見出し画像

色を染める際に意識するべきこと

染め物で、何か色を染めるに際して・・・

薄い色を染めるにあたっては「ただ色が薄い」色ではダメなのです。

色をつくることと、料理の味を決めることは良く似ているので、料理の味で例えると・・・

薄い色の場合、例えば、薄味のお吸い物で、塩味は薄めの味わいだけども、出汁の味わいがしっかり深いような、そういう薄色にしなければダメなのです。

(もちろん出汁を濃くすれば良い、という意味ではなく、出汁と調味料と具材のバランスが取れていなければなりません)

例えば、草木染で染める場合に、濃い色を染めた残りの染液で薄い色を染めたらダメで「薄い色用の染料と媒染を用意して染めること」が大切です。

ようするに、薄い色なら、最初から薄い色用のバランスと濃度でしっかり染めきることが大切です。

そうすると、薄い色でも豊かで、しっとりとした、奥行きのある色になります。

濃い色を水で薄めれば、濃度としては薄い色になりますが、それが「良い薄い色」ではない・・・【濃い色を薄めた色が、薄い色ではない】ということですね。

それは、例えば「濃い出汁と濃い調味料の味」の代表のような「藪そば系のせいろ蕎麦のツユ」を、ただお湯で薄めただけでは、かけそばのツユにはならないようなものです。

もうひとつ料理で例えるなら、

出汁を取った出汁ガラで、出汁を取っても良い出汁にはなりません。それでは「痩せた味」しか出せません。

ということです。

草木染では、何かの色を染めた後に残った染液(植物の皮、根、幹などを煎じたものが多い)を使って薄い色を染めたりしますが、それだとやはり潤いのある色にはならず、痩せた感じの色になります。耐久性も悪くなります。

その出汁ガラから取った出汁を良い味にするには、結局は他から良い味を付け加える必要が出てしまうのです。草木染の色も同じです。

それゆえに、最初から、薄い味付け用に出汁を取る、濃い味付け用に出汁を取る、それぞれやり方を変えて使い分けるべきなのです。

もちろん、濃い色でも同じで、ただ濃度が濃いだけの色は、単に醤油味が濃いみたいな、調味料の味だけが濃い、痩せた味わいになります。

濃い味でも、調味料の味が強いだけではなく、しっかり出汁味や素材の味がある味が美味しいように、色も同じで、濃い色の背景にしっかりした密度が必要です。

主軸に出ている色の背景にある反対色や、同じ色でも違う種類の色味、そういうものが主軸の色の奥行きを作ります。

それは、例えるなら、箱にびっしりと入れたゴルフボールが主軸の色で、そのゴルフボールとゴルフボールの間を埋めるパチンコ玉がその背後に回って密度や奥行きを上げる色、というような関係です。

そのようなことを考えて色を染める必要があります。 

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?