三島義則(IBDP日本語Aチューター、小・中学生の継承語学習、日本の高校・大学受験オンライン)

2019年オランダで日本語教室Edubleを開設、その他オンライン家庭教師(日本在住の…

三島義則(IBDP日本語Aチューター、小・中学生の継承語学習、日本の高校・大学受験オンライン)

2019年オランダで日本語教室Edubleを開設、その他オンライン家庭教師(日本在住の生徒向け)、IB日本語サポートもしております。大阪の公立高等学校で8年間社会科の教諭をしていました。幅広い年齢の子どもたちの学習サポートをしながら、オランダで学んだことを記録しています。

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オランダの学習教室EdubleのHPをリニューアル[407]

 こんにちは!オランダのデン・ハーグにある学習教室EdubleのHPをリニューアルしたのでお知らせいたします。これまでは、ホームページの編集が複雑でなかなか更新するのに苦労していたのですが、この度Googleサイトを利用して作り直すことにしました。  オランダの教室での日本語レッスンや、オンラインでの日本語学習その他日本のカリキュラムに合わせた学習サポートについてご興味のある方は以下のHPをご確認いただき必要に応じてお問い合わせいただければと思います。  その他、YouTu

    • 「引きこもり」を生み出す環境に焦点を当てる - 『小説8050』からの学び[432]

       林真理子さんの『小説8050』を読み終えました。日本の「引きこもり」は大きな社会問題となっており、現在の引きこもりは146万人(2023.3)、約30万人の小中学生が不登校(2023.10)になっているそうです。近年は原因も複雑になっており、女性の引きこもりの数が増えていたり、学校ではなく家庭環境が原因で不登校になってしまうケースもあるようです。  『小説8050』は非常にリアルな社会を描いており、IBDP日本語Aでのディスカッションの材料として使えそうなテーマして記録お

      • 狭い世界で生きる生きづらさからの解放-『さいはての彼女』からの学び[431]

         文学分析の勉強のために、原田マハさんの『さいはての彼女』を読みました。今回はIBDPの日本語Aの指定作品リスト(PRL)には入っていない作者の方なので、SSSTの生徒が作品として取り入れることはありませんが、いろんな作家の作品を読んで視野を広げたいと思っています。  今回は、4人の女性の短編物語として、それぞれの女性が日常生活の中で感じる苦しみから、旅を通じて解放されていく様子が描かれています。  この記事では、文学作品を読んで生徒たちと話し合いたいテーマについて記録してい

        • 最も避けなければいけない継承語における「最悪の循環」 - 子どもへの押し付けが奪う学習への興味や主体性[430]

           子どもの日本語を海外で維持する場合、多くの保護者の方がその難しさを感じていると思います。私もその一人で、オランダ現地(あるいはインター)の学校に通う子どもの日本語を維持することは本当に難しいと日々実感します。  私の日本語クラスでは、子どもの習得度に合わせて学習を進めます。その子の年齢に合う学年の内容を進めると、どうしても漢字や語彙の関係から学習を進めるのが難しくなってしまいます。 日本語を海外で継承語として学ぶ場合、日本語という言語がアルファベットを使用する言語に比べて文

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        • IBDP日本語A(作品記録)
          8本
        • 日本語教室、オンライン家庭教師の記録(2020〜)
          76本
        • 30代「探究学習」ポートフォリオ
          71本
        • 30代から始める「仏教」からの学び
          2本
        • IBDP日本語A 2021〜取扱説明書(SSSTも含む)
          18本
        • オランダ生活・教育 vanaf 2020
          85本

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          熾烈な「受験戦争」を勝ち抜いた先にあったもの[429]

           最近、林真理子さんの『小説8050』を読んでいます。自分の受験生時代を思い出したり、これまで受験で苦労してきた高校生を見てきたことから、根本的に「保護者が将来に対して強く不安をもち、その不安と期待と子どもに背負わせること」を社会制度も含めてやめていかないといけないと感じます。  本作品はまだ読み終わってませんが、私もそれぞれの受験(中学受験・高校受験・大学受験)を経験してきました。人生を豊かにするはずの学習は、いつの間にか自分の将来の安定した生活を得るための手段と化し、偏差

          子どもの心に扉があるとすれば、その取手は内側にしかついていない[428]

           『ケーキの切れない非行少年たち』を読んでいて、この言葉が最もグッと刺さりました。今日はこの本から学んだこと、感じたことを記録します。  刑務所に入るような犯罪をする人たちは本当に凶悪な性格を持ち合わせた人たちなのか、犯罪に走る前に家庭や学校教育でできることはなかったのか、という思いで一気に読み終えてしまいました。 悪いやつがいるのではなく、悪いことをする脳や心の構造がある トップニュースになるような事件を起こす人たちは、脳に腫瘍があって、衝動を抑えたり少し先に起こりうる

          子どもの心に扉があるとすれば、その取手は内側にしかついていない[428]

          仏教の学び①「四聖諦」と「苦しみ」からの出発[427]

           自分の生き方と向き合うために仏教を学び始めました。長い歴史がある仏教のスタート地点を知りたいと思い、この日本テーラワーダ仏教協会のホームページから基礎的な情報を学んでいます。記事の画像は、インドの国旗の中央にある法輪(仏教そのものの教えを示す)を載せています。  仏教は信仰の対象を唯一無二の絶対的な物ではなく、私たちの心を真ん中に置いているところが馴染みやすいです。今日は仏教のスタート地点でもある、私たちが抱くあらゆる「苦しみ(生老病死など)」をどう考えるのかについて、初

          死別した父親の年齢になって考えること[426]

           今日は自分の内面的なことを記録したいと思います。私は小学2年生の時に37歳の父が病気で亡くなりました。多くの悲しみを背負ったはずの私ですが、父の葬式を終えてから3年生になるまでの記憶は全くありません(おそらく相当のショックだったので、その記憶は無意識にどこかへ追いやられた可能性があります)。私の記憶の範囲で分かることというのは、幸いにもその後自分の選びたい道を進むことができ、支えてくれる家族や友人に恵まれてここまで来ることができたということです。  最近、娘が9歳になり私も

          2024年第4回IBDP日本語A SSST準備講座〜詩の分析・文の構成[425]

           前回の第3回に引き続き、日本語のエッセイを書く授業を希望する生徒がいたため、希望者向けに4回目の授業も実施しました。今回は詩「葬式列車」の分析と、シベリア抑留についての確認と分析文の組み立て方をメインに授業をしました。前回の授業内容については、以下の記事より確認していただけます。 石原吉郎「葬式列車」分析と文の構成 4回目の授業までにこの詩から分析できることは何か、分からないと思ったところはどこかをはっきりとさせておくことを課題にしました。生徒たちは、詩の主題を概ねつかむ

          2024年第3回IBDP日本語A SSST準備講座〜日本語の分析・表現の練習②[424]

           6月のIBDP日本語A準備講座の報告をさせていただきます。基本的には6月は2回と決めて、ブックリストの完成と日本語で書くエッセイのチェックをしました。生徒はみんな日本語に触れた環境が非常に多様なので、それぞれ書いてもらったエッセイを一緒に見て、これからどんなことを意識してトレーニングをすべきなのかを考えてきました。一応、6月のレッスン目標はここまでなのですが、もう少し時間をかけて日本語でエッセイを書くトレーニングをしたいという気持ちを持ってくれた生徒が数名おりましたので、3

          2024年第3回IBDP日本語A SSST準備講座〜日本語の分析・表現の練習②[424]

          夫婦で"Squash"に初挑戦![423]

           大人からでもスポーツを始めるのは楽しい!と最近感じることがありました。  最近ダンスの発表会で娘が踊る姿を見て、「何かのスポーツを一生懸命するってすごくいいな!」と思っており、オランダで野球を始めてみたものの練習場所が遠かったり、ちょっと自分には向いてないような気もして、しばらくジョギング程度のことしかしていませんでした(急に10kmから始めて膝を痛めたりとかもありました、、、笑)。  娘は水泳のディプロマがひと段落ついたので、最近はテニスを始めました。テニスは僕もとて

          私が出会った攻撃的な保護者 - 大人にも必要なコミュニケーション能力[422]

           先日、私が提供している子どもの日本語レッスンで、初めてこちらから継続をお断りするというとても残念なことがありました。  私は社会に出てから教育に関係する仕事しかしてきていないのですが、ほとんどの場合は保護者と対等な関係を築き、お互いに考えを共有しながら子どもを見守るという良好な関係を持つことができました。こういったやり取りの中では、むしろ私自身が学ぶことも多く、子どもを介して自分の世界が広がる経験ができるようなとてもありがたい出会いがいくつもありました。  その一方で子ども

          私が出会った攻撃的な保護者 - 大人にも必要なコミュニケーション能力[422]

          海外で日本語が伸びる理由・伸びない理由は「親子の関係性」にある〜継承語教育4年の記録[421]

           日本の公立高校の社会科教諭から、2020年に継承語教育として日本語を学べる学習教室をオランダで開設し、子どもたちに日本語を教えるようになって4年が経過しました。高校教諭時代は社会科を専門科目として教えていましたが、こちらでは広い学習ニーズに応えるために、年齢や科目の幅を広げてサポートをしています。いろんな年齢、いろんな科目をサポートする中で、これまで気づくことができなかった大切なことが見えてきました。今日はそのことについてまとめておきたいと思います。  継承語として学ぶ日

          海外で日本語が伸びる理由・伸びない理由は「親子の関係性」にある〜継承語教育4年の記録[421]

          違いがあってもダメな子なんて一人もいない『窓際のトットちゃん』から学ぶこと[420]

           先日、家族で映画「窓際のトットちゃん」を鑑賞しました。この作品は、1981年黒柳徹子さんが自叙伝として出された作品で、2023年に単一の著者で自叙伝として最も多く発行された著書としてギネス記録に認定されたそうです。それと同時に映画化もされました。  私たちがこの映画を鑑賞したきっかけは、私が何か家族で観られる映画はないかと探していたところ、「窓際のトットちゃん」というタイトルを見た妻が小学生の時に大のお気に入りだった作品らしく、映画化されたものを一度観てみたいと言ったこと

          違いがあってもダメな子なんて一人もいない『窓際のトットちゃん』から学ぶこと[420]

          2024年第2回IBDP日本語A SSST準備講座〜日本語の分析・表現の練習[419]

           今年から新たにIBDP日本語Aのチューター依頼を3件受けましたので、6月から2回に分けてIBDPの準備講座をスタートしました。1回目は夏休みに一時帰国をする生徒が多いので、その時に文学作品を購入できるように仮の「ブックリスト」の作成に取り組みました。ただ、これは言語Bの作者と重複して読むことはできず、それぞれの学校によって異なる分に関してはまだ分からないので現時点でのリストを作成します。そのことも伝えた上で生徒とブックリストについて確認しました。 作成した「ブックリスト

          「父の日」をテーマに工作や作文活動[418]

           先週は父の日を題材に、カードやクラフトを使って日本語学習をしました。日頃の読み書きもいつも頑張ってくれる子たちですが、大好きな人にメッセージを送ろう!というモチベーションがあると、みんなさらにやる気を出して取り組んでくれました。  小学生はクラフトや手紙のデザインを自分で選んで、作ったり絵を描いたりなど自分の好きな表現方法を選んで手紙を書きます。作文活動でもあるので、日本語の文章を書くことは全員に求めています。  また、中学生はお父さんとの幼い頃の思い出を振り返るというテ