークラスの人のレベルは、実際に仕事をする組織のレベルと近くなりますからよく見ていますが、マネージャーレベルで「社会」を語れないのはなかなか寂しいことです。
でも現実には、「社会」を語れないマネージャーも多い。

「マネージャーが社会を語れる組織か否か」は、組織の魅力度に直結する話です。「会社事情の言い訳プレゼン」ではなく「社会」を語れる人でありたいです。

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