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DXチームで働く

転職エントリーならぬ異動エントリー。異動自体は昨年の春からで半年以上経つわけなんだけど、いろいろ稼働が落ち着いて本格的に新しい環境で動けるようになってきたので、今更だけど綴ることにする。

デジタルトランスフォーメーションと開発者体験

最初に説明しておくと、DXの意味は、最近流行りの「デジタルトランフォーメーション」でもあり、「デベロッパーエクスペリエンス(開発者体験)」でもある。

ぼくの勤める株式会社ディーゼロは福岡を拠点に置くWebサイト制作会社で、従業員は60名程度。今年20周年を迎える。エンジニアが5%くらいで、残りはデザイナーとプランナーが半々くらいのバランス。デザイナーでコードを書く人書かない人も半々くらい。

20年の歴史はそれなりのレガシーな職場環境を生んでおり、従業員60名は複雑な多様性ができている。紙や印鑑文化も残っているし、年齢も出身も好き嫌いも性格も全然違う60人が働いている。数名の創業当時の文化もあれば、10人規模のころのものもアップデートされないまま残っていたりする。

そんな中で、昨年の春から新しいチームが編成されて、ぼくはそこに所属することになった。チームのミッションとしては、職場環境を改善すること。プランナーやデザイナーが専門の作業に集中できる環境(教育体制も含める)を整えることだ。紙や印鑑での承認フローを撤廃してデジタル化することはデジタルトランスフォーメーションと言えるし、制作のフローの効率化や自動化することは開発者体験の改善とも言える。チーム名が「DXチーム」なわけではなく、それぞれ定義に厳密に則した動きをしているわけではないのだけど、つまり簡単に言うとDXのチームなのだ。

腕力で解決する

チームのメンバーには、取締役がいたり、総務の人間がいたり、それぞれの立場の人間がミックスされていて、バランス良く会社全体をまんべんなく改善する体制になっている。

さて、ぼくはエンジニアなので改善の解決方法は技術、すなわち腕力で解決である。とにかく実装できるアイデアは片っ端から実装する。kintonefreeeboardのAPIを使ってバックオフィス業務の効率のいい仕組みを作ったり、制作側では開発環境を整備したり便利ツール(ライブラリ・プラグインや拡張機能・テストツール)を作ったり、XDFigmaを研究したり。すべて機械化・自動化すればいいってもんじゃないのかもしれないけど、そこはトライアンドエラーでやっていく。

関心がない人でも品質を保てる仕組み

ひとつ目標にしていることは「その作業に関心がない人間が作業に関わっても品質が保てる仕組み」を作ることだ。なんだそれ?って思うかもしれないけれど、例えばHTMLに全く関心がなく知識のアップデートができないタイプのマークアップ作業者にも一定の水準のHTMLの品質を担保できるようにしたいと思っている。これは個人的に進めている開発ツールのmarkuplintの理念でもある。

「全く関心がない」は言い過ぎかもしれないし、そんな人間に作業をさせるなという意見もあるだろう。ただ、全く関心がないレベルでも品質を担保できるということは、学びはじめの新人でも、文化の異なる外国人だったとしても、ヘルプでアサインされたパートタイマーでも、そういった箇所に注意が向かない特性がある人でも、同じ品質が出せるということだ。すべての方向からの品質は無理だけれど、一部を機械や仕組みが行うことにより、残りの部分に注力できる。効率化も高められるし、作業者の多様化に貢献できる。

関心のないことに手間を取らなくていいことは、モチベーションの維持にもつながる。モチベーションの低下は開発者体験の低下だ。避けなければならない。

UXを学んでいきたい

みんな開発に関わる人ということでDXのDはデベロッパーでよいのだけど、もしかしたらデザイナーかもしれないし、ディレクターかもしれない。言葉遊びは置いといて、DXをデザイン・改善していくために、UXを本格的に学ぼうと思っている。体験の設計についてだ。

以前HCD-Netのセミナーに行き設計のサイクルを知ったのだけど、とても参考にしたいし実践したいと思った。資格自体は条件を満たせると思わないので取得するつもりはないのだけど、方法論は学んでいきたい。ここでのユーザーは従業員になるわけで、とても近い位置にいるためリサーチもしやすいだろうと思う(近すぎるのが問題になるのかもしれないけど、そこはこれからどう向き合っていくのかも含めて学ぶつもりだ)。

念願が叶った

異動が決まるまでは、自分のキャリアについて考えあぐねいていた。以前のままフロントエンドエンジニア・Webアクセシビリティエンジニアとして実装を続けていってもよかったけど、スケールできないので給料も伸び悩む。かと言ってマネージャーやチームリーダーになるタイプの性格を持ち合わせてないので、そっちに行くことは考えていなかった(ずっと拒否してた)。

そういった中で、markuplintだったりコーディングガイドラインだったり、ツールや環境整備も並行してやってきたことが評価されて、それに集中できるところに異動できたことは幸せだ。生来の飽き性なので、ひとつのプロジェクトに注力するより、横断的に関われるほうが性に合ってる。

従業員の作業効率を3%上げれば、平均の2倍コミットしたことになる。これは従業員が60人いるからできることで、5年前ではできなかったことだ。そしてこれは効率化を高めることで、そして従業員が増えることでさらに上がることになる。スケールできなかった点もこれで解決する。

会社の采配に感謝しつつ、最大限こちらも楽しんでやる!と思っていて、開発したツールは今すぐは無理だけど機会を見てOSS化したいと思っているし、うまくいったDX改善があれば何らかのかたちで共有したいと思っている。

会社としても個人としても、初めての領域ではあるので、いろんな方々に教えを乞うかもしれないので、そのときはよろしくお願いいたします。

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