ゆるらかな里

時の流れに浮かぶうたかたを、動物たちに話してもらいます

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《クマさんギンさんの『お久しぶり』》出演:シロクマさんとペンギンさん

「クマさん随分とお久しぶり。何してたの?あっわかった。冬のオリンピックね」 「違うよ。寒いの苦手だって知ってるでしょ。でも金メダルを取ったハーフパイプのトリプルコークすごかったねえ」 「見たわよ。あんな風に跳んでみたいわあ」 「それはそうとビッグニュース!紀文のすみっコぐらしかまぼこに、シロクマが復活したんだ。たまたま見つけたんだけど、嬉しくて10個も買っちゃったよ」 「それはそれは物入りなことで」 「いや、袋入りなんだ」

    • ルンとランの観察日記(8)出演:手乗り文鳥のルンとラン・ネクタイの似合うシジュウカラ

      「シジュウカラがやってきたわ」 「顎からお腹への黒いラインがネクタイみたいにきれいだ」 「漢字だと四十雀って書くの。由来は諸説あるようよ」 「変わった名前だね。文鳥はどうして文鳥なのかなあ。僕は勉強嫌いだけど」 「文鳥の文は、文学や文章の文とは違うの。『あや』とも読めて、つまり彩のことね。文鳥が彩りのきれいな鳥というのは私を見れば分かるでしょ」 「僕、真白だよ」 「白文鳥は明治以降だけど、文鳥という名前はもっと古くから言われてるの。でもルンだって、くちばしは黄色いわよ」 「く

      • 《クマさんとギンさんの『総選挙!腹も白けりゃ背も白い』》出演:シロクマさんとペンギンさん

        「わたくしこの度、大熊党から立候補いたしました。わたくしが当選した暁には、北極の氷の無料配布、夏場のクーラー半額設置を実現いたします」 「クマさん何やってるの」 「見ればわかるでしょう、選挙活動だよ。この世の中を、人にとってもクマにとっても住みやすくすることが、大熊党の理念であります」 「ペンギンにとってはどうなのよ」 「大熊党はすべての生き物を分け隔ていたしません」 「クマさん、その公約守れるの?」 「公約は投票日までの幻。有権者の皆様は投票日まで夢を見るのです」 「開き直

        • ルンとランの観察日記(8)『青虫くんが駆けてく』出演:手乗り文鳥のルンとラン・世話係のパパ・青虫くん

          「ルン見なさいよ、青虫くんが駆けてくわ」 「ほんとだ速い速い。何の幼虫かなあ」 「パパの家庭菜園のパセリの方から来たから、キアゲハだと思うわ」 「なんでわかるの?」 「キアゲハはパセリが大好きだから、全部食べられちゃうってパパが言ってたわ」 「すごい食欲だねえ。じゃあ引っ越さなきゃいいのに」 「蛹になるために、もっと丈夫な木に移ってるのよ。そのほうがきっと安心なのね」 「無事に蝶々になれるといいな」 「そうね、楽しみだわ」

        《クマさんギンさんの『お久しぶり』》出演:シロクマさんとペンギンさん

        • ルンとランの観察日記(8)出演:手乗り文鳥のルンとラン・ネクタイの似合うシジュウカラ

        • 《クマさんとギンさんの『総選挙!腹も白けりゃ背も白い』》出演:シロクマさんとペンギンさん

        • ルンとランの観察日記(8)『青虫くんが駆けてく』出演:手乗り文鳥のルンとラン・世話係のパパ・青虫くん

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        • クマさんギンさん
          9本
        • 講談:なんだかんだ熊之丞
          4本
        • ルンとランの観察日記
          7本
        • 短針くんと長針くん
          3本
        • 動物たちのことのは
          15本
        • ルンとランの冒険
          8本

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          講談:なんだかんだ熊之丞《和歌を詠む》

          一席お付き合いを願います。恋ばなが大好きな古典の先生、男子はその先生を親しみを込めてエロ典と呼んでおりました。 エロ典が和歌を詠むという夏休みの課題を出したのですが、まともに詠めるわけはありません。パクってもいいが恋の歌というのが条件です。パクるにしても数多くの和歌に触れないとできません、それがエロ典の狙いだったのでしょう。 さて、せっかく恋の歌を詠むのだから、恋文にしようと思い立った者がおりました。 『朝夕に顔に出にけりわが思い 人知れずとは思わぬものを』(君への思いは四六

          講談:なんだかんだ熊之丞《和歌を詠む》

          《クマさんギンさんの『イメチェン』》出演:シロクマさんとペンギンさん

          「もしかしてギンさん?」 「わたくし、ギンの姉のキンです。というのはウソ」 「あぁ、びっくりした」 「美容院を変えたの。メイクもユーチューブで勉強したわ」 「  そうなんだ  」 「納得いかないって顔ね」 「やっぱりキンさんでしょ!」

          《クマさんギンさんの『イメチェン』》出演:シロクマさんとペンギンさん

          《クマさんギンさんの『メダルの数』》出演:シロクマさんとペンギンさん

          「オリンピックが終わったわねえ」 「メダルを51個取ったよ」 「どういうこと?」 「個人競技で、世界中の選手の中から1人ずつ選んで応援したんだよ、国は関係なしにね」 「強そうな選手ばっかり選んだでしょう?」 「そんなことはないよ。でも少しあったかな」 「ともかく、おめでとう!」

          《クマさんギンさんの『メダルの数』》出演:シロクマさんとペンギンさん

          《クマさんギンさんの運転免許証自主返納》出演:シロクマさんとペンギンさん

          「ギンさん、運転免許証返納したって?若いのになんで」 「運転しないし、駅近だから困らないし、運転下手だから危ないし」 「もったいない気がするけどなあ。そのうち自動運転にもなるだろうし」 「そうなったらそもそも免許要らないでしょ」 「それはそうかも。でも身分証明書には困らないの?」 「大丈夫、運転経歴証明書というカードがもらえたの。免許証と同じように身分証明書になるそうよ。しかも更新しなくて良いんだって。ということは、20年たっても50年たっても今の写真のままなのよ!最高でしょ

          《クマさんギンさんの運転免許証自主返納》出演:シロクマさんとペンギンさん

          ルンとランの観察日記(7)出演:手乗り文鳥のルンとラン・あわてん坊のセミ

          「ミーンミーンミーン┅┅あれ?誰も鳴かない。7年目の梅雨明けに、みんなで鳴こうって約束してたのにどうしたんだろう。もしや、まだ梅雨明けてない?あちゃー、雨降ってきた!」 「おかしなセミがいるね。ひと声鳴いて静かになっちゃった」 「そうね、まだ早いと思ったんじゃないかな。明日ぐらいに梅雨が明けるから、鳴き始めるわよ」 「うるさい!うるさい!もううるさい。梅雨が明けたとたんに、うるさすぎて我慢できないよう」 「夏の間だけなんだから許してあげましょうよ。ルンの夜中の歯ぎしりなん

          ルンとランの観察日記(7)出演:手乗り文鳥のルンとラン・あわてん坊のセミ

          《クマさんギンさんの『スマホは必需品』》出演:シロクマさんとペンギンさん

          「クマさん、スマホ買ったって?」 「そうよ、最新ハイエンドってやつよ」 「お高いんでしょうね。冷蔵庫だって、エアコンだって買える値段でしょ?」 「スマホは必需品だよ」 「必需品というなら、冷蔵庫ないと腐っちゃうし、エアコンないと熱射病になっちゃうし」 「男のロマンだよ」 「出た!男の言い訳。私ならロマンよりマロングラッセ食べ放題!!」

          《クマさんギンさんの『スマホは必需品』》出演:シロクマさんとペンギンさん

          《クマさんギンさんの保証人探し》出演:シロクマサンとペンギンさん 「クマさん冴えない顔してるわねえ」「そうなんだよ、保証人探しで困ってるんだ」

          「クマさん冴えない顔してるわねえ」 「そうなんだよ、保証人探しで困ってるんだ」 「借金でもするつもり?」 「知り合いが転職するんだけど、その転職先は身元保証人が2人いるんだよ」 「家族がいるでしょう」 「家族は1人までしかダメなんだって」 「じゃあもう一人はクマさんがなってあげたら」 「無職はダメなんだ」 「あれ、クマさん引越し屋でバイトしてなかった?」 「それが腰を痛めて辞めたばっかりだよ。保証人の条件は会社によって違うけど、転職先の条件は働いてなきゃダメ、働いてても年金を

          《クマさんギンさんの保証人探し》出演:シロクマサンとペンギンさん 「クマさん冴えない顔してるわねえ」「そうなんだよ、保証人探しで困ってるんだ」

          講談:なんだかんだ熊之丞《開いた玉手箱(10年目の同窓会)》  先の《玉手箱の葉書》というお話では、中学卒業の時に『いつまでも忘れません』との葉書が届き、その葉書が玉手箱の中に納まるまでを語りましたが、今回はその後日談となります。

          中学を卒業して10年、同窓会をやろうという者がどの学校にも必ずいるものです。地元を遠く離れて久しく、実家にも滅多に帰りません。それが同窓会に出席する気になったのは、玉手箱に納めたあの葉書が思い浮かんだせいでもありましょう。 やがて同窓会の当日がやって参りました。同級生という変わらない温もり、そして変われない煩わしさ、そんな独特の雰囲気に包まれながら、彼女”達”をさがします。残念なことに出席は1人でしたが、意中の子だったので、さっそく近づいて輪の中に入ります。 「中学のことなん

          講談:なんだかんだ熊之丞《開いた玉手箱(10年目の同窓会)》  先の《玉手箱の葉書》というお話では、中学卒業の時に『いつまでも忘れません』との葉書が届き、その葉書が玉手箱の中に納まるまでを語りましたが、今回はその後日談となります。

          講談:なんだかんだ熊之丞《結婚するって聞いたけど》 恋人たちの別れには様々ありますが、就職で時が合わなくなり自然消滅ということも少なくないようです。

          一席お付き合いを願います。恋人たちの別れには様々ありますが、就職で時が合わなくなり自然消滅ということも少なくないようです。 そんな別れから1年、後輩ができ仕事も落ち着いてきた頃、ふと元カノの顔が浮かびました。電話をしようと思い立ちましたが何せ久々です、最初の言葉をどうするか迷いもしましょう。『元気?』『仕事どう?』などではインパクトに欠けます。思案してこれならばと思いついたのが『結婚するって聞いたけど』という言葉です。 『何言ってるの、誰のこと?』『君のこと。えっ、違った?』

          講談:なんだかんだ熊之丞《結婚するって聞いたけど》 恋人たちの別れには様々ありますが、就職で時が合わなくなり自然消滅ということも少なくないようです。

          講談:なんだかんだ熊之丞《玉手箱の葉書》

          人というものは思い出が糧となり、人生が豊かになったりもするものだそうですが、それは中学の卒業式を終えて数日後のこと、1枚の葉書が届きました。明るい花柄の中にたった一行『いつまでも忘れません』これは一大事、嬉しさを抑えつつすぐに連絡をと思いましたが、添えてある名前に心当たりの同級生が2人。漢字では違ってもひらがなでは同じ名前です。今更漢字でと願ったところでどうにもなりません。さりとて相手を間違えて恥をかくには勇気が足りません。悩むうちに日は流れ、高校生活が始まります。新たな生活

          講談:なんだかんだ熊之丞《玉手箱の葉書》

          《クマさんの引越し》 (出演)シロクマサン (特別出演)某有名不動産コンサルタント 「雨漏りするから引越したいけど、物件探しって難しいなあ。誰か詳しい人いないかなあ。あれ、あそこで犬を散歩させてる人、有名な不動産コンサルタントだ」

          「雨漏りするから引越したいけど、物件探しって難しいなあ。誰か詳しい人いないかなあ。あれ、あそこで犬を散歩させてる人、有名な不動産コンサルタントだ」 「いつも見てます。プールと賄いの付いた物件知りませんか」 「藪から棒ですねえ」 「いえ天井から雨水なんです」 「あなたにぴったりの物件が上野にありますよ。家賃も年間2000円!」

          《クマさんの引越し》 (出演)シロクマサン (特別出演)某有名不動産コンサルタント 「雨漏りするから引越したいけど、物件探しって難しいなあ。誰か詳しい人いないかなあ。あれ、あそこで犬を散歩させてる人、有名な不動産コンサルタントだ」

          《クマさんギンさんの里帰り》出演:シロクマさんとペンギンさん 「あらクマさん、しばらく見なかったねえ。どうしてたの?」「ちょっと北極へ里帰りさ。おかげで帰ってきたら2週間巣ごもりだよ」

          「あらクマさん、しばらく見なかったねえ。どうしてたの?」 「ちょっと北極へ里帰りさ。おかげで帰ってきたら2週間巣ごもりだよ」 「そりゃ大変だったねえ。北極でもダメかい。それで、久しぶりの里帰りはどうだった?」 「それがさあ、前に住んでた氷がどこかへ流れちゃってさあ」 「当たり前だろう、陸地が無いんだから。やだねえ漂流生活は。そこいくと南極は大陸だから大丈夫。お盆にでも一緒に来るかい?精霊馬の代わりに熊に乗って、なんちゃって」 「ギンさん、まだ仏様じゃないだろう!」

          《クマさんギンさんの里帰り》出演:シロクマさんとペンギンさん 「あらクマさん、しばらく見なかったねえ。どうしてたの?」「ちょっと北極へ里帰りさ。おかげで帰ってきたら2週間巣ごもりだよ」