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芸術一般

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芸術について、なんでも書きます。はじめはヨーロッパ絵画をかなり題材にしていましたが、現在は映画評論・芸術論・文学論などが多くなっています。
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2023年12月の記事一覧

<閑話休題・芸術一般>写真のような絵と写真

<閑話休題・芸術一般>写真のような絵と写真

 写真のような絵と写真とは、いったいどこがどう違うのだろうか?

 普通に考えれば、同じようにしか「見えない」。そして、昔よく聞いた言葉として、「写真がすでにあるのだから、絵の役割は写真になることではない。むしろ、写真とは違うものを表現すべきだ」ということがあった。そのため、マティスやピカソのような、あるいは印象派のような、対象そのものではなく、対象から受けた「印象」や自分の中に沸き起こった感情を

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<書評>『パウル・クレー 造形思考への道』

<書評>『パウル・クレー 造形思考への道』

 『パウル・クレー 造形思考への道』 ウェルネール・ハフトマン著 西田秀穂・元木幸一訳 美術出版社 1982年(原著は1957年)

 20世紀に登場した数々の前衛芸術家の中で、コンポジション(構成、造形)と称される抽象絵画を中心に活躍したクレーについての研究書。クレーはまた、まるで書家のような筆使いの、一種プリミティヴな作品も晩年に多く残している。

 本書はクレーの芸術家としての歴史を追ってい

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