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講談:なんだかんだ熊之丞

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講談:なんだかんだ熊之丞《和歌を詠む》

講談:なんだかんだ熊之丞《和歌を詠む》

一席お付き合いを願います。恋ばなが大好きな古典の先生、男子はその先生を親しみを込めてエロ典と呼んでおりました。
エロ典が和歌を詠むという夏休みの課題を出したのですが、まともに詠めるわけはありません。パクってもいいが恋の歌というのが条件です。パクるにしても数多くの和歌に触れないとできません、それがエロ典の狙いだったのでしょう。
さて、せっかく恋の歌を詠むのだから、恋文にしようと思い立った者がおりまし

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講談:なんだかんだ熊之丞《開いた玉手箱(10年目の同窓会)》  先の《玉手箱の葉書》というお話では、中学卒業の時に『いつまでも忘れません』との葉書が届き、その葉書が玉手箱の中に納まるまでを語りましたが、今回はその後日談となります。

講談:なんだかんだ熊之丞《開いた玉手箱(10年目の同窓会)》  先の《玉手箱の葉書》というお話では、中学卒業の時に『いつまでも忘れません』との葉書が届き、その葉書が玉手箱の中に納まるまでを語りましたが、今回はその後日談となります。

中学を卒業して10年、同窓会をやろうという者がどの学校にも必ずいるものです。地元を遠く離れて久しく、実家にも滅多に帰りません。それが同窓会に出席する気になったのは、玉手箱に納めたあの葉書が思い浮かんだせいでもありましょう。
やがて同窓会の当日がやって参りました。同級生という変わらない温もり、そして変われない煩わしさ、そんな独特の雰囲気に包まれながら、彼女”達”をさがします。残念なことに出席は1人で

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講談:なんだかんだ熊之丞《結婚するって聞いたけど》 恋人たちの別れには様々ありますが、就職で時が合わなくなり自然消滅ということも少なくないようです。

講談:なんだかんだ熊之丞《結婚するって聞いたけど》 恋人たちの別れには様々ありますが、就職で時が合わなくなり自然消滅ということも少なくないようです。

一席お付き合いを願います。恋人たちの別れには様々ありますが、就職で時が合わなくなり自然消滅ということも少なくないようです。
そんな別れから1年、後輩ができ仕事も落ち着いてきた頃、ふと元カノの顔が浮かびました。電話をしようと思い立ちましたが何せ久々です、最初の言葉をどうするか迷いもしましょう。『元気?』『仕事どう?』などではインパクトに欠けます。思案してこれならばと思いついたのが『結婚するって聞いた

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講談:なんだかんだ熊之丞《玉手箱の葉書》

講談:なんだかんだ熊之丞《玉手箱の葉書》

人というものは思い出が糧となり、人生が豊かになったりもするものだそうですが、それは中学の卒業式を終えて数日後のこと、1枚の葉書が届きました。明るい花柄の中にたった一行『いつまでも忘れません』これは一大事、嬉しさを抑えつつすぐに連絡をと思いましたが、添えてある名前に心当たりの同級生が2人。漢字では違ってもひらがなでは同じ名前です。今更漢字でと願ったところでどうにもなりません。さりとて相手を間違えて恥

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