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とあるメンバーの人事支援活動のリアル

こんにちは、株式会社Challenge Fund(株式会社チャレンジファンド) 代表の根本です。今回は弊社メンバーが現在進行中のプロジェクト事例をご紹介します。同業界でかなり活躍していたメンバーですが、コンサル側と事業会社側での違いに毎日たくさんの気づきがあるとのこと。特に(すごくシンプルなことですが)、言うのとやるのとは全然違うと改めて感じさせられる事例になっております。一体どのような過程で進んでいるのか書き残しておこうと思います。

※顧客の企業概要や個人プロフィールは仮名とさせていただきました。実在の人物および企業とは異なります。

社長はやりたいこといっぱい

佐藤社長は好奇心旺盛でエネルギッシュな人でした。「toBのビジネスもやりたい」やると決めたら突き進むタイプ。次の事業計画も進んでいます。資金繰りや着工の目安もついていました。


佐藤社長のご依頼は「いろいろやりたいんだけど、自分がぬけてしまうと店舗もあるし従業員に給与も払わなきゃいけない。一気につぶれる可能性がある」新規事業も進めたい、既存事業も成長させたい。しかし自分が新規事業に入り込んだときに現行の事業があやうくなる可能性がある。最悪なのは売上が停滞、もしくは立ち行かなくなるかもしれない。

社内の仕組みをきちんとしないといけないのは感じているが、いったい何からどうしたらいいのか。

■顧客概要
日本酒製造販売の老舗です。1瓶20万円以上の商品もあります。
・業種:酒類等製造販売
・年商:5億円
・資本金:1000万円
・店舗数:5
・従業員:33名
社長の佐藤さん、社長の息子さん、企画管理部門6名、製造部門10名、店舗運営と外販営業計15名。※顧客の企業概要や個人のプロフィールは匿名とさせていただきます。実在とは異なります。

社長の課題

一番困っていたのは、社長がトップセールスマンで現場を離れられないことでした。売上の8割が社長とその息子さんの2人が占めていて、従業員の売上が伸びないことでした。売上5億円の内訳は、社長が2億3千万円、息子さんが1億8千万円、この2人で合計4億円超です。残りの約1億円を15名で売上げていることになります。
こうしてみると明らかなんですけど、トップ2人が売上の8割を占めていました。

今回の依頼の最終目的は、社長は自分が現場営業の先頭を走らなくても任せられるような組織にすること。創立当初からずっと思ってらっしゃることかもしれません。今は息子というナンバー2はいるけれど、事業が育てば育つほど、事業継続のため後継者問題は常にあり続けます。「だからChallenge Fundさんに人の部分で助けてほしい」というご依頼でした。

一番やりたいのは「人の採用」とのこと。内情を聞くと、採用してもすぐ辞めてしまったりするから、居続けてもらうにはどうしたらいいか、そして今いる従業員をもっと活躍させたいのはどうしたらいいか。佐藤社長は課題を把握していますが細かい戦略や手順については全て弊社にまかせてくださることになりました。

2つの軸。新規採用と現状改善

人の問題、というとすぐ思いつくのは採用です。しかし現状の課題から考えると優先すべきは今いる従業員を活躍できるようにすることでした。新規採用しても辞めていってしまうということは、現行組織に問題があるかもしれないと考えました。組織や店舗の在り方や、従業員のコミュニケーションのしかたに問題があるかもしれない。良い人を何人採用しても居つかないなら、これまでと何も変わりません。

新規採用
採用マーケティングをはじめました。採用ツールとしては、ウォンテッドリーを活用します(https://www.wantedly.com/)。すぐに面接や採用に直結ではなく「会社を見に来ませんか」という軽い雰囲気で紹介しています。会社へのアプローチのハードルを低くし、若い人に気軽に触れてもらう機会になればいいなと思っています。今すぐ応募、採用面接、ではなくて組織が整ったら新規採用につなげるための土台となります。

現状の組織の改善
従業員の一人ひとりに、1対1で面談をはじめます。1on1の取り組みです。
事前に社長と相談し、従業員から聞いた話は社長には伝えない約束をしました。よほど至急対策が必要な場合のみ社長に相談することにしました。

1対1面談がはじまった。

従業員のなかには弊社メンバーを怪しむ人もいました。そりゃそうですよね、外部からやってきたやつがいきなり「1対1で話しましょう」というのですから。ときには「佐藤社長とつながっているあなたと面談したら、どうせ社長に伝わるんでしょ」と言われました。

丁寧に背景を説明して、メンバー自身がやりたいからやらせてもらっていること、社長には言わない約束をしていること、聞いた内容は他の従業員にも漏らさないこと。そして、困っていることで改善できるものは僕から会社に働きかけて、少しでもよくしていけるよう橋渡しの役目をする。

メンバー自身は社外の人ですが、会社をよく知っているので話の状況が通じやすいようで話すことでスッキリする人が出てきました。

5つの店舗それぞれに課題が全部違っていました。面談で吸い上げた話を分類して、ただの愚痴、すぐに改善しないといけないこと、改善は必要だけど今すぐやるべきことではないことと分けて緊急性の高いものから変えていきます。実際の改善例をご紹介します。

面談からすぐに改善したこと

2号店が一番きびしい状況でした。従業員が辞めてしまったり、体調をくずして入院する人が出てしまいました。2号店は人数が少ないこともあって佐藤社長が入っていました。面談でわかったのは「働き甲斐はありますが、体力的に本当につらいんです」

なぜかというと、1号店の運営は息子さん夫婦で、子育てや子どもの送り迎え等で奥さんが17時に帰り、営業終了の19時で息子さんも帰ります。そうすると他の従業員は帰りやすいんですね。

2号店は社長が夜22時までいる日があるため、従業員は帰りたくても帰れない。面談では「社長は途中で外まわりもするからご存知ないんです。強盗やトラブル対応のために2名体制を守らなければならない。最後までいなきゃいけなくなる。わたしたち、帰れていないです」なかには朝10時から夜22時まで勤務する日もあるそうです。佐藤社長は良い人ですが、語気が強く、社員はなかなか言い出せないそうです。

他の従業員からは「入院したあの人は、現在の契約が終了したら辞めるかもしれません」と聞こえてきました。佐藤社長はその人を店長候補で育てたいと考えていたので絶対にやめて欲しくなかったし、活躍してほしかったんです。

1月に面談したことを受けて、2月すぐにフレックスタイム制を導入しました。従業員たちは「そんな提案、ぜったいに社長が呑むはずないですよ」と言いましたが実現することができました。

そして、弊社メンバーが提案したら改善できるという構図が生まれました。社内の人がいくら言っても変えられないけれど、彼が言ったら変わる。実はこれこそ佐藤社長と話し合って決めたことでした。

「お願いがあります。社長が改善したから変わるのではなく、僕との対話を通して会社を変えることができる、という仕組みにしてください」ワンマン経営の形を変えなければ体制を変えることができないと考えたからです。

入院していた従業員が退院しました。彼はすぐに電話をして「フレックス制になりましたよ!」というと電話の向こう側で「本当ですか?!本当に変わったんですか?!あの社長が承諾したんですか!」大きく驚いていました。

面談2回目はじまる。まだまだこれから

3月に面談2回目がはじまりました。まだまだ課題が出てきています。例えば外販営業部ではベテランが若手に対して「口を出すなら最低限の結果を出してから言え」後輩は「こんなに頑張っているのに!何も教えてもくれないのに」ののしり合っている。このように悪化しきった関係をどう立て直すのか。

他にも、これまでは欠員補充ばかりに目がいっていました。2号店を中心に人が辞めてしまうから、求人広告に高いお金を出していました。で、10人応募が来て、しかしどの人も欲しい人材ではなかったけど、人が足りないからとにかくその10人の中から採用していました。人材営業からしてみれば「採れましたね!おめでとうございます!(成果報酬いただき!)」こちらからしてみれば「採るしかなかった。他にいなかったから仕方ない‥(ため息)」結局のところマッチングしたから採用したのではなく、ほかにいないから、仕方なく目の前の10人から消去法で選んで採用、そして辞めていってしまう。悪循環から抜け出せない。こんな採用方法は変えていかないといけないんです。

採用と現行改善については、短期・中期・長期的フェーズに分けて進めています。短期的な改善から着手しつつ、今いる従業員の定性的な特性がわかったら定量的なデータを与えて、最良のチーム配置をつくっていくのが中期的な計画です。まだまだこれから、です。

ちょっと長くなってしまったので今回はこのへんで。
昨今コロナの影響で先行きん見えない状況が続いておりますが、このような状況だからこそ、弊社は一丸となって上流~下流まで、全力でご支援に取り組んでおります。
今回は、その一部を公開させて頂きました。足元のところまで入り込んで、まるでその企業の人事のように動いてくれているメンバーにも感謝です。
今だからできることは沢山あります。その部分をチャンスと捉え、前向きに進んでいきますので、引き続き、宜しくお願い致します!

それでは、また。

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根本雄輝:株式会社Challenge Fund(株式会社チャレンジファンド)代表取締役/CEO。2019年12月に会社を設立し、人事・採用・組織構築などの人事顧問サービスを提供しています。このnoteは事業の紹介や組織論、日々の雑記などを記しています。
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*自己紹介「初めまして。根本雄輝です」
https://note.com/yukinemoto0324/n/nb15e1187cdc6

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