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カッティング動作において事前に移動方向が決まっている場合/そうでない場合では運動戦略が違う

 クオリティの高い文章を書きたいところですが,それはおいおいやっていこうと思います.このブログでは,エビデンスベースでアジリティ能力についての私の考えをメモのような感じで,綴っていこうと思います.なお,メモとしての残すので,敬語でないのはご理解ください🙇

 さて,ここからが本題.

論文タイトル

バスケットボール選手の予測不可能条件下におけるサイドステップが
切り返し動作中の下肢および体幹に及ぼす影響

体育学研究,2019
亀田ほか

気づきと学び

 今回は,最近,鹿屋体育大の前田先生のグループの亀田先生や筑波大学の谷川先生のグループがよく研究されているテーマしている「事前に方向転換する場所がわからん場合のカッティング動作と事前に分かる時では動きって違うよね」に関する論文から,私個人の考えを書き起こしておく.

 1つの論文では,基本的にアブスト→マテメソ→リザルトをメインで見るが,精読することも極めて重要であるので,重要やな!と思った部分や再学習できた部分なども文章にしておこうと思い,今回はイントロにあった部分を孫引きして,次回以降に参考にする先行研究を記述し,その上で気になった点を書き留めておく.

 今回,イントロで重要であると思い,書き留めておこうとしたのは以下の文章である.

”予測可能条件では,被検者は転換方向を事前に認知しているため,方向転換時の姿勢などを事前に調節しながら支持脚を接地することで,身体重心速度の向きを転換方向へ向けやすくすることが可能である”
亀田ほか(2019)

つまり,移動方向が事前にわかっている場合は,その方向に移動しやすいように,身体操作を前もってできるということだ.我々,コーチ(研究者でもあるが)は,どのようにしてエビデンスを現場に活かし,成果に効果的な指導を行うかを重要視している.試合の多くの場面において,対峙する相手の移動方向先を事前に把握できているという状況は稀有であろう.よって,事前に移動方向がわかっている場合のCoD動作は,効果的なムーブメント・パターンを考える重要な示唆はくれるが,その知見が現場ライクとなっているかは別の話である.

 では,事前に移動方向がわかっている場合,具体的にどのような点が変わるのか.

 本論文のイントロでは,3本の研究を例にして示している.

 1本目はFujii et al. (2013)の研究である.彼らは,被験者に静止状態からLEDライトが点灯した方向にサイドステップをする課題を行わせた.結果,LED ライトの点灯直後に,地面反力が小さいほうが早く動き出せることを明らかにしている.
⇨つまり,抜重しており,直ぐに身体を移動できるように調整していた?

 2本目はLee et al. (2017)の研究である.彼らは,条件時に比べて,方向転換時に転換方向へ体幹を傾斜させていたことを報告している.
⇨つまり,移動方向へ身体重心のもつ速度ベクトルを傾けるようにしていた?

 3本目はHouck et al. (2006)の研究である.彼らは条件時に比べると,身体重心から降ろした鉛直線と方向転換時の支持脚の圧力中心(COP)との水平方向の距離が長かったことを明らかにしている.
⇨つまり,カッティング時だけでなく,その前の段階から移動方向へ脚のプッシュオフができるように準備ができていた?

 簡単に述べると,事前に移動方向がわかっている場合,その方向に体幹を傾けて,足の位置も前もって調整することで,効果的に素早く方向転換しようとしていたということだろう.

Reference

Fujii, K., Yoshioka, S., Isaka, T., and Kouzaki, M. (2013) Unweighted state as a sidestep preparation improve the ini- tiation and reaching performance for basketball players. J. Electromyogr. Kinesiol., 23(6): 1467-1473.

Houck, J. R., Duncan, A., and, De, Haven, K. E. (2006) Com- parison of frontal plane trunk kinematics and hip and knee moments during anticipated and unanticipated walking and side step cutting tasks. Gait Posture, 24(3): 314-322.

Lee, M. J., Lloyd, D. G., Lay, B. S., Bourke, P. D., and Alderson, J. A. (2017) Different visual stimuli affect body reorientation strategies during sidestepping. Scand. J. Med. Sci. Sports., 27(5): 492-500.




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