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僕はLGBTのTであるトランスジェンダー。女から男に性別を変えて生活している。鈴木優希。

仕事は地元名古屋の錦三丁目という繁華街で、同じFTMを主に雇用したオナベバーVenusを16年経営している。昨年2022年にはオナベという枠にとらわれずもっと多くのセクシャルマイノリティ、性別違和で悩んでいる人たちの自分らしく働ける場所としてFTMゲイの店長に任せた系列店舗「LGBTQBARジローズ」を開業した。

水商売のイメージって正直どうですか?

怖そう? 昼夜逆転でまともな仕事じゃない? お酒飲んでお金がもらえて楽そう?

昔から僕たちのようなLGBTの受け皿として切っても切れない水商売。
理解が進む令和の今の時代でもこの街に集まって来る当事者は多いが、決してイメージは良くないだろう。

それに拍車をかけたのが、

3年前の流行り病。
クラスターになっているのは夜の街だという過剰なマスコミ報道だ。一番に休業を要請されて、密で危険な場所というイメージが先行した。
その結果、名古屋一番の繁華街である錦からもネオンが消え、人が消えた。

ゴーストタウン。まさにその言葉がぴったりで、僕の店Venusからも
「水商売に先はない」「泥船には乗れない」と次々にスタッフが辞めていった。

僕自身もこの先、どうなってしまうのかと不安に駆られたが、その時にお客様からかけて頂いた言葉が僕を支えた。それは、

「水商売はなくならない仕事だから大丈夫」「時は経つ。今辛抱しなさい」

それでも当時、不安そうな顔をしていた僕に「なくならないと言い切れる理由は、人と人との触れ合いを提供する商売だから」と続けてくれた。
それは、リモートでもAIでも出来ない。そこに人がいて、話をする事が価値。それを売っている水商売は無くなる事はない。

確かに、どんな時代でも無くならないと言われている風俗産業も同じ。
密を売りにしている業界であり、水商売よりも影響があるイメージだったが実際に、僕の店のお客様が働かれている風俗店も一時的に厳しくはなったが、お客様が来ないという日はなかったと教えてくれた。VRが出たって、ラブドールの質が上がっても、やはり生身の人間に勝つことは出来ない。

例え、リスクを負っても人に会いたくなる。それが人間の性である。
来なくなった方ももちろんいるが、逆にその時期から来ていただいたお客様も居る。入れ替わりはあるがゼロにはならない。

そして今だ、なお第8波だとまた報道されているが、そのお客さまが言っていたように最初ほどの影響はない。

水商売

先日面接に来た子からの質問。
「稼げますか?」
僕は「頑張れば稼げる。稼げる可能性は大いにある世界だよ」と答えた。

水商売は大金を短期間で稼げるというイメージを持っている子も多いが、それは売れるか売れないかで天と地ほどの差がある。
実際にVenusでも月に50万以上稼ぐ子もいれば、コンビニの深夜時給と変わらない最低保証で働く子もいる。
年功序列も何もない。人気が出れば、年齢も経験もすっ飛ばせる世界。
完全実力世界。
売上が多いのが価値。人気のあることが価値。わかりやすい世界である。

しかし、その「売れる」までが厳しい。簡単ではない。

「どうしたら売れますか?」そう聞いてくる新人に僕が伝えるのは、
「なるべく多くシフトに入って、休まず店に来ること」
当たり前すぎる答えに拍子抜けされるが、これに尽きると僕は思っている。
簡単な事だが、それを続けることが出来る子は少ない。
顔でも接客スキルでもない。とにかく毎日続けることが出来る子が稼げるようになる可能性が高い。例え、もし売れなかったとしても、店側からは信頼され評価され給料が上がる。
当たり前に、店に出てお客様の前に出ること=チャンスなのだ。
お客様も初めは厳しいけれど、めげずに頑張っている子のことは必ず見ていてくれる。

チャンスは突然に

実際にVenusのスタッフで5年売れなかった子が6年目に開花して、今では月のMVP常連の子がいる。コツコツ頑張ってきたことが花開いたパターン。

チャンスはいつ巡って来るかわからない。
この子だってもし5年目に心折れて辞めてしまっていたら、稼げている今はないのだ。

水商売も派手に見えるけど、同じ「仕事」 忍耐もいるし、継続も必要。
そして、不安定に映る世界かもしれないけど、無くなる事のない業種であることを知って欲しい。

なんだかんだと言われる水商売だけれど、僕は大好きな商売だ。
僕に自信とやりがいを与えてくれた。

 自分らしく生きる場所。


2022.7.19(火)LGBT社会人交流会「BRUSH UP」第10回無事終了。沢山のご参加ありがとうございました!

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鈴木優希のセミナー活動関連のお知らせ、性同一性障害のお子様を持つ親御さんへのメッセージなどLGBTについてのコンテンツを掲載しているオフィシャルサイトもご覧いただけたら嬉しいです。そしてコメントもお気軽にお待ちしています。


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