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読んでよかったWikipedia 2023

電車通学をするようになってから、電車内でWikipediaを読むのが趣味になった。
記事から記事へと渡り歩く知識のトリップが楽しくてしゃーない。

なかでも僕の琴線に触れた"よかった記事"はスプレッドシートに日々まとめており、Wikipedia歴2年目にしてその数なんと大台の250を突破した。

今回は、そのうちのさらに秀逸なものを選び、紹介していきたい。



【レギュレーション】
・僕が独断でスプレッドシートにまとめた傑作記事のなかから、さらに選りすぐったものを紹介する
・僕が2023年に読んだ記事から選ぶ
・カテゴリー等は除き、記事に限定して選ぶ
・もし読んだ当時から記事が編集・削除されていても、知らんぷりをする



上記のレギュレーションで絞り込んでいったところ、今年は19記事が選ばれた。
中途半端だけども、「各位の和が10になる最小の数」だから許してほしい(出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)。







1.ダイヤモンドゲーム

おそらくみなさんご存じであろう、ダイヤモンドゲーム。
一つのセットでボードゲームが12種類くらい遊べるあれに必ず入っていることでおなじみ。

今年は七並べに凝っていた時期があり、その繋がりで、いろいろなテーブルゲームを調べていたのだ。


ダイヤモンドゲームには「チャイニーズ・チェッカー」という別名があるというが、

ダイヤモンドゲームはハルマを基に創作されたゲームで、1892年にドイツでStern-Halma(ドイツ語で「星形ハルマ」)として売り出されたのが最初である。
アメリカでは後にエキゾチックな効果を狙って「チャイニーズ・チェッカー」として売り出されたが、中国と歴史的な関係はなく、チェッカーでもない

この言われようである。

あまりのズタボロさに、快感すら覚えてしまった。




2.カフェ―(風俗営業)

カフェーとは、20世紀前半に日本で流行していた風俗店の一形態だ。

奈良の遊郭(木辻遊郭、郡山新地、宝山寺新地)に興味を持って調べていたらたどり着いた。


このnoteでは、カフェーの営業形態などにはあえて触れないでおく。気になる方は各自検索!検索ゥ!してください。

その代わりといってはなんだけど、うんちくを一つご紹介したい。

純喫茶」という呼称があるが、これは酒類の提供や女給の接待を売りにするカフェー(特殊喫茶)に対して「純粋にコーヒーを売りにする喫茶店」という意味である。

Wikipediaには、こういったうんちくを収集できるという楽しさもある。




3.ボッキディウム・チンチンナブリフェルム

カメムシ目ツノゼミ科の昆虫。
名前だけじゃなくて、姿も奇妙で興味深い。ツノゼミ科は全員こんなの。

ゆる言語学ラジオのどこかの回で堀本さんが言っていて、大爆笑した記憶がある。


ラテン語で「鈴」の意がある“tintinnabulum”に「…を持つ」の意がある接尾辞“-fer”を合わせたもの。

「ボッキ」「チンチン」「ナブリ」が組み合わさってるの、奇跡すぎるだろ。
「ディウム」の「ディ」も"dick"っぽいので、これはもうすごい確率だ。




4.チンチンナブルム

さきほどの「チンチンナブリフェルム」に関連して。


古代ローマ時代に使われた魔除けの一種。それは風鈴または組み合わされた鈴であり、大抵の場合勃起した陰茎をかたどっていた。
邪視を遠ざけ幸運と繁栄を呼び込むと考えられていた。

これはおそらく「ファルス」という陰茎への信仰の一種で、日本だと田縣神社とかが有名。
「邪視を遠ざけ幸運と繁栄を呼び込む」らしいので、みなさんも玄関に飾ってみてはいかがだろうか。

本記事では"tintin"と「ちんちん」との関係についても熱烈に論じられていて、実に面白い。




5.ヴァギナ・デンタタ

ラランドの声溜めラジオで、サーヤが映画「歯まん」について喋ってたから調べてみた。

下ネタ的な記事ばっかり取り上げて申し訳ないが、これでおしまいなのでもう少し辛抱してください。


ラテン語で「歯の生えた膣」・「歯のある膣」を指す言葉。
膣に歯や牙が生えていたり、膣の中に武器があったりする女が、誘惑した男を殺したり男根を食いちぎって去勢したりする民話は世界各地の文化にみられる。「見知らぬ女性との性行為の危険性を訴えたり、強姦をすることを戒めたりといった内容の教訓話」として語られることもある。

アイヌの伝承にもこれに該当するものがあるらしい。


今年は、こういう神話の類型に関する記事をいくつか読んだ。
他に「ハイヌウェレ型神話」「バナナ型神話」とかもかなり面白かった。

僕は類型とか体系という言葉に目がなくて、類型モノだと、「アールネ・トンプソンのタイプ・インデックス」が特に好き。




6.ファフロツキーズ

「ケーララの赤い雨」「オタマジャクシ騒動」などでおなじみの現象。
小学生の頃はオカルト本をよく読んでいて、この手の現象がそこに登場していたのを覚えている。


一定範囲に多数の物体が落下する現象のうち、雨・雪・黄砂・隕石のようなよく知られた原因によるものを除く、「その場にあるはずのないもの」が空から降ってくる現象

「ファフロツキーズ」は"falls from the skies"の略。

いろいろと原因についての仮説はあるが、どれも確証は得られていないという。




7.風邪

今年はコ口ナにかかって、その時に読んだやつ。


世間にはコ口ナ=風邪論者がいるけれども、彼らは半分正しくて半分は間違っている。
「風邪」というのは症状名だというのがポイントだ。

風邪となる病原は非常に多く、またライノウイルスを例に挙げると、数百種類の型が存在するためワクチンを作ることは事実上不可能であり、どのウイルスまたは細菌が原因なのか診断するのも困難である。

逆に言えば、病原となるウイルスまたは細菌が特定できた場合は、それらはそれぞれの疾患名で呼ぶべきであり、風邪という症状名で呼ぶのは適切ではないということになる。
例えばインフルエンザウイルスによる風邪に関しては、特に症状が重いことと、検査方法が確立していることから、原因が特定され、その場合は「インフルエンザ」という疾患名で呼ばれることとなる。

ここではインフルに言及されているが、コ口ナも同じである。
コ口ナウイルスが風邪という症状を引き起こし得ることは間違いなく、その点では「風邪」と言ってもまあ差し支えないのだが、それが風邪の範囲を超えた症状になってくると、それはもう「風邪」ではなく「コ口ナ」という疾患名で呼ばなければならない、ということだと思う。あと症状関係なく感染力の強弱とかも考慮しなければならず、やっぱり「コ口ナ=風邪」ではない。

親戚に論者がいらっしゃれば、お正月ついでにこのWikipediaを読ませるのが吉。




8.カルロス・カイザー

ブラジルの元サッカー選手。

普通に読んだほうが面白いから説明はしない。




9.ジョシュア・ノートン

帝位僭称者シリーズ。
今年はこのシリーズもよく読んだね。「熊沢寛道」とか。

サンフランシスコ市民たちから愛された変わり者。




10.鮭の乱

スシローが台湾で行った「『鮭』という漢字が名前に入っていたら割引または無料」というキャンペーンの対象となるために、戸籍上の本名を改名する人物が続出した騒動。


改名後にスシローではなく同業他社の「くら寿司」で飲食し、精算時に全額支払う羽目になった者がいたことが報道された。

「トラブル」の章が面白すぎる。
こんな感じの、おっちょこちょいじゃ済まない失敗がいっぱい書かれている。




11.クロード・リットル

人名由来の単位は大文字で表記してそうじゃない単位は小文字で表記する、というルールがあるが、「l」と「1」がややこしいため、体積のリットルは特別に大文字でもOKということになっている。

ただ、それだとルールと矛盾してしまう……。
そこで、整合性を取るために架空の人物がでっち上げられた!

それが彼、クロード・リットルだ!
ゆけ、世界の平和のために!
羽ばたけ!




12.緑壩・花季護航

中国のフィルタリングサービス。

名前がかっこいい、それだけ。
ないならないでも別に構わねえ。




13.珍しい死の一覧


ギリシアの哲学者ヘラクレイトスは、浮腫を治療するため牛糞を自らの身体に塗りたくった結果、犬に食い殺されたとされている。

このようなことが永遠に淡々と書かれているだけの記事。
カタルシスを得られる頻度が高いので、普段文章を読まない人にもおすすめ(そんな人はnoteにはいなそう)。




14.トイレで亡くなった人物の一覧


336年 コンスタンティノープル アリウス 80歳 激しい下痢により公衆便所で亡くなった

こんなことが表にまとめられている。さっきの記事より簡素。

オモコロのせいで、下痢を面白いと感じるようになってしまった。




15.ヒト

自分たちを動物として見ることってあんまりないと思うので、ぜひこの機会に読んでみてほしい。


広義にはヒト亜族(Hominina)に属する動物の総称であり、狭義には現生の(現在生息している)人類(学名 : Homo sapiens)、ホモ・サピエンス・サピエンス(ホモサピエンスサピエンス、Homo sapiens sapiens)を指す。

みんなも今日から自分が「ホモ・サピエンス・サピエンス」だという自覚を持って生きようね。


口の周囲の粘膜の一部が常に反転して外に向いている(唇)。

人間を動物として見ると、気づかされることが多々ある。

唇をこう認識してる奴なんかいないだろ。
唇のことを「粘膜が反転して外を向いてるな~」と思ってた人がいたら、あたしのところに来なさい。以上。




16.I've Been to the Mountaintop

キング牧師が最後に行った演説。

「I Have a Dream」の話が出た際の被せうんちくとして重宝しそうだ。




17.お前だって論法

言動を批判されて、「お前だって~じゃないか」と言い返すやつ。


相手の道徳上の性格や、行動は、一般的に議論の論理性とは無関係であり、これは誤謬である

言い争いをしてる時に「それ、誤謬だよ?」と指摘して、ライバルに差をつけよう!




18.Whataboutism

さっきの「お前だって論法」の上位概念。
批判されて、"What about...?"と言い返すやつ。




19.コケットリー

女性特有の艶めかしさのこと。

こういう女性特有の雰囲気というか性質に興味がある。
おそらく「萌え」とも関わってくる部分だと思うが、自分のなかではそれをまだ言語化できていない。
言語化の助けになりそうなので読んだ次第。


コケットな女性は誘惑と拒絶を同時に提示することで、所有と非所有の狭間という浮遊的な心理を与え男性を惹きつける。

魅力的な肉体を持つ女性は、性愛的関係性を求める異性愛の男性に対してエロティシズム的側面においては優位に立っており、男性が彼女の肉体を欲しがれば欲しがるほど、彼女の優位は強まる。
しかし、男性が障害の大きさに尻込みして彼女から去ってしまえば、彼女は男性を支配する地位を失ってしまう。
彼女は男性に対する優位を保つために、自らを男性の所有に帰さない程度において男性の欲望をそそるような見た目や立ち居振る舞いを磨き、彼女の肉体の価値を男性に誇示しようと工夫をこらすことになる。






おわりに

以上、今年読んでよかったWikipediaの19記事を紹介した。

今回はトロばかりを取り上げたが、なかにはそりゃあ全く面白くない記事もあることはある。
それでも、玉石混交のページからページへと航海するのは非常に楽しいし、面白い記事を見つけた時の喜びはひとしおなのである。

僕の最も面白いと思っているfunnyとinterestingの狭間がWikipediaにはあるので、興味を持った方はぜひ読んでみてほしい。

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