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発達障害はなぜ増えたのか 二つのグローバル化と生存の地すべり

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発達障害という言葉が社会にあふれています。一昔前にはほとんど聞かなかった言葉ですが、今や発達障害の情報だけでなく、発達障害の診断を受けた人や自分が発達障害でないかと疑問に思う人が…
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自分や子どもが発達障害かもしれないと思った時に 2 +あとがき

自分や子どもが発達障害かもしれないと思った時に 2 +あとがき

病院に行けばハッキリする? よく聞く誤解としてあるのは、病院に行って検査を受ければ発達障害かどうかははっきりするというものです。現実はそんなにクリアではありません。
 これはどんな病気、障害でもそうでしょうが、微妙なラインというのはありますし、医師も発達障害と診断するストライクゾーンが広めの人とそうでない人もいます。発達障害に強いという看板を掲げている所はストライクゾーンが広めだなと感じることがあ

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自分や子どもが発達障害かもしれないと思った時に 1

自分や子どもが発達障害かもしれないと思った時に 1

 この章では、自分や子どもが発達障害かもしれないと思った時にどう考え、何をすべきか書いていきます。

まずはっきりさせるべきことは 発達障害かもしれないと思った時に最初にはっきりさせるべきことは何でしょう? 
 発達障害かどうかの診断? いえ、違います。
 発達障害かもしれないと思った時にまず整理すべきは、誰が何を困っているのかです。
 何がうまくいってないのでしょうか。困っているのは本人でしょう

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発達障害に対して社会はどう変わるべきか 2

発達障害に対して社会はどう変わるべきか 2

大人のADHDが多い国? 岩波明先生の『大人のADHD』という本の中にWHOの調査による成人のADHDの有病率が載っています。母数が少ない点は気になりますが、結果は大変興味深いものになっています。

 世界平均で成人のADHDの割合は3%なのですが、コロンビア、レバノン、メキシコなどでは2%を下回ります。中南米や中東の国々ではまだ疾病概念が伝わりきっていないのかもしれません。一方で5%を越えるのは

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発達障害に対して社会はどう変わるべきか 1

発達障害に対して社会はどう変わるべきか 1

 この章では、発達障害は二つのグローバル化と生存の地滑りによって増えたという主張から、では社会は発達障害をどう受け止め、どう変わっていくべきかを書いていきます。

スペクトラムであるべきものは障害ではなく社会 他にいくらでも情報があるので、この本ではあえて個別の発達障害について書いてきませんでしたが、ここ数年の発達障害の診断に大きな変化があったことにここでふれたいと思います。
 世間でよく聞くアス

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