たび。ユウト

新潟県が中心地。食べるのが好き。旅が好き。すなわち味わうことが好き。それが未知であろう…

たび。ユウト

新潟県が中心地。食べるのが好き。旅が好き。すなわち味わうことが好き。それが未知であろうと既知であろうと。 自称ライター。エッセイも紀行文も小説だって書いたりしたり。 野外活動も好きだけど屋内活動も好み。

マガジン

  • ゆのたび。

    各地の温泉や銭湯をめぐります。 ちょっとひなびたくらいが好み。

  • よのなかよもやま寄稿

    徒然なるままに暮らす筆者がふと不思議に思ったことを、広く浅く考察したりします。 内容は自然から社会までいろいろ。

  • しまたび。

    島を中心にした旅行記です。 全部の島に行くのが目標。

  • たべたび。

    いろいろ食材や料理を味わったり作ったりして順調に食の深みにはまっています。 ご当地のグルメを再現してみたりするのに最近はお熱です。

最近の記事

【ゆのたび。】24: 群馬県 草津温泉  ~もらい湯にて密かに楽しむ現地の湯~

草津温泉に行こうじゃないか。 5年ほど前だっただろうか。友人に誘われ、私はあれだけ名前を知っているあの温泉地に行くのは実は初めてなのだなと改めて気が付いた。 草津温泉は国内で三指に入る知名度を持つ温泉だろう。温泉といえばと問われれば名前が確実に上がる。 「草津よいとこ、一度はおいで」 湯もみ唄の一節は、行ったこともないのにどこかで聞いたことがある。 遠く離れた地域にまで、草津の名は知られている。温泉大国のこの国にあって、素晴らしい温泉は数多い。だが知名度を伴うとなる

    • 【ゆのたび。】23: 東京都 式根島 足附温泉 ~夏の島で、探せよ適温~

      夜の東京から島へ行く船が出る。 大都会のど真ん中から出港する夜行便の、なんとロマンなことだろうか。 東京駅から山手線でふた駅の浜松町駅。そこから歩いて10分ほどで竹芝旅客ターミナルに着く。 東京の街は夜であってもどこも人で賑わっているが、ターミナルも変わることなく人々がうろついていた。 皆、船を待っている。大都会の中心から島へ行こうとしている。 東京には島がある。本州に近い方から伊豆諸島と小笠原諸島である。 本州から1000キロ以上南にある小笠原諸島は、世界自然遺

      • 【ゆのたび。】22: 新潟県 妙高温泉 関川共同浴場 大湯 ~地元民御用達の湯にかつての姿を偲ぶ~

        「妙高は、昔はそれはそれは賑わっていたんだよ」 父がそう言っていたのを思い出す。今となっては白髪ばかりの父が若き日々を過ごしたのは、温泉やスキーが娯楽の中心にいた時代だった。 高度経済成長期やバブル期など、昭和の中頃から後期にかけては日本が大いに活気づいていた時期に思う。 24時間働けますか、とは言ったもので、企業戦士たちが昼夜を問わず働くことで日本の経済は勢いよく回っていた。 国鉄が国内に線路を網の目のように張り巡らし、数多くの地方都市にまで特急を走らせ、東京や大阪

        • 【ゆのたび。】21: 駅の温泉リバーサイド津南 ~駅にある温泉から電車を眺めて~

          駅の数を数えたことがあるだろうか? 日本には2023年現在で9000以上の駅がある。 昨今のローカル線の廃止や乗降客数の少ない駅の廃止によってその数は減少しつつある印象だが、それでも全国を網羅するように設置された路線には、JRや私鉄問わず非常に多くの駅が存在していることに変わりはない。 そんな数ある駅の中には、他と差別化するために様々な特徴を持っていることが多い。 例えばたくさんのショップを駅舎に構えているとか、景観が優れているとか。 その中で、全国には温泉を有する

        【ゆのたび。】24: 群馬県 草津温泉  ~もらい湯にて密かに楽しむ現地の湯~

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        記事

          【ゆのたび。】20: 野沢温泉 ~野沢温泉日帰り外湯巡りRTA(リアル湯治アタック)③~

          前回からの続き。 今回でpart3だ。 前回の内容はこちらから↓ 一番最初の内容はこちら↓ 前回までで、野沢温泉に点在する13の外湯のうち、9つ目までを制覇した。 残るは4つ、あと4つ。日の入りはもうすぐそこまで来ているが、何とか頑張って全湯制覇を達成したい。 体は立て続けの入浴によって熱さが飽食状態ではあるけれど、まだあと少し我慢だ。 幸い夕方になって気温が低くなり、湯上りには心地よい涼しさになって来ている。 これを活用し、なんとか最後まで完走したい。 と

          【ゆのたび。】20: 野沢温泉 ~野沢温泉日帰り外湯巡りRTA(リアル湯治アタック)③~

          【ゆのたび。】19: 野沢温泉 ~日帰り外湯巡りRTA(リアル湯治アタック)②~

          前回からの続き。 前回は3つ目の外湯の『熊の手洗湯』を制覇したところまで書いた。 3つの外湯に入り終わった時点ですでに時間は1時間経過しており、私は時間の経つ速さに愕然とした。 このままでは単純計算で4時間以上が全湯制覇にかかることになる。 それはまずい。かなり良くない。 それでは確実に日は沈み、明るいうちに帰ることはできない。 できるだけスピーディーに湯治を完遂しなければならないのだ。 気合を入れよう。 ④真湯 熊の手洗湯を出た私はそのまま来た道を戻る。分

          【ゆのたび。】19: 野沢温泉 ~日帰り外湯巡りRTA(リアル湯治アタック)②~

          【ゆのたび。】18: 野沢温泉 ~日帰り外湯巡りRTA(リアル湯治アタック)①~

          古い温泉地には共同浴場――外湯がある。 私は温泉が好きである。中でも外湯が好きである。 外湯は地域住民が日常的に利用する場であり、温泉宿では感じられない地元の空気を感じられるのがとても好きなのだ。 外湯がある温泉は良い温泉だ。私の色眼鏡ではあるが、分かってくれる人もいると信じたい。 外湯は温泉の歴史に初期から共にあった存在だ。 そして今もなお現存し続けているのならば、それはその温泉地が持つ活力の証拠だろう。 したがって外湯のある温泉地には歴史とそれを維持するだけの

          【ゆのたび。】18: 野沢温泉 ~日帰り外湯巡りRTA(リアル湯治アタック)①~

          【ゆのたび。】17: みくりが池温泉 ~日本で一番高いところにある温泉で感動オブ感動~

          富山にこの国で最も高いところにある温泉があることを、私は昔から実は知っていた。 そばを通ったことも何度もある。入りたいと思ったことも同じだけある。 しかし結局入ってこなかった。別の帰りの時間を考えてもゆっくり入っていられないからとかで、その温泉に入らないままずいぶんと時間が経ってしまっていた。 だがようやく思い立った。そうだ、今年こそ入りに行こう。 いろいろ入れなかった理由がこれまであったのは事実だけれど、結局、特にここ最近での一番の理由は単に行こうと思わなかっただけ

          【ゆのたび。】17: みくりが池温泉 ~日本で一番高いところにある温泉で感動オブ感動~

          よのなかよもやま寄稿 08:新潟県佐渡島――二ツ亀海水浴場 景観も透明度も屈指のビーチ!

          灯台下暗し、という言葉がある。 いまさら私がその意味を解説する必要もないだろう。 この国に住んでいれば誰もがほぼ必ず知ることになることわざの一つである。 身近なことにはかえって気づかなかったりする……という意味の例えとして多く使われる言葉だ。 そしてまさに、自分が住んでいる近くの土地の魅力というのにはなかなか気が付きづらいものだ。 たいてい旅行とかの話になると多くの人は自分の今住んでいるところからなるべく遠く離れた地域へと目を向けがちだ。 それはある意味当然で、旅

          よのなかよもやま寄稿 08:新潟県佐渡島――二ツ亀海水浴場 景観も透明度も屈指のビーチ!

          よのなかよもやま寄稿 07:長野県菅平――日本有数の希少な草原に広がる花畑を眺めて 8月編

          菅平を前回訪れてから気づけば二月が開いてしまった。 高原の季節の移り変わりは早い。 雪解けは遅く、夏は短い。すぐに秋が来て、やがて長い冬になる。 そのため、生き物たちはその短い暖かな時期で自らの営みを急いでこなしていくのだ。 高原の植物はひと月経てば生えるものも様変わりする。 どんな花々が草原に咲いているだろうか。 そんな期待を胸に、私は菅平へと赴いた。 ちょうど訪れたときはフェーン現象によって全国的な猛暑日であり、下界は体温よりも高い気温になっていた。 そう

          よのなかよもやま寄稿 07:長野県菅平――日本有数の希少な草原に広がる花畑を眺めて 8月編

          【ゆのたび。】 16: 下諏訪温泉 菅野温泉 ~懐かしき昭和レトロな街中温泉~

          諏訪の街は暑い。 猛暑は湖畔であっても関係なしだ。じりじりと肌を焼き、風はねっとりと蒸し暑くて汗は止まることなく噴き出てくる。 灼熱の諏訪を、諏訪大社の四社巡りのために私は久しぶりに訪れた。 しばらくぶりの訪問だ。初めて訪れたときは確か、社会へと仕方なしに漕ぎ出したばかりの頃だった。 あの頃から私はいろいろなことが変わった。いろいろなものを得てきて、いろいろなものを捨ててきた。 何も変わっていないようでいて、私はきっとあの頃とは様々な部分が違っているのだろう。 し

          【ゆのたび。】 16: 下諏訪温泉 菅野温泉 ~懐かしき昭和レトロな街中温泉~

          【ゆのたび。】 15:奥只見銀山平 かもしかの湯 ~アウトドアに疲れたらここの湯へ突っ込む!~

          奥只見湖は新潟県と福島県の県境にあるダム湖だ。 人里離れたこの地は自然が豊かに保たれていて、季節を通じて様々に美しい景観を見せてくれる。 特に秋、紅葉の時期は全国的にも有名だ。ダム湖を彩るカラフルに色づいた紅葉の木々は、湖面の青さや岩肌の白さと相まってとても目に映える。 また、夏の時期も青々とした木々の瑞々しさが素晴らしい。生命の息吹を感じる森に、雄大な地形に水を湛えた湖は避暑地としてもなかなかのものだ。 湖面遊びができる場所もあるし、近くではキャンプもできる。 夏

          【ゆのたび。】 15:奥只見銀山平 かもしかの湯 ~アウトドアに疲れたらここの湯へ突っ込む!~

          【ゆのたび。】 07:稚内温泉 童夢 ~日本最北の温泉で、汗と寒さを吹き飛ばす!~

          稚内は日本最北の街である。 そのため、数多くの『最北』がこの地には存在している。 もっとも有名なのは北方領土を除いた場所で日本最北である北緯45度31分の地、宗谷岬。 旅人で稚内を訪れたなら、おそらくほとんどがこの地を踏むだろう。 また、街中を見ても数々の『最北』がある。 例えばノシャップ岬にある『ノシャップ寒流水族館』は日本最北端の水族館だし、日本最北端の土産屋やお宿も稚内にある。 イベントなども、例えばマラソンなど、たくさんの『最北』がある。 当たり前だが、

          【ゆのたび。】 07:稚内温泉 童夢 ~日本最北の温泉で、汗と寒さを吹き飛ばす!~

          【ゆのたび。】 14:鹿児島温泉旅⑧ 日当山温泉郷 日当山温泉センター ~太古から湧き続け、西郷どんも愛した湯~

           「~行の飛行機は空港周辺の悪天候のため欠航になります」 なんだって? 私は茫然と、混み合う客たちの間で立ち尽くす。 空港内に響くアナウンスは、無情にも私に帰宅不可能を言い渡してきた。 いやな予感はしていた。が、多少の遅延はすれども結局は飛んでくれるだろうと根拠なく信頼を寄せていた。 だが結果は、今のアナウンスの通りだ。私は自動的に、鹿児島から出られなくなってしまった。 新たに飛行機を取るなどすれば今日中での帰宅は可能だろう。 だが、航空券の当日購入は席が余ってい

          【ゆのたび。】 14:鹿児島温泉旅⑧ 日当山温泉郷 日当山温泉センター ~太古から湧き続け、西郷どんも愛した湯~

          【ゆのたび。】 13:鹿児島温泉旅⑦ 砂蒸し会館 砂楽 ~今も昔も、人はここに砂に埋まる!~

          少し思い出話をしよう。 初めて指宿を訪れた日は夜だった。 指宿駅に降りた私は、目的の施設が駅から結構離れていることに少々驚いた記憶がある。 というのも、私はすぐにでも砂に埋まれると期待して電車を降りたのであって、そこから随分と歩かされるとは考えていなかったのだ。 駅からその場所までは約1.5キロほど離れている。タクシーを使えば早いのだろうが、それは使いたくなかった私は歩いてそこまで向かったのだ。 あのときは秋の中頃だっただろうか。夏の盛りは過ぎてはいたけれど、残暑で

          【ゆのたび。】 13:鹿児島温泉旅⑦ 砂蒸し会館 砂楽 ~今も昔も、人はここに砂に埋まる!~

          【ゆのたび。】 12:鹿児島温泉旅⑥ 開聞温泉 ~ガイドには乗らない、山と同じ名の名湯~

          鹿児島市の南の指宿市にある、形のきれいな開聞岳。この山はその均整の取れた形から薩摩富士とも呼ばれる。 開聞岳の麓で、私と友人は車内で天気が好転するのを待っていた。 雨続きの予報の中で、今日は少しだけ天気が良くなりそうな予報だった。 鹿児島に来た目的は登山である。せっかく足を運んだのだから、可能なら目的の半分でも達成したい。 その想いで、天気が良くなる可能性を信じた私たちは車を走らせて、開聞岳の麓にやって来たのである。 だが、次第に予報へ疑いを持ち始める。これはやっぱ

          【ゆのたび。】 12:鹿児島温泉旅⑥ 開聞温泉 ~ガイドには乗らない、山と同じ名の名湯~