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ポルトガル記

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旅の記録(おおきい)
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【13日目の朝】都内のお家から

【13日目の朝】都内のお家から

2週間、時の止まっていた東京の我が家に帰ってきた。扉を開けたら引っ越してきたばかりの頃の、アパートのちょっと埃っぽい香りがして、帰ってきたことを改めて実感した。

窓を開けて、軽くご飯を食べる。シャワーを浴びて、テレビをつける。ちょっと一息ついたら部屋も私の気配に気づいたみたい。帰ってきてるよ、ただいま。

全ての荷物は取り敢えず部屋の隅に置いて、懐かしのお布団で眠り込む。そしてちゃっかり朝に目覚

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【12日目の朝】大きな荷物とホテルのベッドから

【12日目の朝】大きな荷物とホテルのベッドから

昨日から最後の街で過ごしていて、のんびりと観光していたらあっという間に帰る日の朝を迎えた。

暑くて焦げそうな昼も、寒くて凍えそうな夜もすでに恋しくなっている。やっとひとりで電車を乗り継いだり買い物を楽しむことができるようになったというのに。

最後の夜は友達と、近所のスーパーでおつまみやお酒を買い込んで、たくさん笑ってお喋りをして、倒れるように眠り込んで終了した。

橙色のランプが照らす赤い絨毯

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【10日目の夜】コインランドリーで待ちながら

【10日目の夜】コインランドリーで待ちながら

溜まった洗濯物と一緒にコインランドリーへ行った。着慣れた洋服が知らない国でグルグルグルグルと回っている。

新しい街での数日は、学生時代に戻ったかのような賑やかなで目まぐるしい日々だった。

朝起きて、同室の友達におはようを言う。眠い目を擦って食堂に向かい、パンにハムとチーズを挟んで齧る。珈琲は必ずおかわりをする。余ったリンゴはバッグに忍ばせる。

その後は学校のような場所に行って、色々なことを勉

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【8日目の夜】新しい街のベッドから

【8日目の夜】新しい街のベッドから

このお家で過ごす最後の朝ごはん。パンとママさんの作ってくれたケーキとコーヒーを頂く。

この窓の景色も最後だ。

駅まで車で送ってくれて、最後のあいさつをした。リスボンからレイリアへ、ポルトガルの旅も後半に差し掛かる。

電車に揺られてのどかな街へ。満員だったけど、知らないフランス人のおじさんに隣の席を薦めてもらってお喋りしながらのんびりすごす。何を言ってるかは半分くらいしか分からなかったけど、と

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【7日目の夜】この町での最後の夜から

【7日目の夜】この町での最後の夜から

数日間に渡るポルトガルでのお祭りが終わった。昨日は野宿で、雲ひとつない空の下、寝袋にくるまってたくさんの人たちと一緒に深く深く眠り込んだ。

綺麗な小麦色になって疲れ果てた私は、フラフラの足で大好きなホームステイのママさんのいるお家へ帰る。

当たり前のように地下鉄に乗り、途中で乗り換え、スタスタと出口に向かって歩き、フルーツを買って帰るほど、ここでの暮らしを楽しむことができた。

家に帰るとママ

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【6日目の明け方】夜明け前のベッドから

【6日目の明け方】夜明け前のベッドから

真っ直ぐ届く太陽の光に耐えながら、日向での忙しい毎日が続いている。ポルトガルでのお祭りはまだ続いている。

慣れない環境に疲れも出てくる頃。私はお日様の光にやられて石段の影で小さくなっていた。

向かいの真っ白な塀から生えるしぶとそうな雑草の花を見つめながら、こんな風に強く生きたいなあと考える。

そのまま雑草を見つめ続けて時間が過ぎていく。少しずつ元気が出てきた。

たまには、無理せず、みんなと

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【4日目の夕方】キッチンの椅子から

【4日目の夕方】キッチンの椅子から

昨日はリスボンの真ん中で大きなお祭りがあってたくさんの国の人々が歌ったり踊ったりの大騒ぎだった。数日間続くお祭りの始まりだ。

始まりだというのに人の流れや、新しい人々との出会いに疲れ果ててしまう。

「どこからきたの!?日本!一緒に踊ろう!」こんな調子で一日を過ごした。

他の国の人のキラキラとした瞳に精一杯のお返事を頑張っていたけど、言葉も達者じゃないし人付き合いもそんなに得意じゃない。ついで

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【3日目の夜】朝が始まるときのこと

【3日目の夜】朝が始まるときのこと

ポルトガルのお家で朝を迎えた。8時間の時差があるのにしっかり7時過ぎに目覚めた。

顔を洗って支度をしていたら、ポルトガルママさんも起きてきて温かいミルクとパンを用意して待っていてくれた。

ぼんやり窓の外を見つめながら、パンにバターとハムをのせてかじったこの時間を私はずっと忘れないだろう。

汗ばんだ服たちを洗濯機に突っ込んで洗ってもらう。洗濯物を窓の外にひっかけて、これだけ乾燥してればすぐ乾く

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【2日目の夜】パステルカラーの街の角から

【2日目の夜】パステルカラーの街の角から

真っ青に落っこちそうな濃い空色によく映える、からりと乾いたパステルカラーの壁が夢みたいだ。

無事にポルトガルに到着しました。

日曜日のせいかのんびりとした空気が漂っていて、みんなそこら中でビールを飲みながらタバコを吸って一生喋っている。

ロックンロールな爆音がどこからともなく聴こえてくる。音漏れを聴いて頭を振る太ったおじいさん。花柄の真っピンクなワンピースを着てバスを待つぴちぴちのおばあさん

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【1日目と2日目の間】トルコのビジネスホテルから

【1日目と2日目の間】トルコのビジネスホテルから

ポルトガルに行くのにトルコで乗り換えるのだが、待ち時間なんと12時間。近くのホテルを予約してもらい、具体的な行き先は分からないままシャトルバスに詰め込まれトルコの市街地に降り立つ。

飛行機のなかはうつうつと映画を観ていたせいで結局あまり眠れず。6時間分の太陽を追いかけて、いつまでたっても始まらない夜。やっとのことさ日が暮れて、旅が始まってはじめての夜をむかえた。

ホテルのレストラン内を当たり前

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【1日目の朝】空港へ向かう車窓から。

【1日目の朝】空港へ向かう車窓から。

おはようございます。夏が来ましたね。
まだ陽の上がらないうちに珈琲を淹れて、寝不足の頭を起こします。

写真は出発前の台所。

私は今日から2週間仕事をお休みして旅に出ます。ポルトガルです。

大きな祭があるのと、友達に会うために、色々よりみちをしながらリュックひとつで過ごす予定です。

たくさん楽しいことや辛いことがあると思って、ここに毎日ちいさく記録したいと思っています。

このマガジンが宝物

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