北風と太陽【短編】
みんなのフォトギャラリーから生まれた物語。
太陽に負けた北風は、リベンジの時をじっと待っていました。
すると、向こうから一人の旅人が歩いてきます。
「あの旅人の服を、全て脱がせた方を勝ちとしよう」
北風は、太陽にもう一度勝負を申し込みました。
「服を全て?」
「そう、全て」北風が念を押しました。
前回勝った太陽は先攻、負けた北風は後攻です。
まず、太陽の番です。太陽は以前と同様に、燦燦と輝きました。
「今日も暑いなあ。異常気象だね、これは。地球温暖化もひどいもんだね」
旅人はそう言いながら、足早に自宅に帰って、クーラーをつけました。
旅人は上着を脱ぎました。
下着は脱ぎませんでした。
旅人は、下着のまま、冷蔵庫からアイスクリームを取り出すと、おいしそうに食べました。
「次はワタシの番だ」北風は言いました。
北風は、太陽が燦燦と輝いている間に、従弟の偏西風を呼んできました。
偏西風は、従妹の台風を連れてきました。
台風はあっと言う間に、強い雨と強い風を巻き起こしました。
旅人の家は停電になってしまいました。
「暑い、暑い、冷房が使えないなんて」
旅人は、すぐに汗だくになりました。
旅人は、下着を脱いで、水風呂に入りました。
「ああ、さっぱりした」
「これで、ワタシたちの勝ちだね」北風が言いました。
「1対多数なんて卑怯じゃないか」太陽が言いました。
「何を言ってるんだい。今はチームの時代だよ。いろいろな人脈と個性が必要なのさ」
太陽は、それから友達をたくさんつくり始めました。
うーん、もうひとひねり🧐
前回までは、こちら。
おひまなら、こちらもどうぞ。
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