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採用は「本音と建て前ゲーム」でいいの?

採用の仕事をしていて、うんざりすることがある。

企業も、応募者も、本音と建て前を分けていること姿を垣間見た時

近年は、採用において、性別、配偶者の有無、家族の職業、出身地や本籍、健康上のことなど、聞いてはいけない質問が増えた。もちろん、自分ではどうにもならないことで、合否に影響するのはよろしくないので、公平を保つためだ。その趣旨は十二分に理解できる。だが、それとは別に、こうした要因が気になるのも事実だ。

以前、内定を承諾してから、「精神的病歴があり休職していた」と人材紹介会社が言い出した。ある時は、「結婚する予定があるので、夫婦用の社宅に入れてくれ」と内定者が言い出した。またある時は、「会社の株の配当をもらっている。そちらに入社すると、配当を放棄しなければならない。補填してほしい」と要求してきた内定者もいた。

採用担当の立場として、「なんで先に言ってくれないの!?」と思う。でもそれは裏を返せば、「不採用にされる要因かもしれない」と、本人、もしくは人材紹介会社もわかっているからだろう。

確かに、持病がない健康な人、社宅費用が掛からない人、年収以外のお金を求めない人の方が、企業として、採用担当として助かる。だが、

「条件がある人、問題がある人=即、不採用」ではない

その人が、素晴らしいスキルや経験を持っていて、企業文化にあっていて、ポテンシャルを感じるなら、その条件をカバーできるか、社内の関係各所と連携し、検討は十分する。今の環境は、病気を再発させないだろうか、もし再発したら、誰が対応にあたるか。入社何カ月以内に入籍ならば、入社前に社宅に入ってもいいか、事例はあるか。もし、入籍延期や破談になったらどうするか。サインオンボーナスはいくら出せるか、この人は、どのくらいの職位になったら、会社の株が買えるか。「対応可能」と判断されれば、一見不利な条件の人だって、採用されることも十分ある。

また企業側も、「女性が少ないから、外部の採用は女性のみ」とか、「前回40代後半の人を採用して、すぐに辞めたからもっと若い人」など、決して表には出せない条件は多少存在する。ならば、対象外の人たちに、期待を持たせるような求人票を書いてはいけないし、仮に、そういう人が応募してきたときは、誠意をもってお断りをすべきだ。だって、そんな裏事情なんて全く知らず、多くの人は、純粋にそこの企業で働いてみたいと、仕事の合間を縫って時間をつくり、書類を作成し、応募してくれたのだから。

働くことは、会社へ行く準備、通勤時間なども含めれば、1日の半分近く、もしくはそれ以上の時間だ。ならば、その時間は出来うる限り、自尊心を保っていたい。生活費を稼ぐためだ、我慢して割り切って働くなんて誰もしたくない。

不都合なこと、弱みとは、その人の本質である。それを隠すのではなく、強みで輝いていて、そんな弱みが目立たない、または弱みがあっても、お互いにカバーし合える。本音と建前の境目なんてない、そんな採用が出来ないだろうかと、毎日考える。

追記:もとこさんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございました。

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日系、外資、大手、ベンチャー、様々な企業の採用の携わってきました。そして私も自信も、応募をして何度も不合格、不採用をもらいました。採用する側、採用される側、両方の視点から、「それって変じゃない?」と思えることをお話しすることで、仕事探し、キャリアの悩む方の心が少しでも軽くなることを願っています。

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