吉村ジョナサン(作家)

教育や心理学を中心に、日々の雑感を綴っていきます。 【連載中】「こころの処方箋」を読む…

吉村ジョナサン(作家)

教育や心理学を中心に、日々の雑感を綴っていきます。 【連載中】「こころの処方箋」を読む【公式LINE】https://lin.ee/QmxvVkS 【公式サイト】https://sites.google.com/yoshimuraart.com/home

最近の記事

本の紹介 西尾維新「鬼怒楯岩大吊橋ツキヌの汲めども尽きぬ随筆という題名の小説」

西尾維新(にしおいしん)版「吾輩は猫である」である。むろん、語り手は猫ではないのだが、それでも夏目漱石の代表作を彷彿とさせる流れ途切れることのない文体から、そう捉えてしまうのも無理はないだろう。多くの読者が数ページで挫折するのではないか。この語法のまま最後まで行くのかという恐怖に耐えられず、本を閉じた人は多いはずだ。それでも読み進めて行くと、今度は本を閉じることが難しくなってくる。絶えず流れ続ける言葉と思考の濁流の中で、息つく間もなく取り込まれていく。西尾維新のこれまでの作品

    • 文学フリマ東京38に行ってきた

      文学フリマ東京38に行ってきた。 文学フリマ(文学作品展示即売会)とは文学フリマは自己理解の機会でもある。 どんなブースに興味があるのか、どんな装丁に心惹かれるのか、どんなことには目が向かないのか、歩いているうちにわかってくる。 僕の場合は、あたかも商業出版といういでたちのものはあまり心惹かれず、手作り感満載のもの、特に小さなA6版の本に心がときめくようである。 開場は12時だったけれど、到着したのは14時半頃だった。そこから約1時間かけて、第一展示場をまわった。

      • コロナ禍に始めたnoteも5年目

        noteを始めてから、丸四年が経過していた。 2020年の4月8日に始めたらしい。 折しも日本が、世界がコロナ禍に入った頃だった。 2020年3月頃には日本中に自粛ムードが広がり、誰もが感染の恐怖に怯えていた。当時はまだ治療法はおろか、感染ルートさえ議論されていたころだった。 ちょうどその3月で全日制の教員を辞めることになっていた。 繰り返される営みの中で、もっと広い世界を見たい、新しい教育の在り方を模索したい、そしてそれを事業化して、新しい生活の糧を得て生きていきた

        • 雨穴「変な絵」一言感想文

          「変な家」で知られる雨穴(うけつ)さんの2022年の作品。さまざまな「変な絵」を手掛かりに、物語が進んでいく。ホラー要素もあるので、ゾッとする表現もあるが、全体的には謎解き要素が強い。ストーリー展開にややホラー要素があるものの、それほどおどろおどろしいわけでもなく、むしろ謎解き部分を抜き出して楽しむこともできる。確かに映像化したら怖そうではあるけれども、全体的には明るい展開もあり、読後感もわるくない。叙述トリック的な要素もあるので、マンガや映像よりも、まずは小説で楽しんだ方が

        本の紹介 西尾維新「鬼怒楯岩大吊橋ツキヌの汲めども尽きぬ随筆という題名の小説」

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        • 最近のエッセイ(2023年7月〜)
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        • 【連載中】河合隼雄「こころの処方箋」を読む
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        記事

          久しぶり咳喘息

          久しぶりにやってきた。咳喘息だ。 予てからアレルギーによる咳喘息とはお付き合いしているが、久しぶりにやってきた。 前回症状があったのが、確か1~2月くらいだった。そのときは本当につらかったので、最終兵器「吸入薬」を投入した。 咳喘息に対しては、症状によって対応を調整している。 無症状:何もしない ちょっとあやしい:アレルギーの薬を飲む(医師処方薬) 症状が出てきた:アレルギーの薬+漢方薬 辛すぎる:アレルギーの薬+漢方薬+吸入薬 今は②と③の間くらいなので、漢

          おやつ

          最近、おやつを用意するようにしている。 フルタイムの仕事をしていたときには、職場になるべくおやつを用意していた。それは自分のためだけではなく、同僚も自由に食べられるようにしていたのだけれども、なるべく用意していた。 たまに、生徒がお土産を買ってきてくれるので、それを置いていたこともある。でも、それだけではなくて、お買い得品をまとめ買いして、常備していた。 おやつを用意していたのは、基本的に自由に食事ができないからだった。特に、全日制高校(いわゆる普通の高校)の教員をして

          ルッキズムを学んだ結果、全てが「美」になった

          たぶん、僕は人生の大部分をルッキズムと無縁で生きてきた。 無縁というのは、ルッキズムに捉われないということではなく、そもそもルッキズムを認識できなかったからだ。 もちろん、自分が好きになる人はいたし、その好きになる要素の一つとして外見はあった。しかし、その外見の人が好きなのではなく、好きな人がその外見だったのだ。 「好きなタイプ」をたずねられると困った。 色で言えば、青系の色が好きか、黄色系の色が好きかと言われたときに、紫も水色も藍色も全く違った色で、青系とひとくくり

          ルッキズムを学んだ結果、全てが「美」になった

          【連載】「こころの処方箋」を読む~13 マジメも休み休み言え

          いわば「ユーモア」についての話である。ユーモアを持つには、ユーモアのある表現をするには、そこに「余裕」が必要である。 「マジメの側が正しいと決まりきっている」というのは、SNS全盛期の今では特に身に染みる言葉だろう。 自らが「マジメ」だと思っている側は他者の意見に耳を傾けず。また、情報を得る側も、「マジメ」だと思われる発言をやすやすと信じてしまう。 「日本的マジメ」は狭く、狭く洗練されていく。反省する機を失った「マジメ」は、鈍感や傲慢につながっていく。 おもしろいのは

          【連載】「こころの処方箋」を読む~13 マジメも休み休み言え

          水分を取る工夫

          僕はとにかく水分を取らない。 気を付けないと、一日にほとんど水分を取らない。液体をほとんど飲まず、食べ物からの水分だけで生きていこうとしてしまう。 食事をしていても、ほとんど水分を取らない。飲み会があっても、ほとんどずっと食べている。アルコールがなかなか減らない。酒がどうのこうのというよりも、とにかく液体を摂取する習慣がないのだ。 これは父親も同じなようで、ほとんど水分を取らない。ただ違うのは、父親は必ず晩酌をするので、そこである程度は水分補給(?)をしている。 僕は

          脆い時には言葉を綴る

          ほとんど人と話す機会を失っているが、それほど負担になっていないのは、こうして文字にして言葉を綴っているからだろうか。 音声による言葉と文字とでは違うところがある。 ただ、どこか心に不安があるとき、脆くなっているときには、こうして文字に綴る方が良いのかもしれない。 自分のペースで。自分のタイミングで。探り探りしながら言葉を紡いでいく。 心に余裕があるときであれば、誰かと話すのもいい。でも、相手や話題によっては、心に負担があることもある。その負担を楽しむのも会話なのだけれ

          脆い時には言葉を綴る

          宮嶋勲「最後はなぜかうまくいくイタリア人」一言感想文

          本屋でふと見かけて、直観的に選んだ本である。 イタリアにもイタリア人にも、これといった縁はない。イタリア料理にもイタリアのオペラにもそれほど関心はない。それなのに、なぜ興味を持ったのか。 帯には「人生の醍醐味は、寄り道にあり」「いつも仕事し、いつもサボる」 「空気は読んだことがない」とあり、これらに惹かれたのかもしれない。 「仕事の時間」と「私の時間」は幸せに溶け合っているフルタイムで働いてきた中で大事だと学んだのは、「仕事の時間」と「私の時間」を切り分けることだった。

          宮嶋勲「最後はなぜかうまくいくイタリア人」一言感想文

          ラ・フォル・ジュルネ東京2024

          ラ・フォル・ジュルネ東京は、毎年GWの3日間に東京の丸の内で開かれる音楽イベントである。東京国際フォーラムを中心に、丸の内のさまざまな場所でクラシックの演奏を楽しむことができる。 僕はずっとこのイベントに憧れて、いつか行きたいと思っていた。そして、ようやく昨年度から参加することができている。 今年はこんな日程で楽しんだ。 5月5日(日)最終日 10:15-11:00 「キッズのためのオーケストラ・コンサート 踊れや日本の心、オーケストラと共に!」群馬交響楽団、横山奏、

          ラ・フォル・ジュルネ東京2024

          積極的昼夜逆転

          はたしてどこまでが病理なのか。 フルタイムの中、休日をひたすら寝て過ごすことが多かった。それが、今は週に数日訪れている。当然それは不快感をともなうものだが、比較的深夜に気持ちが和らぐのを感じる。それは今に始まったことではないけれど、もう少し深夜の時間を肯定してはどうだろうか。 とにかく寝床から起きられない日はあるものの、それで明確に不都合は生じていない。フルタイムの中では休日に、それ以外では用事のないときに、それは発動されていた。生活上に明確に不利益が生じていないという点

          夢分析

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          夢分析

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          R.I.P.の前に

          有名な人が亡くなるたびに、もやもやすることがある。 僕はつねづね、「推しは推せるうちに推せ」という姿勢を取っている。 自分が応援したい人がいるときに、その人のためになることを表立ってしていこう、そしてできる限り本人に応援の気持ちを伝えよう、という姿勢である。 人の命は短い。そして、アーティストやクリエイターの活動時期はそれよりも短い。だから、その活動をリアルタイムに応援できる時期は限られている。その少ない時期に、できる限りの応援をすることが大切だと思っている。 もちろ