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本来、大学は人と人、人と知識の出会いを媒介する場=メディアであった。コロナ禍で大学における人と人の出会いの大切さを改めて再認識。

大学には、学位を取得するところとか、学問や研究をするところ、
という定義だけではとらえきれない何かがある・・・

社会学者で東京大学大学院情報学環教授の吉見俊哉氏は、大学について
このように語っています。

大学とはメディアである

~『大学とは何か』 吉見俊哉著(岩波書店、2011年)258頁

吉見氏は、図書館や博物館、劇場、広場、都市がメディアであるのと同じ意味で、大学をメディア=媒体あるいは媒介するもの、と定義し、
大学とは、「人と人」、「人と知識」の出会いを持続的に媒介する場所
である、と説いています。

11世紀、イタリアに誕生したボローニャ大学からはじまったとされる
現代の大学への歩みは、中世から現在にいたるまで、
人びとが学びや知識を求め、各地から、あるときは国境をまたいで集い、
行き交ってきた歴史
でもあります。

そうした長い歴史のなかで、キャンパスでは知識の伝達が活発になされ、
それが新たな発見やイノベーションにつながってきた、とも言えます。

吉見氏は、媒介役としての大学には、
昔から、「人と人」、「人と知識」という二つの側面があり、
現在の大学においても重要なファクターであると指摘しています。

コロナ禍に見舞われた大学生のみなさんが、キャンパスに立ち入ることさえできず、孤独な日々を過ごされたつらさや嘆きを改めて考えてみると、
前者の“人と人”の出会いの喪失によるものであることがわかります。

 いかにそのダメージが大きかったのか、、、

痛感せざるを得ません。


コロナが気づかせてくれた

大学というと、選択した講義やゼミに出席し、単位を取得し卒業、
という授業やカリキュラム的な面ばかり目が行きがちになっていましたが、原点に立ち返り、まず人と人の出会いが大切で、それがなければ、学問も研究も始まらない、ということです。

あたりまえすぎて、意識にすら上らなかった話ですが、
コロナはそれに気づかせてくれたのです。

 そして、当事者である全国の学生たちはだけでなく、大学の教員たちも
ようやく気づき始めた、と言えるのでしょう。

2021年末からはオミクロン株が蔓延し続けており、
各大学において“人と人”の出会いをプロモートするには難しい判断を求められるでしょう。

しかし、そうした状況のなか、
何か機会を見つけ、いろいろな手段を使って
少しずつではありますが、
学生同士や、教員と学生の交流の場をつくりだそうという努力
生まれてきているようです。

コロナが教えてくれたキャンパスの大切さ
次回はこのあたりにフォーカスしてみたいと思います。

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