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私と彼の物語

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私と彼の物語 #5話

ここで少しだけ私の恋愛観を語らせてもらってもいいだろうか。
私は、この当時、結婚したくてしたくて仕方がなかった。
もともと一人っ子と言うのもあって、誰かに甘えたり頼ったりしてしまう性格だったので、人でできることが数少なく、誰かに頼らないと生きていけない。そんな性格だった。

家具の組み立てだってできないし、水道とかガスとか何かがあったとき、自分1人じゃ何もできないから心もとない。だからこそ、ある程

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私と彼の物語 #4話

「こんにちはー」
私は朝目覚めて、身支度を30分もかからず終え、人として家を訪れるには早すぎない常識のある時間、いわゆる10時ごろ先輩の家を訪れた。
「いらっしゃい…ってうわ!めっちゃ腫れとるやん!!!!!」
「そうなんですよ、いひゃくていひゃくて(痛くて痛くて)昨日から何も食べてないんです…何か口の痛い私でも食べられるものをください」
「えー…うどんでえーか?」
「やったー」

サークルの後輩に

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私と彼の物語 #3話

いよいよ、抜歯当日。
終わった後に、彼の家に行ける。一人にならなくていい。これだけでよかった。
一人で歯医者に向かった。
「抜きますよー」
「ひゃい…」
閻魔大王が持っていそうな銀色の大きなペンチ。
そんなこと言わなくていいから!抜くペンチなんて見せなくていいから!

右の2本を抜いて、左はまた来週となった。痛すぎる。
顔を変形でもさせられたんじゃないか。もう顔面が歪みそうで、口の付け根が痛くて、

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私と彼の物語 #2話

当時、私は大学1回生の時からサークルに入っていた。全員で20人ほどの小さな小さな集団で、週2で集まってダンスをするという、ノリ的な軽いものだった。それでも体を動かすことが好きだった私は、今まで知らなかった新しい世界に魅せられ、下手くそながらに一生懸命に楽しんでいた。

そのサークルの人たちは、大学も大学だったのでイモい人が多かったのだが、ダンスを嗜むだけあって、みんな痩せていったし、垢抜けるように

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私と彼の物語 #1話

私と彼の物語 #1話

私と彼の始まりは、いつだったのだろうか。
私の先輩であり、いわゆるセフレであり、最愛の夫であり、パパになった彼。
私が今27だから、かれこれ付き合いは10年にわたる。
出会いはいたって普通だが、結ばれるにはフィクションのようなドラマっチックなことが沢山あった。それらを、忘れないうちに、10年が経つ前に書き記しておきたい。今は夫になったわけだから、最後はハッピーエンドで終わる。
それでもいいやって思

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