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【読書感想】『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』

こんにちは、Yukiです。

今回ご紹介する本は、漆原直行(著)『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』です。

なかなか刺激的なタイトルで思わず二度見してしまいます。

著者の主張を一言でまとめると、タイトルになるわけですが、さすがに呆気ないので、少し中身を見てみましょう。

本の内容

本書は、ビジネス書を読者からの視点だけではなく、出版社の視点からそれぞれ分析していきます。

今回は出版社の視点から、ビジネス書を見てみようと思います。

まず、昨今では出版不況と言われていますが、「不況でも売れる本」として出てきたのが、「ビジネス書」だと著者は言います。

そうやって本屋を見てみると、確かに、ビジネス書コーナーにはズラリと本が並んでいます。しかもかなりのハイペースで出版されているように感じますが、なぜでしょうか。

その点について次のように述べています。

雑誌にしろ書籍にしろ「とにかく本が売れない」と四苦八苦している出版社は、書籍1点あたりの販売部数の少なさをタイトル数を増やすことで補おうとしているわけです。要は、なりふり構わず薄利多売、という方向に舵を切ったといえます。

また、ビジネス書が次々と出版されていく要因について、現役のビジネス書編集者の指摘を紹介しています。

「一方、ビジネス書は、文字通り『仕事』に関わってくる。そこでケチってる場合ではない、という心理が働くようで、1000円台半ばあたりの単行本が文芸書と比較にならないくらいのペースで売れていったりする。どんなに売れても文庫になるようなタイトルはほとんどないし、刻々と動く経済動向、常に新しさが求められるビジネス環境といった背景も絡んで、新しい本をできるだけ早く読まなければ、という意識がビジネス書の愛読者には強くあるようだ」

「薄利多売」と「ビジネス書のニーズ」が、ビジネス書が売れている背景として挙げられそうです。

でも、それだけたくさん本を出版していると、いずれネタ切れ、書き手不足になりそうな気もします。その点について次のように述べています。

現実問題としてとにかくアイテム数を確保しなければ立ちゆかなくなってしまいました。それゆえ、そこそこ面白そうな書き手であれば、とりあえず1冊書かせてみるか・・・と比較的簡単に執筆を依頼してしまう事態が少なからず起きています。

その結果何が起こったかと言えば、ブランディングの手段としてのビジネス書です。

しかし、本書でフォーカスしている2000年代以降(ゼロ年代)のビジネス書を見回してみると、ビジネスコンサルタントやアナリスト、評論家といった肩書きを持つ著者が中心です。日ごろは会社員として仕事をしている、なんてケースも。「スーパーサラリーマン」などとよくわからない触れ込みで著者になっている人もいたりします。そうしたビジネスコンサルタントが名刺代わりにビジネス書を書き、1冊しか著作がないのに「ビジネス書作家」を名乗ったりするケースが非常に増えたことも、近年の特徴といえるでしょう。

「とにかく売りたい出版社」と「ビジネス書を書きたい人」の需要と供給がマッチした結果、現在のような状況となっているのでしょう。

読んだ感想

前半部分はこのように、出版社の状況からみたビジネス書という視点で書かれています。

で、問題は後半です。後半では、今度は読者の視点から描かれています。主にビジネス書をたくさん読んでいる人のエピソードを挙げています。具体的には、ビジネス書に振り回されている人の声などを例に出し、ビジネス書への皮肉たっぷりな批判が展開されるわけですが、それが曖昧とか極端といった意見も少なからずあり、評価が分かれるところです。

僕としては、その後半部分も楽しく読めました。というのも、僕もビジネス書に振り回された経験があるからです。なので、曖昧でも極端な話でもないなと思いました。

僕のビジネス書に対するスタンスは、距離を置いてるという感じです。
これはいい!というビジネス書以外は読みません。

僕も以前はビジネス書をたくさん読んでいました。ただある時自分の本棚を見返してみると気持ち悪いなと思いました。

なんだか実体のよくわからないコンサルタントや講演家。やたらと不安や焦りを煽ってくる装丁。似たようなタイトルのほとんど内容は同じで、表紙や色の配合を変えただけの本。それらがズラリと並んでいる自分の本棚を見返すと、気持ち悪さと違和感を感じたのを、今でも覚えています。

ここで注目したいのは、ビジネス書を読む行為そのものが目的化してしまっているケースが少なくないという点です。ビジネス書に対して奇妙な依存傾向を持っている人は、とにかくビジネス書を読んでいないと「不安に駆られて仕方がない」といったたぐいのことをよく口にします。(中略)さらに、「さまざまなビジネス書で、『目的を持って読書しろ』『得た知識や情報はアウトプットしろ』と奨めているから、手っ取り早い目的としてブログに読後感をまとめることを自分に課している」といった、アウトプット至上主義的な発言をする人も多く見られます。
急き立てられるような意識でビジネス書に接しているから、読んでいてもどこかつらそうなところがあり、読書体験を楽しむ余裕もない。でも、ビジネス書を読むことをやめてしまったら、自分がビジネスパーソンとしての価値を失ってしまうような、さらには人生の落伍者に墜ちてしまうような恐怖感がジワジワと精神を侵食してくるので、やめられない。大げさに聞こえるかもしれませんが、まさに「ビジネス書中毒」とも評すべき状態です。

これらの指摘には、終始共感しっぱなしでした。かつての自分そのものだったからです。まさにビジネス書中毒でした。

アウトプットとか目的を持ってとか、考えたことなかったはずなのに、いつから考え始めるようになったのかと言えば、ビジネス書を読み始めた頃です。同時に、読書をしていてもどこか苦しさを抱えるようになりました。

このビジネス書中毒の状態の人は多いんじゃないかと勝手に想像しています。

ビジネス書との付き合い方は気をつけようと思いました。

終りに

どの本を読むかは個人の自由です。ただ、ビジネス書との付き合い方を見直したい人には、この本は良いかも知れません。

なにごともバランスが大事ですね。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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