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はじめまして、Zenkigen Labの水坂です。

Zenkigen Lab(以下、Lab)は株式会社ZENKIGENの中で、感性工学やデータサイエンス、社会学などの様々な学問分野の基礎研究を中心にディスカッションをして、新たなプロダクトの方針提案や論文執筆などを行っている組織です。ちなみに社名の由来である全機現とは、人の持つ能力の全てが最大限に発揮されている状態を指す、禅の言葉です。私たちは、より多くの人が全機現する社会を目指して研究を行なっています。このnoteでは、私たちLabが日々取り組んでいるテーマや、話題のニュースに関する議論などを中心に色々な内容を発信していきます。

職場DXとコミュニケーションの可視化

記念すべき初回は、私たちがやっていることを紹介します。Zenkigenは企業の採用や職場のデジタル・トランスフォメーション(DX)(1)を行う会社です。近年、働き方改革の取り組みは活発になっていますが、職場における上司と部下の非言語コミュニケーションに着目した研究の蓄積も進んでいます(Jia et al. 2017;Lybarger et al. 2017など)。Labでは主に相互にコミュニケーションが必要な採用面接や職場に注目し、職場DXの新たな方向性をを提供ようとしています。私たちの研究の一つは、1-on-1の動画データを分析し、言語/非言語コミュニケーションによる相互認識のズレを可視化することです。また、コミュニケーションにおける反応を見る別のチャネルとして、生体情報にも注目しています。

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良い関係性が生まれる職場を目指して

二つ目の研究は、可視化したデータを分析し、より円滑なコミュニケーションを実現することです。ここで重要になるのが「心理的安全性」です。1999年にハーバードビジネススクール教授のエイミー・C・エドモンドソン(Amy C. Edmondson)により提唱された概念で、心理的安全性が担保された職場は「職場の仲間が互いに信頼・尊敬し合い、率直に話ができる」状態にあります(エドモンドソン 2021:30)。エドモンドソン(ibid.)が『恐れのない組織』で述べているように、彼女の問題提起から10年以上が経過する中で、心理的安全性に関する実証研究が積み重ねられてきました。

例えば、
1. 心理的安全性が多くの職場でどの程度欠けているかを明らかにする研究
2. 心理的安全性と学習の関係に着目する研究
3. 心理的安全性とパフォーマンスの関係に着目する研究
4. 心理的安全性と従業員エンゲージメントとの建設的な関係に着目する研究

などが研究されています。私たちは、こうした既存の心理的安全性の概念を見直し、心理的安全性を測る指標の再構築および実際の職場や1-on-1における心理的安全性の測定を行なっていきます。そして、可視化で終わることなく、心理的安全性が育まれる職場をどうしたら作ることができるのかが大きな目標になります。

他にも色々な研究プロジェクトが動いていますが、それはおいおい。次回は、心理的安全性とは何か、その見取り図を示していきます。

(1) DXとは、デジタル・テクノロジーが人間生活の全ての側面に影響を与えるようになるという、現代の急速な変化を指す概念です(Stolterman &Fors 2004)。Zenkigenでは、特に職場領域におけるDXを推進しています。

参考文献

エドモンドソン・エイミー(2021)『恐れのない組織』英治出版

・Jia, M & Cheng J. & Hale C. (2017). Workplace Emotion and Communication: Supervisor Nonverbal Immediacy, Employees Emotion Experience, and Their Communication Motives. Management Communication Quarterly. 31. 69-87. 10.1177/0893318916650519.

・Lybarger J. E., Rancer A. S. & Lin Y. (2017) Superior–Subordinate Communication in the Workplace: Verbal Aggression, Nonverbal Immediacy, and Their Joint Effects on Perceived Superior Credibility, Communication Research Reports, 34:2, 124-133, DOI: 10.1080/08824096.2016.1252909

・Stolterman E., Fors A.C. (2004) Information Technology and the Good Life. In: Kaplan B., Truex D.P., Wastell D., Wood-Harper A.T., DeGross J.I. (eds) Information Systems Research. IFIP International Federation for Information Processing, vol 143. Springer, Boston, MA. https://doi.org/10.1007/1-4020-8095-6_45


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