研究者として選択した道:大学でなく、なぜ企業を選んだか
ゆーです。
突然ですが、最近「理系学生の悩み・不安・困りごと」をずっと考えてます。
なんの話かと言いますと、普段ボクは企業で研究者をしながら、SciKaleidoというチームで科学の面白さを伝える活動をしてます。
今までにない新しい視点で、科学に触れられることを目指しています。
「学校で習う科学」と「研究の対象となる科学」は別物、とボクは思ってます(無論、教育的な科学は必要!)。
そんな、研究につながるような科学の面白さを伝えたい。
その相手は、まだ「研究者」という職業を選んでいない大学生や高校生です。
と、決してこの場で宣伝じみたことを書きたいわけではありません。
もちろん、“面白い”を伝えていくのも大切です。
ただ個人的には、すでに研究者になる道を選んでる大学院生は、そもそも不安を抱えていたり、色々悩んだりしてるんじゃないかなと思いまして…。
「そういう部分って助けられないのかなぁ」と以前から思っていまして、ここ数日で特に再燃し、頭の中でグルグルと考え続けてます。
で、ふと自分の進路を思い返してみたわけです。
「なんで企業で研究しようと思ったんだっけ?大学でも研究できるのに、どうして企業に??」
ということで、一度書き起こしてみようと思った次第です(学生さんのお悩みに関しても、いつか考えていることを書きます)。
では、早速内容に!
博士号まで取得しておいて「え?」って感じもしますが、そもそもボクは「研究者になりたい」と思ったことがありません。
「いきなりなんてことを!?」と思われるかもしれませんが、紛れもない事実ですし、なんなら企業で研究をしている今でもそうです。
かといって、研究が嫌いなわけでもありません。
楽しいなぁと思うこともよくありますよ?
ただ、「これをめちゃくちゃ研究したい」というものも特になく…。
あと、他のことにも興味があるっていうのもあります。
(現に冒頭の活動なんて研究でもなんでもありません。)
でもですね、大学を卒業する時点では「とりあえず研究者として、しばらく生きるか!」と思いました。
正確には、学生の間ずっと思ってました。
特に他に秀でているものもなかったですし、別の場所で一度くらい研究してみたい気持ちもありまして。
研究をしたいというより、「違う環境で研究をするのが、どういうことなのか?」に興味が…!
となると、企業に進むか、大学で研究をするのか…(正確には他にも研究機関などもありますが、ややこしくなるので割愛)。
結論から言えば、大学に残る選択肢はなかったですね。
まず、大学に残るなら選ぶ道は、専門でやっていた領域しか考えられませんでした。
大学に残るには、それなりの成果が求められますし、異分野に足を突っ込むと、なかなか苦しいなぁと。
でも、専門にしていた領域には優秀な先輩も同期もわんさかいて、彼らが居場所を求めて今か今かと控えていました。
「うーん、厳しい世界だ」
もちろん、恩師の先生に頭を下げて、雇ってもらうというのも選択肢としてはありました。
でも、環境だけはどうしても変えたかった。
成長しづらい気がして…。
ボクは、結構なリアリスト(現実主義)だと思います。
なので当時は、厳しい世界である大学に残ることを、割と無謀な挑戦に思いました。
(今では、出世できるかどうかは別にしても、「大学に戻るのもありなのかな?」と思えるようにもなりました。またどこかでお話しできたら…。)
学生時代、そこそこの成果は残してましたが、言っても“そこそこ”。
厳しい言い方をすれば、そこそこの成果しか出せない実力でした。
「努力あるのみ!何倍も努力すれば、きっと!」というのも否定はしません。
でも、そこまで研究にこだわる必要もボクには無かったので…。
尊敬する恩師にも言われました。
「やめとけ。お前には無理や。」と。
厳しいお言葉でしたが、ボクのことをきちんと見てくれた上でのものだったと思います(先生に言われたから辞める、という選択はしてません。元々、頑固なもので笑)。
とまぁ、自他ともに厳しいと思ったので、さすがに大学という選択肢は消しました(とある先生には「残って一緒にやろうよ!楽しいよ〜?」と誘ってもいただけましたが…)。
で、とある企業を受けてみたら、幸い受け入れてもらえたので入社を決めました。
1ミリも後悔なし!
強がりでもなんでもなく心から思ってます。
入社したら、なおさら強く思いました。
企業に入って良かった、と。
研究の環境も違えば、学べることも全く異なります。
何より、研究以外のことをたくさん見ることができます。
もちろん“大学にいると見れない”、なんてこともないかと思いますが、ビジネスの視点が色濃く出るのは、やはり企業かと。
幅広く色んな世界を知りたいボクには、企業が合ってました。
しかも、別に企業にいたからといって、研究のレベルが落ちるなんてこともありません。
なんなら、それなりの企業であれば、お金もあるので設備が整っています。
いろんな専門家もたくさんいます。
このあたり、大学の一般的な研究室とは大きく異なりますね。
そうなると、あとは自分次第なところも大きい。
意図せず、実力勝負の世界になりました(まぁ当たり前です笑)。
が、それもむしろ良かったと思います。
ちなみに、学生の頃よく耳にしたのが、「企業の研究はつまらない」ということ。
入ってみて思いますが、もちろん、そういう研究もあります。
でも、これって別に企業に限りませんし、大学でもそう。
もっと言えば、面白くするか・つまらなくするか、これはやっているその人次第な部分も大きい。
厳しいことを言えば、「俺につまらない研究をさせるな!」と文句を言う方は、大学でもつまらない研究をすることになる気がします…。
企業と大学、どちらが優れている・どちらが良い、そんなことはわかりません。
そもそも比較できるものではありません。
“人によって合う合わない”は、あると思います。
ボクは、卒業後、大学で研究をしたことがないので何も言えませんが、少なくとも企業でする研究も楽しいです。
少しでも学生の皆さんに、良いイメージを持ってもらえれば…。
(今回は、まだまだ抽象的なお話でしたので、もう少しだけ具体的なものを近々書く予定です。書き始めたら、どんどん膨らんでしまい…苦笑)
企業研究者もいいぞー?
気づきなどのきっかけになれば幸いです。やはり応援していただけるのは、ものすごく嬉しいですし励みにもなります。またぜひお立ち寄りいただければ… (いただいたサポートは、今後の活動資金にさせていただきます。何かしらの形で還元させていただければと思ってます。)