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ただの毎日

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プラスでもマイナスでもない、たんなる日々のこと。
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#フリーランス

フリーランスは誰かに守られている(のかもしれない)

フリーランスは誰かに守られている(のかもしれない)

はじめて会社というところで働いたとき、わたしは編集の仕事についた。「会社」どころか「世の中」の仕組みもたいしてわかっていなかった19歳、おとなになるために必要なほとんどのことは、そのときの上司が教えてくれた。

その日わたしは、デザイナーから上がってきた修正後の原稿を見ながら、自分が入れた原稿の朱字がきちんと直っているかどうか確認していた。そして何ページか読んで、全然直っていないことに怒っていた。

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6歳が、コロナになった。

6歳が、コロナになった。

6歳が、コロナになった。

でもそんなことより、コロナという言葉の恐ろしさとわたしの無頓着さが6歳を傷つけたことのほうが、ずっと怖いことだった。

コロナだとわかったあと、家に帰ってきてしばらくしてから、布団にいた6歳が急にぽろぽろと涙を流して泣いた。

「…もっとこれから悪くなるかもちれない」

きっと陽性だと知った瞬間から絶望していたのだと思う。毎日何人の感染者、毎日何人の死亡者、毎日何人の入

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中村さん

中村さん

最近、とある場所に出入りしている。
もともと他の方々の輪ができているなかにわたしが後から入ったのだが、ある日そのうちのおひとりがわたしを見て、「中村さんに似てるわ」と言った。

すると他の方も大きく頷き、「そうなの、わたしもそう思っていたのよ。なんだか雰囲気が似てらして」と言う。

「髪型が似てるのよね」「そう、目のあたりも」と、中村さんのことを思いながら、みんながわたしをまじまじと見るのである。

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高校時代に置いてきた種を42歳になった今、まくことにした。

高校時代に置いてきた種を42歳になった今、まくことにした。

最近、はじめたことがあります。
それは、茶道。

この25年のあいだ、茶道に触れる機会はちょこちょこあったけれど、きちんと指導を受けるのは四半世紀ぶりで、何年ぶりなのか今計算してみて卒倒したところ。

25年前、わたしは高校で茶道を習っていたのでした。お茶とお花、お琴が3年間学べるというのに惹かれてその学校を選んだところもあるのだが、お花はちょっと気持ちと折り合いがつかず(どうしても針金で花を曲げ

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インタビューの仕方が変わったときのこと

インタビューの仕方が変わったときのこと

取材という仕事をはじめて、20年ほど経つ。最初は会社勤めしていたときで、経営者インタビューなどを担当していたのだが、ただただ決めた(決められた)質問をぶつけて答えてもらうだけで、会話も脈略もない時間だった。

でも、当時のわたしは、決めた質問以外のことを問いかけてみようなんてまったく思わなかった。どうせ聞いたって記事には書けないから。決められた枠や文字数があり、決められたテーマがある。それ以外のこ

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