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全教科の先生必見!学力を飛躍させる読解力の伸ばし方【代ゼミと考える読解力#8】

こんにちは、代ゼミ教育総研note、編集チームです。

読解力の連載、8回目。これまでの連載はこちらからご確認いただけます。

今回の執筆担当者は、「国語力育成チーム」のGさん。
日頃から「読解力」にアンテナを張って様々な書籍を読んだり、「読解力」について講演したりする姿を編集チームも見ています。

そんなGさんの提案する、「読解力のサプリメント」とは?ぜひご一読ください。



「読解力」を軸に様々な視点からの記事を連載してきましたが、今回は中学校や高校の指導の現場に立たれている先生方に向けて、読解力伸長を目指したソリューションをいくつか提案します。

社会人や学生・教員に向けて読解力の現状や、読解力を育むアイデアをお話しする機会がありますが、その中でも特に反響が大きかったものをお伝えいたします。

▶はじめに

あらかじめお断りしておきますが、どんな人でも読解力を手間なく伸ばせる特効薬は現状存在しないと考えています。

読解力不足の原因は人によってあまりに多様で、「このお薬を飲めば治りますよ」といった具合に簡単なものではありません。

これから共有するいくつかのアイデアを読み手の皆様が思考・検討し、効果が高そうな対象(中学校や高校で言えば、どの学年?どのクラス?どの生徒?)を判断し、その対象に適した表現で処方していただくことを切に望みます。

生徒にマッチした処方箋の提供は、現場の先生にお願いするしかありませんが、長年、読解力について分析・検証してきた中で、効果が期待できそうなお薬やビタミン剤をできるだけ種類豊富に収集しておきました。その中からとっておきのを2錠をご紹介します。


▶【サプリメント1】速く・正確に読むために

代ゼミと考える読解力#3で、共通テストの現状について「受験生は解答する時間を確保するためにも、一にも二にもひたすら早く読まなければいけない状況が生まれた」と述べ、高校生に共通テストで求められる読解力を「速読即解力・情報処理力」と言い換えていました。

この力は読解力の1つの側面に過ぎません。ただ、受験生に限って言えば、高3生の1月までにひとまずこの力を身につけることが求められていることは確かです。まずは「速く正確に情報を整理して読む」方法について考えていきましょう。

 以下の文章を読んでみてください。

あえて難解な言い回しもなく、平易な語彙のみで構成された文章を選びました。この文章を前にした「読解力が乏しい生徒」の頭の中をイメージ図で例えるとこのようになっています。

表出した単語に飛びつき、ばらばらと無秩序に蓄積させていきます。そのため、文章の書き方によっては、蓄積した情報を遡って確認しなければならない非効率的な読み方になってしまいます。

全体像を意識して整理せず、情報を蓄積しただけの状態を“読んだ”と思っていて、あとから「この本ってどんな話だっけ?」「テストの見直しをしたいけど、どこから見て行けばいいのかな?」と再出力に弱点があるのが特徴です。

一方、「速読即解力・情報処理力」を十分に身につけている生徒はどうでしょうか。おそらくこのような整理を行っています。

先々の展開と全体の構造を大まかに予想して、読み進めながら情報を当てはめたり、適宜修正したりして最終的な論理構造を把握するのです。

もう1歩踏み込むと、「小学校6年生が将来就きたい職業の今年のランキング」という単語から ≪異なる学年(幼稚園生・高校生etc…)との比較?≫ ≪●年前との比較かな?≫ ≪ランキングが何位かまで展開されるだろう≫ などとその後の展開を想像して、事前に分かれ道を用意しておくようなイメージです。

もちろん思った通りの論展開にはなるとは限らないため、使わない道もあります。それでも、想像した通りに論が展開してきたときには「そう来るよね」と余裕をもって文章と向き合うことができます。

“たぶんこうだろう”というフレームを作ってから、その認識に追記・修正を重ねる読み方は、読解のストレスを軽減させるのです。

自分が得意な分野の文章と、まったく周辺知識が無い分野の文章、どちらの方が読解のストレスが少ないでしょうか。ご想像の通り、既知の事実や周辺知識を使って読み進められる得意な分野の文章の方が読みやすく感じられるはずです。

逆に言えば、知識がなく想像がしにくい未知の分野の文章はどの言葉にどう反応すればいいのかがわからず、読解のストレスがかかるわけです。

「速く・正確に読む」という本筋からは少し逸れてしまいますが、入試を見据えて様々な分野の背景知識を蓄えておくことは、このような理由から生徒にとって大きなアドバンテージになります。

本番で慌てずに「そう来るよね」と余裕を持った読解ができるだけで、精神的なゆとりが生まれるでしょう。現代文の頻出テーマをさらっておくと、国語だけでなく英語の読解も含めて対策できるのでお勧めです。

✎授業で使える情報整理トレーニング

さて話を戻して、展開を推測するカギになってくるのが「分かれ道の作り方」です。ここでは授業に組み込めるような着眼点の養い方をご提案します。

(この先の有料部分で、「学力を飛躍させる読解力の伸ばし方」を紹介しています。いずれも教科不問、明日からの指導にすぐ活かせるものばかりです!ご参考まで、目次を再掲します。生徒の "読めない” をチャンスに変える6つの指導アイデアをぜひご覧ください。)

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