何かを始めるよりも大事なこと。|薬膳レッスン帖
「何を食べたらいいですか?」
「何を始めたらいいですか?」
私は国際薬膳調理師という資格を持っていて、中医学の目線でお客様の体質のカウンセリングをしますが、その中でこういう質問をよく頂くのですが、いつも思うことがあるんです。
「何か始めるよりも自分に合わないこと(食べ物・生活習慣・環境など)を辞めることも大事だよ」と。
補うことばかりに目がいっていない?
薬膳のベースの考えになっている中医学(中国伝統医学)の中に治療法則というものがありまして(どうやって治療していくー?みたいなイメージね)その治療法則の中に「補・瀉・調」というものがあります。
ざっくりいうとこんな感じ。
本当、ざっくりすぎだけれど中医学を学ぶならまずはざっくりと全体像をつかむのが大事だからね(笑)
そして、その方の体調を見て「今、この方には3つのうちどれが必要なんだろう」と考えていきます。どれも大切なんですが優先順位をつけるといえばいいでしょうか。
※体質カウンセリングをするときはもっと色々な観点から考えることが必要ですが、分かりやすくするために簡潔に書いています。
カウンセリングをしていると、この「補う」という部分にばかり目がいってそれ故に不調になっているかも…と感じることが多々あります。それは体だけでなく心も。
例えば。
一日2リットルの水を飲んだり
生姜がいいと聞いて毎日沢山摂ったり
体力作りのためのランニングをしたり
「自分磨きのために学びが必要!だ」と、寝る間を惜しんで勉強したり
どれもこれも良さそうで、「健康のために」と今のライフスタイルに足して(補)してしまうこともあるかもしれませんが、実はこれらが合わない人もいます。
自分磨きのために運動や勉強を頑張りすぎていないだろうか?
お水は摂り過ぎると痰飲になる可能性があって(浮腫んで不調になる)冷えを招くことにもつながるし、暑がりやイライラする人が沢山生姜を摂ると余計イライラするし肌荒れを起こすこともある。
運動は大事だけれど、疲れやすい人がランニングなんてハードなことをするとカラダを元気に動かすために必要な「気・血・水」が少なくなって余計疲れる。
学ぶことは大事だし、体調が良ければ問題ない。(年齢によっても良くないけれど)でも、不調を感じるなら学ぶよりもまずは寝るだ。睡眠は思っている以上に体の調子を左右する原因になる。
だからまず、補うことばかりに囚われず、自分に合わないもの(食材・ライフスタイル)を辞める(瀉する)ことに意識を向けてみてほしいのです。
辞めるより補う方がラクだもんね。
「辞めることが大切」これを分かっている人は多いと思う。
でも、辞められなくて色々新しいことを始める人は多いと思う。習慣になっているものなら尚更。
だって、辞めるより補う方が簡単だから。
例えば、習慣になっている甘いカフェラテやお菓子を辞めてくださいーといわれるより「甘いカフェラテとお菓子はそのままで大丈夫なので、この食材もたべてくださいねー」と言われる方がラクじゃないですか?
※そんなアドバイスしないけれど極端な例ね(笑)
でも、疲れやすい人は甘いモノとの付き合いはしっかり考えないといつまでも不調だし、疲れやすい人は悩みやすい傾向になるので、ずっと「なんか不調」のまま。この不調から脱したいなら補うより瀉することが先なんですよね。
その習慣は満たされない何かを埋めるためかも。
こう偉そうにいっている私も、中医学勉強し始めた時に体質カウンセリングで「お酒辞めなさい!」と言われ、「えーーー絶対無理。これがないとなんのために生きているか分からないーーー!!!」と言ったっけな。
でも、お酒を辞めないと漢方薬飲んでも意味がないといわれて、文字通り泣く泣くお酒絶ちをしたんですよね。
まぁ、しんどかったから気持ちはよく分かります。
だって、あの時の私仕事終わりにビールを飲むのが生き甲斐だったから。
でも今考えると、生き甲斐だと思っていたビールは、その時の生活に満たされないものを抱えていたから現実逃避や何かを埋めるアイテムだったなと思います。
カウンセリングをしていると、その人の内面にディープに触れます。
辞められない習慣の向こう側には、その人が抱えているものが色々あるからね。だから人は補いたくなるんだと思います。
でも、今の不調から抜け出したいなら「瀉する(やめる)」という選択肢も必要だよってことを今回言いたかったのです。
我慢するってしんどいけれど、自分の未来のための我慢って時には必要。
瀉すること、始めてみない?
とりあえず、万人に共通していいのは「寝る」ということなので、寝る時間を削って何かをしているならそれを辞めて寝よ。0時過ぎに寝てたら食事やサプリで補っても足りてないから、きっと。ねよねよ。
甘くみちゃいかん、睡眠。
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