平尾ゆうてん

本名: 平尾優典。デザインとエンジニアリング。ウェブアクセシビリティ専門家。@mark…

平尾ゆうてん

本名: 平尾優典。デザインとエンジニアリング。ウェブアクセシビリティ専門家。@markuplint 開発者。

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ぼくは明朝体が読めない

幼い頃からどうしても本を読むのが苦手だった。最近になってようやく、それは脳の個性のせいだったんじゃないかと思うようになった。(このエントリーの内容は個人的な主観で書かれており、医学的な情報は一切ないことを最初に断っておく) 先日このツイートを見た。 ディスレクシアという学習障害がどのように生活に支障をきたすのか。ディスレクシアでもいろいろあるので具体的な情報は貴重だ。ディスレクシアも学習障害もUDフォントも、本当にたくさんの人に知られてほしい。 一方で、ぼく自身もちょう

    • 『あたりまえ』に必要なことを考える

      アクセシビリティをあたりまえにしたい。常日頃から言っていることだし、所属の会社でもミッションにしているし、その他アクセシビリティを啓発している組織、取り組んでいる組織でも同じような言葉をよく目にする。 言うは易く行うは難し。宣言することはもちろん大事だけど、そこからどう行動につなげるかというのはちゃんと考えないといけないことだ。自分の場合は会社のミッションのひとつとしてやっているので殊更。どうやって『あたりまえ』を作っていくのか。『あたりまえ』には何が必要なのかを考える。

      • 無自覚な無責任さを持たないようにウェブ制作の現場で考えること

        粗末なウェブサイトを目撃したとき、なぜそれが作られてしまうのか、作られてしまったのかをよく考えることがあります。いろんなことが関係しているし、状況は様々なのは理解しているつもりです。政治的な理由など仕方ないこともあるでしょう。しかし多くの場合、理由のひとつとして「無自覚な無責任」があるのではないか?と考えています。 今回の話は、自分も所属し生業としている「ウェブ制作」に関しての言及であり自戒です。制作会社やフリーランスでウェブサイトの制作を受注している者にとっての範囲と思っ

        • やさしさを強要しない世界

          みんながやさしい気持ちでいられたら、本当にそれは理想的な世界だと思う。僕も常にやさしくありたい。しかしそんなことできるんだろうか。 SmartHRさんのCMを見た。僕はここに関わった人たちを知っているし、以前からここに繋がるメッセージを聞いてきた。この映像が見た人にどう伝わるのかは計り知れないけれど、ほんとうに素晴らしい内容でまとめられていると思う。まだまだこれからだろうけど、これまでの活動のひとつの集大成に感じた。 気持ちに頼る危うさ「仕組み」と「やさしさ」については、

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        ぼくは明朝体が読めない

          バトンを渡すだけでなく、種を蒔くだけでなく

          アクセシビリティカンファレンス福岡が閉幕しました。参加者、関係者、すべての人に感謝を申し上げます。 本当に、心からありがとう。 伝えたいことが山ほどやって、言葉が渋滞しています。ここにたくさん書き留めておきたいところですが、既にいくつかお話しをしたり、書いたりする機会を頂いているので、またそのときにお伝えしたいと思います。 今回は、このイベントを開催できたことをほんの少しだけ分析して、これからのことを書き記しておきたいと思います。 手にあったバトン思い上がりと思われる

          バトンを渡すだけでなく、種を蒔くだけでなく

          #デザドン イベントレポート

          この言葉が好きなんです。デザインとは何かを考えるときに、必ずこの言葉が頭に浮かびます。今回もこの言葉が真っ先に浮かび「いや、もう、ここにいるみんながデザイナーってことでいいんじゃんね?」って勝手に1人で思いながら、トークセッションを聞いていました。 いきなりイベントと直接関係のない引用から失礼。Design Dontaku、#デザドンというイベントに参加してきました。本当になんとなく「久々にブログ枠いってみっか」ってことで参加し、このブログを書いています。 最近増えたよう

          #デザドン イベントレポート

          アクセシビリティの指摘はなぜあんなに『めんどうくさい』のか

          まあ、そんな言葉を残したダルイ5世なんて存在しないんだけど、あることの『めんどうくささ』には、こういうお互い様な部分があることは読者のみなさんも経験的に感じているのではないでしょうか。 今回の話は、アクセシビリティの専門家として日々相談を受けたりレビューをする中で感じている『めんどうくささ』を説明しつつ、相談をしている側やレビューを受ける側も私の話をめんどうくさいと思って受け取っているんだろうなぁ〜という予想をしながら、これらにまつわる問題の整理と、それでもあえて『めんどう

          アクセシビリティの指摘はなぜあんなに『めんどうくさい』のか

          次世代のユーザーエージェントと情報とデータ、そしてデザイン

          AIの進化の凄さがもはやよくわからないまま半年ほど経っている。よくわからないというのは、良いことなのか悪いことなのか、何を考えてもいろんな側面がありすぎて考えがまとまらないからだ。それでもポジティブな見方をすると、人間の不得意な分野を補う部分はあって、それはとても喜ばしいと言える。少なくとも自分の携わっているアクセシビリティという分野において、支援技術(アシスティブテクノロジー)としてのポテンシャルは凄まじい。僕にはそう見えている。 ユーザーエージェントという言葉がある。ウ

          次世代のユーザーエージェントと情報とデータ、そしてデザイン

          ゼルダの伝説 知の試練はアクセシブルにできたか?

          続編のティアーズオブザキングダムが待ち遠しい。先行プレイ動画を何回観たことか。ゴールデンウィークはこれで潰すと決めている。そのくらい楽しみだ。 さて、それにあたって任天堂がブレスオブザワイルドの「知の試練」という知識クイズがオンラインで開催された。連日の朝と夜の30分間だけ配信され、全国でランキングつける催しだ。開催自体は終了し、現在はアーカイブが残っている。 さてこのオンラインクイズ、プラットフォームはウェブで開催されたわけで、スマホ限定ではあったが、ブラウザで挑戦でき

          ゼルダの伝説 知の試練はアクセシブルにできたか?

          音のない会話を体験して

          音のない会話をしたことがあるだろうか。といっても、もちろんある人がほとんどだと思う。LINEやメール、SNSやチャット、手紙もそのひとつに加えてもいいだろう。いわゆるテキストコミュニケーションと呼ばれるもので、人類の会話の手段として確立している。しかし、今回自分が今まで体験したことのない「音のない会話」をしたので、そのことを備忘録として残しておこうと思う。 最近デフエンジニアの会というろう者難聴者のエンジニアの方々のコミュニティがあり、自分は聴者なのだけど参加させてもらって

          音のない会話を体験して

          HTMLのプロに俺はなる

          インターネットという大海原に自分の書いたHTMLを初めて公開してから、今年で20年が経つ。業務としてはその半分にも満たないが、高校生のころに趣味で始めて以来、もうこんなに経つのかと思うと感慨深い。 HTMLを極めたい最近一部で「HTMLを極める」というのが話題になった。いろんな意見があるが、自分がこれについて考えたことは「俺はHTMLをずっとずっと極めようとするの止めない」だろうということだ。20年経って今もなおワクワクさせてくれる技術であるし、成果物に満足したことは一度も

          HTMLのプロに俺はなる

          ようこそ、絶望の谷へ

          去る2月17日「WAI-ARIA勉強会」を開催した。内容に関してはYouTubeのアーカイブやTogetterのまとめを見ていただくとして、主催として振り返りというか反省というか純粋に感想を綴りたいと思う。なお、技術的な補足は今回は書かないのでご容赦を。 今回の勉強会はの元々のキッカケはZennに投稿した記事から始まる。 アクセシビリティのチェックやアドバイザリー業務をやっている中で、やはり頻繁に遭遇していた間違ったARIAの使い方。自分がARIAを知ったころを思い出し、

          ようこそ、絶望の谷へ

          誰かを排除している可能性を学び続ける #ローソンPBに思う

          ユニバーサルデザインの文脈でずっと関心があった件のローソンPB。竹増社長を交えたライブ配信を見たけど、結論としてはローソンという会社がユニバーサルデザインを知らなかったんだなという印象だった。 公共性やインフラといったキーワードが出てきたり、世界展開などの話題もある中で、あの場でSDGsやユニバーサルデザインを語ることができなかったのは、やっぱりそこに企業としてあまり関心がなかったんだろうという印象が残ってしまった。 今後、真摯に声に応えていくという姿勢は素晴らしかったし

          誰かを排除している可能性を学び続ける #ローソンPBに思う

          ヘッダにあるブランドロゴの代替テキスト、みなさんならどうする?

          サイトやアプリのヘッダーに存在するブランドロゴ。それはトップページ(サイトホーム)にリンクすることが慣例になっている。その場合、ブランドロゴの代替テキストは何にしたらよいのか。A11yj Slackで有識者に質問をして、とても学びのある楽しい議論が展開できたので、自分なりの解釈を踏まえつつ今回はそれをまとめた。 きっかけと疑問@potato4dさんのこの疑問。結論から言うと、このツイートへの返信で@kotarokさんが詳しく答えているとおり、ブランド名がよいようだ。 つま

          ヘッダにあるブランドロゴの代替テキスト、みなさんならどうする?

          区別や差別とはなにかを定義してユニバーサルデザインに臨む / #think_design

          Think DESIGN#5「Web・アプリにおけるユニバーサルデザインを考える会 1回目」の感想。ユニバーサルデザイン完全に理解したってわけじゃないので、途中経過の自分の考えを綴っておく。 Think DESIGNはWebエンジニアの@take2webservice主催の勉強会で、その文脈でのユニバーサルデザイン編ということで企画から参加させてもらった。先日第1回が開催され、ワールドカフェという形式のワークショップで短い時間ながら15名ほどでユニバーサルデザインについて議

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          DXチームで働く

          転職エントリーならぬ異動エントリー。異動自体は昨年の春からで半年以上経つわけなんだけど、いろいろ稼働が落ち着いて本格的に新しい環境で動けるようになってきたので、今更だけど綴ることにする。 デジタルトランスフォーメーションと開発者体験最初に説明しておくと、DXの意味は、最近流行りの「デジタルトランフォーメーション」でもあり、「デベロッパーエクスペリエンス(開発者体験)」でもある。 ぼくの勤める株式会社ディーゼロは福岡を拠点に置くWebサイト制作会社で、従業員は60名程度。今

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