マガジンのカバー画像

日常

51
運営しているクリエイター

#散歩

私の帰りたい場所

私の帰りたい場所

帰りたい場所。

ゆっくりと道端に咲く小さな花の名前を思い出しながら、坂を上る。

気がつくと、目の前に広がる緩やかな山々。

その時、こだまするように各駅停車の列車が山肌の線路を音を立てて通り過ぎていった。

亡き父とこの道を歩いて駅まで行ったような気がする。
私が故郷を離れる時、一緒に歩いた道。

故郷の町を散歩して思い出すのは、父のサンダルばきの足音。

右足の踵のできものをかばうように、カ

もっとみる
何でもない夏の一日

何でもない夏の一日

何でもない1日。

のんびりと歩いて図書館へ向かう。
小さな公園のけやきの木の下は、蝉時雨。
思わず、立ち止まって音色の雨に打たれてみる。

すれ違った自転車の前椅子には、
くりくりした瞳のぷくぷくほっぺの男の子。
見ているだけで、笑顔になってしまう。

帰り道、いつもの和菓子屋さんに立ち寄って、
悩んだ末、おすすめのショーケースの
柔らかそうな、麩饅頭を買ってくる。

そんな散歩してきた日は、

もっとみる
ちょっとそこまで、散歩して。

ちょっとそこまで、散歩して。

今日は久しぶりに近所の庭園に散歩。

ヤマアジサイも梅雨空にさわやかな色を放ってくれていたけど、

私はこの、スッーと背を伸ばして、
白い花をうつむき加減に咲かせている、
タイワンニシンボクの花が
気になりました。

上からみたり、下から見上げたり、
お花に近づいてみたり。

色々な角度からみると、
どんどん面白くなってきました。

前から見るだけでは、見えないものもあるし、
下から見上げて、周り

もっとみる
小雨の中、散歩してみました。

小雨の中、散歩してみました。

私は母を介護していたころ、
しだいに弱っていく母を見つつも、

実家の小さな庭の植物や
ふるさとの風景の中に
自然の豊かさや、
日々移り変わる命の息吹を感じ、

自分の心の支えにするようになりました。

汚れてしまったシーツを洗いながら、ふと顔を上げると、つゆ草の花を見つけたり、

買い物した重い荷物を持って、
坂を登りきったところで振り返ると、穏やかな海が見えました。

私にとって、小さな花や故

もっとみる