映画「透明人間」を観に行ったら、観客が透明だった
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映画にまつわる思い出
当時、コロナ禍で、映画館は、非常に厳しい状況に立たされていた。
ましてや、当方が暮らしているのは、県庁所在地といえど、田舎である。
客足は、遠のく一方だった。
その時、あるシネコンで、イカれたキャンペーンがあった。
1日映画見放題&飲み物飲み放題
で、2500円というものである。
さらに、会員で、あれば、1回映画を鑑賞したら、1ポイント。
つまり、6回を1日で見れば、別日に無料で、映画を観れるのだ。
脅威的である。
中学生を超えて、"放題"に喜ぶことも少なくなったが、この時ばかりは、"放題"に胸を躍らせた。
これは、引きこもりでも、重い脚を引きずってでも、行かなくては、行けないと思った。
しかし、より多くの映画を鑑賞するためには、しっかりと時間のスケジュールを綿密に立てることが重要だ。
事前に予定をしっかり立てる。
一分一秒。無駄にしてはいけない。
観たい映画が多く掛かっているのは、平日。
それぞれの上映開始時刻、上映時間を調べ、終了時間を算出する。
しかし、問題が発生した。
どうしても、噛み合わない時間がある。
エンドクレジットを省いても、厳しい。
どうしたものか。。。
映画館の上映開始時間の後に予告映像が含まれる。
これにわずかな願いを込め、受話器を取る。
「はい。○○シネマです」
「もののけ姫の公開開始時刻から、本編まで、何分予告がありますかね?」
「お調べします」
保留
「13分ですね」
「ありがとうございます。」
前の映画のエンドクレジットを3分として、本編開始までの時間は、7分。。。
チケットを貰うには、チケットカウンターに脚を運ばなくては、行けない。しかも、一度に貰える枚数は、2枚まで。その都度、チケットカウンターに脚を運ぶことになる。
この7分で、チケットをゲット出来るのか。
行けるのか。。。行けるのか俺!!
上映時間は、朝の9時から始まる。飯を食べる暇などない。
そして、飲み放題も危険である。
冷たいものは、御法度。
体を冷やす危険性があるからだ。
あと、カフェインもトイレ頻度が高まれば、このプランが破綻してしまう。
すると、残るは、緑茶。柚子茶の2択。
いや、待て、甘いものを摂取しなくては、折角の映画を楽しめない。
ここは、ココアも追加しよう(ダジャレのつもりじゃない)。
という感じで、万全の計画を立て、いざ、決戦の日。
いざ、決戦の日
朝9時、劇場にて、2500円のキャンペーンチケットを購入し、2枚のチケット、緑茶を受け取る。トイレに行き、準備万端。検温器で、確認され、いざ、場内へ。
最初に観た映画は、
Ride like a girl
まったく、興味なかったのだが、競馬のメルボルン杯で、初めて、優勝した女性ジョッキーの伝記映画だった。
女性では、無理だと言われた時代に、サランラップを巻き、減量している彼女のひた向きさにぐっと来た。
そして、次が
Mother
長澤まさみがこんな非道な母親役をしている。当方が小中学生の時に、タッチで、南ちゃんをやっていた時には、想像できない演技の幅に感嘆した。
母親にいいなりになり続ける少年。自分よりも、母親。
すごく重く、考えさせられる。素晴らしい映画だった。
懸念していた時間が来た。
エンドクレジットも観ずに、半ば、駆け足で、チケットカウンターへ。
無事、チケットとココアをゲットし、無事に席に着くことが出来た。
もののけ姫
普及の名作が「一生に一度は、映画館で、ジブリを」というキャンペーンで、観れる。
観るしかない。
しかも、ジブリ作品の中で、一番好きなもののけ姫だ。
何度も観た映画なのに、新鮮な気持ちで、スクリーン一杯の世界に没入できた。飯も食べてないのに、なぜか回復してしまったのを覚えている。
ストリーオブマイライフ
アカデミー賞の作品賞にノミネートされていたので、観ることにした。そもそも、若草物語の内容すら、知らずに観たので、グッと来るものがなかった。ちゃんと、原作や映像化された他の若草物語を理解して、観れば、良さに気付けたのだと思う。
そこで、見終わって、20時10分。
そして、最後の映画、透明人間である。
透明人間
当方が観たのが、某ショッピングモール内のシネコン。
ショッピングモール内で、唯一、21時以降、運営しているお店は、そのシネコンのみ。
20時40分から、始まるこの映画は、レイトショー扱いとなる。
準備を済ませ、場内に入ると、観客は、自分一人。
田舎では、よくある話である。
予告が始まったら、ポツポツ人が入ってくる。
ホラー映画というのは、苦手では、ないが、見る前には、一定の気概が必要である。
取り合えず、予約した真ん中の席に座る。
誰も来ない。
予告映像が始まる。
誰も来ない。
頭の中で、「まさかー」と思いながら、場内が暗転する。
誰も来ない。
本編が始まる。
その時には、手汗びっしょりで、心中、穏やかでない。
この映画は、レビューサイトを見て、大変、高評価だったので、観ることを選択した。
ホラー映画の高評価が意味するのは、
こ・わ・い
を意味する。
「いやいや、これを一人で、耐えろ」と、劇場内を見回す。映写機の光源を見る。
誰も劇場内に入ってきた感じがしない。
取り敢えず、自分に出来ることは、いつもより、背もたれにもたれ、ひじ掛けのドリンクホルダーを強く握ることしか出来なかった。
映画よりも、この状況が怖い。
ジェイソンやフレディー、ブギーマンが劇場内に現れるのでは、ないかという変な衝動に駆られる。
取り敢えず、身体に力が入ったまま見続け、頭に何も入ってこない。
スクリーンに精神病棟の部屋が映り、透明人間を
"いるの?いないの?"
という様子を伺う主人公。
"お客さんいるの?いないの?"
と劇場内を伺う自分とリンクしていたのだが、その時は、そんな事を考える余裕はない。
後半は、怖くて、ジャンプスケアーのところで、お客さんが居たら出来ないぐらいの声量で、
「うわー!」
「ひやー!」
と叫んでみる。
その自分の声が震えているので、また、怖くなる。
お客さんがいたら、恥ずかしい。滅多に出来ない事だし。怖いし。
なんとか、見終えることが出来た。
結局、観客は、一人だったようだ。
帰りの車を運転しながら、一日を振り返ると、
透明人間が怖かった。という感想と得も言われぬ達成感だけが残った。
ここまで、読んで頂き、ありがとうございます。
愛してるぜ!!
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