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#TokyoOlympics

東京オリンピック後の検証が必要な「メダル獲得の最大化」政策

7月23日(金、祝)に開会式が行われた東京オリンピックでは、現在日本の選手が活躍し、昨日時点で合計13個のメダルを獲得しており、フィナンシャル・タイムズの予想では最終的な日本のメダル数は過去最多の56個になるとされてます[1]。

これまでもオリンピックでは開催都市が属する国の選手が多くのメダルを獲得する傾向にありますから、今回の日本の選手のメダルの獲得状況は、これまでの動向に照らしても不思議では

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「東京オリンピック開会式の意義」は何か

昨日は20時から23時45分まで国立競技場において東京オリンピックの開会式が行われました。

式典では新型コロナウイルス感染症の下での選手たちの様子を表現した舞踏や江戸時代の職人の姿を模した出演者によるタップダンスなどが披露されるとともに、205の国や地域、組織などの選手団の入場行進が行われ、今上陛下による開会宣言、橋本聖子大会組織委員会会長とトーマス・バッハ国際オリンピック委員会会長による挨拶な

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「東京オリンピックの成功」を考える際に必要な「運営の成功」と「競技の成功」の観点

現在国陸競技場で開会式が行われており、東京オリンピックが本格的に開始となります。

開催都市である東京都では新型コロナウイルス感染症の感染が拡大するとともに緊急事態宣言が発令される中での大会の実施については、現在も賛否の意見が分かれているのは事実です。

ところで、しばしば言及される「大会の成功」については、「運営の成功」と「競技の成功」を分けて考えることが重要です。

「運営の成功」については、

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記者会見で「緊急事態宣言下での五輪開催の大義名分」を説明する機会を逸した菅義偉首相

昨日、菅義偉首相は記者会見を行い、東京都に対して新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を7月12日(月)から8月22日(日)まで発令することを表明しました[1]。

6月末から東京都における新型コロナウイルス感染症の感染者数が増加の傾向を示し、緊急事態宣言を発令するための所定の基準に達する項目があることを考えれば、今回の措置は適切な措置と言うことができるでしょう。

また、菅首相が

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キューバ五輪予選敗退の必然 相次ぐ亡命と深刻な人材不足

去る6月14日(月)、日刊ゲンダイの2021年6月15日号27面に、連載「メジャーリーグ通信」の第94回「キューバ五輪予選敗退の必然 相次ぐ亡命と深刻な人材不足」が公開されました[1]。

今回は東京五輪野球競技の米大陸予選でキューバが敗退した背景を検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

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キューバ五輪予選敗退の必然

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「開会式1か月前」に改めて東京オリンピック・パラリンピックの「開催の理念」を問う

昨日、今年7月23日(金、祝)に行われる予定の東京オリンピックの開会式まで1か月を迎えました。

現在、東京オリンピック及びパラリンピックを取り巻く様々な問題は日本のみならず国際社会の関心も集めています。

その一方で、関係者はこうした状況を等閑視するかのような態度を示し、様々な事項について対応が混乱しているのは周知のとおりです。

もちろん、こうした事態が、ある面において新型コロナウイルス感染症

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「G7共同宣言での東京オリパラ開催の支持」はいかなる意味を持つか

6月11日(金)から6月13日(日)まで英国コーンウォールで行われていた主要7か国(G7)首脳会議では、会議最終日に共同宣言を発表しました[1]。

共同宣言では、新型コロナウイルス感染症対策のほか、国際協力や多国間主義の重要性の強調、気候変動問題への対応、台湾海峡の平和と安定の維持など70の項目が挙げられ、結語として東京オリンピック・パラリンピックの開催を支持する旨が記されました[2]。

G7

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「総選挙と総裁選に向けた予防線」を張る菅義偉首相

昨日、参議院決算委員会が開かれ、菅義偉首相は立憲民主党の福山哲郎氏の質問に答え、東京オリンピック・パラリンピックの開催について「国民の命と健康を守ることが開催の前提条件だ」と述べるとともに、「前提が崩れればそうしたことは行わない」と指摘しました[1]。

また、菅首相は立憲民主党の水岡俊一氏の質問に対し、五輪の開催の可否について「様々な声があることは承知しており、取り組みをしっかり進めたい」とする

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Examen et prospection des situations entourant les Jeux olympiques de Tokyo et le CIO

Le 3 juin était 50 jours avant les Jeux olympiques de Tokyo, dont la cérémonie d'ouverture aura lieu le 23 juillet.

L'opinion publique japonaise est divisée sur la décision d'accueillir les Jeux olym

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「開幕50日前」に考える東京オリンピックとIOCを取り巻く状況と課題

去る6月3日(木)、7月23日(金、祝)に開幕式が行われる予定の東京オリンピックまで50日となりました。

現時点で東京オリンピック及びパラリンピックの開催を巡り、日本国内の世論は賛否が分かれ、外国の報道機関の中にも開催に反対する声が認められます。

これに対し、開催権の可否を決定する国際オリンピック委員会(IOC)にとってはオリンピックは唯一の競争力のある商品であり、オリンピックの開催を前提に放

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「オリパラ関係者」は「科学的知見」をどこまで活かせるか

去る5月25日(火)、米国の医学専門雑誌The New England Journal of Medicineの電子版に、アニー・スパロー博士(マウントサイナイ医科大学)らの論文"Protecting Olympic Participants from Covid-19 — The Urgent Need for a Risk-Management Approach"が掲載されました[1]。

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「東京オリンピックとIOC」を巡る議論で重要な視点は何か

今夏の東京オリンピック・パラリンピックの開催の可否について日本国内の世論が一致をみていないということは、周知の通りです。

オリンピックを「唯一の商売道具」としている国際オリンピック委員会(IOC)にとって大会の中止は折角の商品を自ら投げ捨てるようなものです。

しかも、東京大会については保険金によって損失を補填できるとしても、今後は保険料の高騰は不可避となりますし、現在米国NBCと締結している放

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IOCは思いもつかない苦境に立たされているか

昨日、7月23日(金、祝)に開会式が行われる予定の東京オリンピックまで2か月となりました。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大がの兆しを見せない中で大会を開催することについて、日本国内では否定的な意見が広まりを見せています。

これに対し、大会の開催を前提に放映権の販売や各種の協賛金の募集を行っている国際オリンピック委員会(IOC)としては、唯一の商品とも言うべきオリンピックを中止することは、売

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