笑いあり、恐怖あり!パリジャン目線の日本人
フランス人のデイビットは大学4年間を横浜で過ごし、今は東京の日系企業で働いている。世界一安全で平和な国と言われる日本で、彼が日本に対しておもしろいと感じたり、えっ!こわっ!の気持ちを抱いたのはなぜだろうか。
インタビューの一部を紹介したい。
一番驚いたのはセックスの知識についてだそう。
日本人女性とセックスをするときに、少し強く誘うと
「今日危険日じゃないから、生で挿れてもいいよ」
と言う人が多くてびっくりすると言う。デイビットに限らず多くのフランス人はその感覚が怖くて、逆に萎えてしまう。
「日本人はコンドームを妊娠しないためのものだと思っている。それもあるけど、フランスではまず病気の感染を防ぐ認識が強いよ。移民が多いのも関係してると思うけど。先天的にHIVを持ってる人もいるし、たった数十分の快楽のために、人生を棒に振る病気に感染したら怖いでしょ?」
フランスでの性教育について聞いてみた。
「フランスでは中学で、授業に医師が来て性行為について詳しく教えてくれる。医師が来るから、みんな真面目に聞く (日本のようにすぐ病院に行ける医療システムではない為、医師の存在は身近ではない) 。しかもいろんなサイズのコンドームや男性器のモデルを持ってきて、その場で実際の付け方をマスターする。サイズが合わないからとか言い訳にならないくらい、たくさんの種類のコンドームを触らせてくれるよ。」
「しかも日本の女性は生でいいよと言っておいて、妊娠したら責任とって!と言うよね。その感覚がベースにあると、衛生面でも精神面でもセックスを純粋に楽しむことが難しいなと感じてるよ」
「奥さんや子供を養うって感覚はないの?」
「フランスでは妊娠も結婚も離婚も自己責任だね。みんな自立してるから。恋人や夫婦は人生の経験をシェアするパートナーだから、責任という感覚はあまりないかなぁ。
僕らのようにフランスから来た男が、日本人の彼女にそれを理解してもらうのは大きな壁だと感じるよ。ご飯はご馳走してもらいたい、将来のためにたくさん稼いでる人がいいとか。純粋に今好きだと感じる気持ちを大事にしてるより、保険先を探しているように感じる」
次のびっくりポイントは、外国人なら誰もが直面する日本独特の仕事観だ。
「これだけははっきり言わせてほしいけど、日本人の働き方はありえない! 将来のため将来のためってラットレースをして、いつになったら人生を楽しむの?
こないだゴールデンウィークだったでしょ?同僚の日本人が憂鬱そうな顔をしてるんだよね、休みが長すぎる!って。びっくりしたね」
「デイビットにとって10連休なんて短いでしょ?笑」
「短すぎ!笑」
「ゴールデンウィークに、ゴールデンウィークに着る服を買いにいかなきゃと言っててびっくりした。サラリーマンはずっと同じスーツ来てるから、休日にファッションを楽しむ感覚がないのかな?
しかもスーツは自分をかっこよく見せる為に着るものなのに、大きめのサイズを来てる人が多くてショックを受ける。あれはどうしてなの?」
「えーなんでだろ!(確かにヨーロッパの人は基本的に、スーツをスタイリッシュに着こなしている)日本のサラリーマンは飲み会も多いし、太ってもいいように大きめを買うのかな?学校の制服と同じ感覚で着てると思う」
「あー、小さい頃から制服が当たり前だとそうなるんだね。着たくて着てるというより、子供が大きめの服を着せられてるように見えるんだよ。笑」
「フランスの学生は制服ないの?」
「ないよ!高校生くらいになったら、毎朝服と香水を選ぶのは楽しみじゃない?好きな香りは気分もよくなるし」
フランスは香水大国だ。実際にパリでホームステイしたどの家にも、バスルームには一人一人の香水コーナーがあった。
「日本人の香水のつけなさ具合にもびっくりする!日本人はあんなに働いているのに、あまり香水を買わないよね」
そもそもフランス人はどうしてそんなに香水が大事なんだろう。もちろん水が皮膚感染を起こすものと考えられ、風呂に入る風習のなかった歴史もあるが。
「自分を心地よくさせるアイテムだからだよ。五感で感じるって大事じゃない?」
目に見えないものを奥深く愛するフランス人らしい感性だ。
そして旅行について。
日本人と旅行にいくには気合いと体力が必要だという。
バカンスは友人や家族と幸せを感じるための時間。
日本人の彼女と旅行に行ったら、たった2、3日なのに予定びっちりで全ての写真を取りたがる。仕事の日より忙しくてびっくりしたよ。
日本人のお金の使い方とスケジュールで旅をしたら、フランス人は旅なんていけないし、リラックスどころか余計に疲れちゃう。笑
休みの少なさが関係してるんだろうね」
フランス人は日頃から人生を楽しむプロだと感じる。お金を使うことと幸せやストレス発散がイコールで結ばれていない。
5年間も日本に住んだデイビットは、日本のリアルがいろいろ見えたようだ。そもそも、日本を選んで来た理由はなんだろう。
「旅行しに来た時は、京都の神社の庭とか「静」の精神みたいなものに憧れていたね。無料でおもてなしができるのは日本人だけだし!あとジブリも物語が深くて好きになった!アメリカの映画はヒーローと悪者がいてどんぱち戦って終わるけど、日本の映画は悪者にも心があったり理由があったりして、悪い人間なんていないんだなって心が温かくなる」
「一番興味深かったのは日本のCM。CMでこんなに笑わせてくれる国はないよ!
携帯のCMなのにわざわざ着物を着て昔話をやったり(au)、
たらこに顔が付いていたり(キューピーのたらこスパゲッティ)、
カップラーメンのCMはゴジラみたいだし(ラ王)、
チョコのお菓子がどうしてペリカン(キョロちゃん)なんだろって謎だし、
キウィがスーパーで話したりしてるじゃん。
日本版のオリエント急行の映画かと思ったら、お父さんと呼ばれる犬がでてきて携帯のCMだったし。
日本のCMは何を宣伝しているのかわからなくて、理解不能ですごくおもしろい。さらに、キャラクター=その製品になるくらい印象が強い。そういうヘンテコなアイデアがたくさん生まれる日本のユーモアセンスや、フランスにはない日本人の感覚に興味をもったんだ。日本語で理解して笑えるようになりたかったしね。
フランスはイメージでものが売れないから、CMやテレビが全然おもしろくないんだ」
日本のアイデアを盗んでビジネスに役立てたいわけでもなく、純粋に興味があるから日本に来た。どうして?と思ったことに、自分が納得するまで人生の大切な時間を使う。知らないことを知りたいのだ。
教育費が無料で、日本ほど恋愛や幸せにお金が絡んでこないフランス。
そこで生まれ育ったパリジャンの目に映る、ユーモラスでプレッシャーの強い日本。
カルチャーの違いに興味を持ち海を渡る人は、国と国を結ぶ小さな外交官である。
デイビットは今日も日本のどこかで、フランス人の専売特許である「なんでなんで攻撃」を使いながら、日本について深く理解しようとしている。
私は日本人だからだろうか、お父さん犬に疑問を持ったこともない。笑
やはり外から見えている日本は世界の非常識であることも多々あり、日本を多角的な視点で見ることができる。そんな面白さを感じている。
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