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ほぼほぼ火山の地域です:中北東部高山間地域【都道府県シリーズvol.29秋田県part2】

秋田県は地形的特徴から18の地域に区分できます(※筆者個人の見解です)。今回は中北東部高山地域です!

場所の再確認

しばらくぶりの秋田県ですので、再確認しましょう。

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04_周辺都道府県

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

秋田県は東北地方の北西部に位置しています。

地形区分

中北東部高山地域は上図の⑨地域です。

0409_⑨地域範囲市町村

⑨地域は鹿角市・北秋田市・仙北市の一部地域です。


地形を見る

ではさっそく行ってみましょう!

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山深い地域ですね。
特に西の森吉山(もりよしざん)、東の焼山(やけやま)、八幡平(はちまんたい)など標高が1000m以上の高い山が連なっています。

ちなみに焼山は新潟など色々な県にもあるため、秋田焼山とも呼ばれているようです。
また八幡平は山なのに「平」なの?とも思いますが、これは溶岩台地など平坦~緩やかな地形が目立つからなのでしょう。
確かに火山の地名には案外と「平」がつくものがありますよね。

0409_地形図_00

地域範囲を入れてみました。
この範囲では一定方向の谷や尾根などは目立ちませんね。
複数の火山があちこちで噴火しているため、広い範囲で一定方向の地層がつくられず、また古い断層の地形は火山噴出物に覆われて隠されているのが理由だろうと思います。


大地の成り立ち

ではこの地域一帯が、どのような経緯をたどってつくられたのか?見てみましょう。大きく分けて4つのステージになります。

〇ステージ1:中生代中期ジュラ紀~後期白亜紀
まだ恐竜が生きていた約1億7400万~1億5700万年前、日本はまだユーラシア大陸の一部でした。そこに海洋プレートの上に溜まっていた堆積物がくっつきます。お馴染みの付加体です。
そして時がたって約1億年~8400万年前の後期白亜紀に花崗閃緑岩が貫入します。

0409_地質図_01

森吉山の南東部に少しだけ見える灰色が付加体の混在岩(メランジュ)です。大陸にくっつく時にグチャグチャになって泥岩やチャートなどがごちゃ混ぜになってつくられた地層です。
そして濃いピンク色が花崗閃緑岩です。

これだけ?と思うかもしれませんが、これはあくまで地表に出ているものだけです。本当はもっと広範囲に分布しているのでしょうが、新しい堆積物に覆われて隠れてしまっています。

〇ステージ2:新生代古第三紀漸新世~新第三紀中新世
時代はザッと進んで、日本が大陸から離れていった時代。約2800万~720万年前、火山が噴火したり、海底に泥が溜まったりします。

0409_地質図_02

赤で囲った範囲内のうち、森吉山の北と南に見える茶色が安山岩玄武岩
南の薄いベージュが流紋岩。黄土色が砂岩泥岩です。
また地域の真ん中あたりに見える水色は海に堆積した泥岩。
北東の薄い黄色が流紋岩デイサイト(流紋岩と安山岩の中間)です。

〇ステージ3:新生代第四紀更新世カラブリアン期
またまた時代が進んで、日本は現在とだいたい同じようなカタチになった時代。約180万~77万年前森吉山などの火山活動が活発になります。

0409_地質図_03

この地域のほぼ全域が、この時代の火山噴出物です。
地域の真ん中や南東、北東に広く分布する灰色は火砕流堆積物です。
この地質図では一色ですが、実際には何種類かの別々の地層で、大半は溶結凝灰岩(火砕流が停止した時にまだ熱を持っていて、一旦溶けて固まった凝灰岩)です。
西の森吉山などあちこちにある真ん中の薄めの茶色は安山岩玄武岩の溶岩類です。

〇ステージ4:新生代第四紀更新世中期~後期
約77万~1万年前
、まずは八幡平で火山活動が起こります。
その後に焼山の火山活動が始まり、現在も活動中の火山です。

0409_地質図_04

赤で囲った範囲の東の茶色が八幡平の安山岩玄武岩の溶岩類。
西の茶色が焼山で、同じく安山岩玄武岩の溶岩類です。


以上のように、秋田県の中北東部高山地域は、その大部分が第四紀以降の新しい火山の噴出物でした。

お読みいただき、ありがとうございました。


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