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ギブ・ミー・オダシ〜黄金の出汁の海にとびこみたい、ひんやりトマトのだし浸し

だし、ダシ、出汁、だし、ダシ、出汁・・・・・・

先週末以降、これをエンドレスで口ずさんでいた私。
もう完全にヤバイひとだ。

それくらい、私のダシ欲は限界に達していた。

ダシのことしか考えられない旅の終盤

約10日間のフランス北部滞在は、いってみればプチ海外旅行みたいなものだ。
フランス国内とはいえ、時間の流れも違えば、文化も独特。

食に関しては、お察しのとおり。
北の名産、じゃがいもとビールを中心に、小麦粉と乳製品および肉類で食欲を満たしてきた。

そして今回、サバイバル環境にあえて身を置こうと、調味料などは一切持っていかなかった。
義母宅には賞味期限切れの醤油がかろうじてあったので、バター醤油等で炒めものをしてみたり、たまごチャーハンを作ってみたりと、それなりに工夫してはいた。

でも、10日も経つと、手は震え、口は自然と「ダシ」を連呼するようになる。

海外旅行にいくと必ず日本食が恋しくなり、猛烈に味噌汁が飲みたくなるあの感じと似ている。

そんなこんなで、パリへ帰る道中、フリットで満腹になりながらも、私の頭の中はパリの自宅に戻った後、どうやってダシまみれになろうか、そのことだけを考えていた。

帰宅翌日のごはんのこと

パリに帰ってきた翌日、つまり昨日。

思う存分「和」なものを食べられるうれしさが、朝から爆発した。

まずは、炊き立てご飯に納豆、油揚げのお味噌汁、牛乳をおともに。

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日本では粗食。こちらでは稀に見るスーパーご馳走朝ごはん。
冷凍納豆を旅前に買っておいて本当によかった。

納豆パワーで元気が出たので、全力で家中を掃除&洗濯後、マルシェで大量の野菜を購入。

お魚屋さんもバカンスからカムバックしていて、あらどっこい、鮭のアラがまた2ユーロで売られていた。
迷うことなく購入し、三陸の祖母を思い出しながらまたシャケフレークを作る。

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3袋5ユーロとあり、迷ったけれど、さすがに今日は1袋にとどめておいた。

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軽く茹で、身をそげ落とし、フライパンで炒めて白だしなどで味付け。
キッチンで立ちながら作りながら飲みながら、これが昼ごはんとなった。


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今日の現場監督は身を乗り出し、ずーーっとこの体勢で見張っていた。
俺にもシャケくれよ。


あふれでる、ダシ欲

納豆にシャケでだいぶ満たされてはきたけれど、私のダシ欲はとどまることを知らない。

次に作るはトマトのだし浸しだ。

というのも、パリに戻る道中、今日は何の日?的なiphoneのphotoで出てきた写真。

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昨年、渡仏前に実家暮らしを少ししていたときのこと。

家の畑で作られた父作激うまトマト。これを、母とキッチンドリンキングしながら夜な夜な湯むきし、ダシに浸していたことを思い出した。
ああなんてこと、私のiphone6s、カメラの震えは止まらないけど、素晴らしいよその記憶力。
今私が求めているものはまさにコレだ!


赤だけでももちろんいいけれど、今日はさらに気分を上げるために、マルシェで見つけたカラフルトマトを使うことにする。


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まず、出汁を準備しよう。
みんな大好き茅乃舎さんの素敵出汁も大切な和食ストックに少しだけ残っているのだが、今日は自家製でがんばってみる。

あらかじめトマトがタッパー内で浸るくらいの水を測り、昆布を入れて小一時間放置しておく。大きなタッパーなので、だいたい700ccだった。

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ちなみに昆布は「だし昆布の王者」らしい、根室産の昆布。
札幌にいるいとこのお姉ちゃんがコロナ前に持ってきてくれたものを、大切に頂いている。嗚呼ありがたや。

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この昆布汁とかつおぶしでダシをとる。

昆布汁を鍋にかけ、沸騰寸前に昆布を取り出し、かつおぶしを入れて2、3分したらザル+キッチンペーパーで濾す。

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あああ、ほれぼれするいい黄金色
今すぐ水着に着替えて飛び込んでしまいたい


この出汁を鍋に戻し、みりんや酒、醤油や塩などで好みの味に仕上げる。
私は色をあまりつけたくなくて、塩メインで塩分調整。

ちなみに、出汁を取った後の昆布とかつおぶしは、のちほど醤油とみりん・酒などとともに煮つめて、立派な佃煮に生まれ変わった。


次に、トマトを湯むきする。沸騰したお湯にトマトを入れてさっと火を通す。

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あらかじめスタンバイしておいた氷水に入れて、少し放置。

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数分後、きれいに皮がつるんとむけるので、全て皮をむいたらタッパーにいれてお出汁をかけ、冷蔵庫で数時間おく。

なお、今回は、北でまた採ってきた野生タイムがあったので、トマトとタイムは合うに違いないと、ついでにご一緒させてみることにした。

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皮を剥くと黄色いトマトは白くなってしまうのね


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できあがりの画


飲めるダシの、誕生

夜ごはんのメインは、昨日の焼きそばバゲットで若干しくじったので、王道フレンチ家庭料理にて挽回を。
絶対失敗しない&Otto氏が絶対好きなキッシュロレーヌを作ることに決めていた。

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こんな感じで適当に盛り合わせたメイン

こちらの前菜として、この出汁トマトをひとついただいてみることに。

上にちょこんとパセリをのせて、ダシをかけてみた。お好みで岩塩を添えて。

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トマトが輝いてみゆる

こちらは上から見た画。自分で言うのもなんだけど、なんて可愛らしい一皿。。

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いやはや、見た目どおりトマトだけなのだけど、これはいい。

なんといっても、このダシ。トマトの酸味が少し加わって、最高に美味しい。
とどまることなくダシが飲めてしまう。ねえ誰か止めて。

ダシまみれのフィナーレとしては、申し分のない出来。
PSGもヨーロッパチャンピオンズリーグで勝ったし、もう最高の夜だ。

完全に胃と心と体が正常に戻り、久しぶりに夜、熟睡することができたのだった。


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ダシなくしては生きていけない。日本人だもの。








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