吉谷 吾郎

●コピーライター ●「よわいはつよいプロジェクト」発起人 ●『主観思考』(光文社)発売…

吉谷 吾郎

●コピーライター ●「よわいはつよいプロジェクト」発起人 ●『主観思考』(光文社)発売中 ●日本ラグビー選手会●「ほぼ日の塾」1期生 ●「OFF THE FIELD」主宰 ●X @nitta_shiyo https://yoshitanigoro.com/

最近の記事

ぼくらがスポーツから学ぶ理由。ビジャレアルC.F.とガウディ建築と20歳の少女。

初めてスペインを訪れた。 向かった先は、ビジャレアルというスペイン東部にある人口約5万人の町。地中海に面していて自然豊かで、広大なオレンジ畑があちこちに見える。町中にモザイクアートがあって、バラバラな形をした個が全体で調和することや、アートをたのしむことを重んじるこの町の風土を感じさせる。 今回の旅は、スペインのラ・リーガで戦うサッカークラブ「ビジャレアルC.F.」の佐伯夕利子さん(スペイン在住30年以上)が7日間のプログラムを組んでくださり実現した。世界的に見ても稀有な

    • 前に進もうとする「勇気」こそが、「挑戦」だと思う。

      トップアスリートは、みんなすごい。心からリスペクトしている。例外だっている?ノー。どんな人であっても、だ。たとえ有名じゃなくても、日本代表じゃなくても、ちょっとくらい酒で失敗しても。トップアスリートはみんな、日々プレッシャーや評価と闘いつづけて自分と向き合いつづけている。それでも、どれだけ努力しても「選ばれない」ことがある。 山中亮平が、ラグビーワールドカップ2023フランス大会の最終選考で落選した。白状してしまえば、ぼく自身も「選ばれるだろう」と油断していた。2015年の

      • ひとりでも多くの人に聴いてほしかったアスリートたちのことば。

        「みんなと考えるメンタルヘルス」(主催・トヨタ財団)という国際フォーラムでおこなわれたシンポジウムに参加しました。 ぼくは「よわいはつよいプロジェクト」のメンバーとしてすこしだけ登壇させていただいたのですが、このシンポジウム全体の3時間があまりにあっというまで、(陳腐な表現になってしまいますが)感動してしまいました。 同時に、このイベントの内容をもっと多くの人に知ってほしい‥‥!と純粋に思いました。登壇されている方々の話に何度も「わかる‥‥!」「なるほど!」「おもしろい‥

        • 『THE FIRST SLAM DUNK』への愛をひたすら語らせて。

          期待に応え、期待を超えた2つのアイデア 人は、ふつうに生きているだけで、不安や悩み、痛みや失望にぶつかってしまうものだと思います。それらをゼロにするのはむずかしくて、いかにしてその「見たくないもの」を正面から見つめることができるか。そして、それを受け容れて、前にすすむことができるか。そこに、その人の「人間力」のようなものが表れるのだと思います。 反対に、目を背けたくなるような事実に対して、「そんなはずはない」とか「あっちいけ」とアレルギー反応をしてしまうと、雪だるまのように

        ぼくらがスポーツから学ぶ理由。ビジャレアルC.F.とガウディ建築と20歳の少女。

          若者が選挙に行きたくなることば、って?

          新卒社員の給料が1990年にくらべて10%減っているとか、国がしれっと社会保険料を増額させて手取りが減っているとか、生活必需品がどんどん値上げしているとか。ま、とにかくぼくたち若者たちにとって、生きづらい世の中になっていることはたしかです。 それはなぜか? 暮らしのルールを決めている政治家たちが、若者のほうを見ていないからであり、どうして見ていないかは「票にならないから」だと思います。政治家にとって選挙は、いわば若者にとっての「就活」。仕事に就くための戦略のひとつと言える

          若者が選挙に行きたくなることば、って?

          親はどれだけこどものことを理解できているだろうか?

          元Jリーガーでユースのコーチをされている方が、こんな話をしてくれた。 「練習中、親御さんたちがこどもに対して『もっとここしろ、ああしろ』『なぜできないんだ!』といった発言がたくさんあって見過ごせない」 まず、親は親で「こどものために」と頑張っているから、頭ごなしに「こどもにアレコレ言うな!」と否定しちゃいけない。コーチもこどもも「うっせぇなぁ!」と思っているけれど、親だって「うっせぇなぁ!」なのだ。 コーチを心から信頼できていないから、アレコレ口を出している可能性だって

          親はどれだけこどものことを理解できているだろうか?

          「もう帰るよ!」では、帰らなかったのに。

          先日、すごい発明をした。 妻が仕事で不在だったとき。幼稚園から帰ってきた息子(3歳)とふたりで1時間だけ海に遊びに行こうとなった。 海岸で砂山をつくったり、水路を海までつくったり。こどもとふたりで熱中した。ところが、楽しい時間は、あっというま。 ぼくは、次のZOOMミーティングがある。だから、なんとしてもその15分前には、海を出発したい。 さて、この子をどう「切り替え」させるか。みんなそうなのかもしれないけれど、うちの子はなにかをしているときに中断を促させられると「い

          「もう帰るよ!」では、帰らなかったのに。

          話しながら、考えたこと。

          ・人間の悩みは大きく4つだと考えている。1.比較(他人との。嫉妬心) 2.ギャップ(理想との。自責)3.災難(事故や愛別離苦) 4.恐怖(プレッシャー。周りからどう思われているか)‥‥そして、この4つのすべての解決策となっているのは、「受け入れる」ということではないか。他人との違いを受け入れる。理想とのギャップを受け入れる。不慮の出来事を受け入れる。プレッシャーを受け入れる。受け入れる器を大きくしていくことこそが、たのしい人生を送るコツなのだと思う。 ・世の中は、「どっちも

          話しながら、考えたこと。

          とある小さなお弁当屋さんの話。

          コロナによる外出自粛がつづき、少し疲れが出ていた春の終わり頃。 「ちいさなピクニックでもしようか」と妻とこどもの3人で、家から自転車で15分くらいのところにある緑豊かな公園に行くことにした。 三密を避けて公園でお弁当を食べようと、スマホで近所のお店を探してみるものの、新型コロナウイルスの影響があり、どこのお店も閉まっていた。 やっと見つけたのが、全国展開している和食レストランのテイクアウト。ぼくはひとりで買い出しに向かった。 ところが、目的地に着く手前数十メートルのと

          とある小さなお弁当屋さんの話。

          一行のコピーと20年ぶりの再会。

          2019年9月27日。 実家に一枚のハガキが届いたと母から連絡があった。達筆すぎて約85%しか読めないその文章の書き主は「森監督」だった。 ぼくは幼稚園から小学6年生まで「練馬ラグビースクール」という地元のラグビースクールに通っていた。森監督とはその創始者である。懐かしくなってネットで調べてみると、今は「名誉監督」という肩書きになっていた。もう85歳だという。 記憶を辿ってみると、森監督といえばヤンチャな中学生たちを怒鳴りつけていた姿が印象深い。いつもグリーンのRunB

          一行のコピーと20年ぶりの再会。

          がんばれ、ひまりちゃん。ひとつのTシャツが生んだ出合い。

          「OFF THE FIELD」というプロジェクトの第1弾として、山中亮平がラグビーワールドカップ2019で応援してくださった方々への感謝の気持ちを伝えるTシャツをつくりました。 非常に多くの方々から(53枚限定だったのですが2500名を超える応募者‥‥!)ご連絡をいただいたのですが、その中のひとつに、「ひまりちゃん」という2歳の女の子のおかあさんからのメールがありました。 その中身は、このようなものでした。 「わたしの娘は、難病と闘っています。ラグビーワールドカップのは

          がんばれ、ひまりちゃん。ひとつのTシャツが生んだ出合い。

          ラグビー日本代表に伝えたい「ありがとう」。

          ラグビーワールドカップ2019日本大会がおわった。 ついに、ほんとうに。これだけ短期間で日本中を熱狂させることができたラグビーというスポーツに、すこしでも関わってきた人間として、これほど誇らしいことはなかった。 これまでラグビーのことを「え、痛そう‥‥」とか「ルールがイミフ!」と言っていた人たちでさえ、いまや「ラグビー、最高!」と言っているのだから、ぼくらみたいな、もともと「ラグビーとは人生そのものである」みたいな暑苦しいことを言っていた人たちが、どれだけうれしいか、おわ

          ラグビー日本代表に伝えたい「ありがとう」。