吉姫百合子

よしひめゆりこ と申します。コロナ禍中に小説を書きはじめました。カナダで夫と子供2人と…

吉姫百合子

よしひめゆりこ と申します。コロナ禍中に小説を書きはじめました。カナダで夫と子供2人と猫と暮らしています。昼間は大学で心理学を教えています。

最近の記事

Kang Tong Boy by YMO

仕事で行き詰った時は、YMO (イエロー∙マジック∙オーケストラ) のKang Tong Boyを 聴く。矢野顕子のソプラノがフワァ∼っ脳内に染みわたる。Kang Tong Boyはライブ録音のがいい。当時、彼女は教授(坂本龍一)と蜜月だった。恋する女の声って、こんなにも美しいんだ。それとも、恋なんて、しててもしてなくとも、矢野氏の声は、とにかく美しいのか。彼女の伸びーやかな声を聞いていると、私の心まで伸びやかになってくる。 当時、矢野顕子が恋してなかったら、高橋幸宏の英

    • カナダの大学受験

      高3の長女が大学に進学する。目標はただ1つ。大学リーグに入っている水泳部のレギュラーになって泳ぐこと。彼女は高2の時点では、その夢に到達できるようなタイムは持っていなかった。ない時間を無理矢理作って、ジムに通い、筋トレに励んで、高2の終わりからどんどんタイムを伸ばしていった。後は、彼女のタイムでも泳げるチームを探して願書を出すだけ。 カナダでは入試がない。ネットで志望校に願書を出すだけだ。高校の成績表もネットで送る。願書には、連絡先や高校名を書くだけだ。 「本当にそれだけ

      • なかやまきんに君について

        50歳を過ぎたあたりから、太りやすくなった。私は体重は計らないが、服がきつくなると、(ああ、体重増えたな)、と気づく。ここ20年ほどは、週3回、5キロほどの山道をジョギングしているが、体重が増えた時は、少し余分に走るだけで、ダイエットはせずとも元の体型にスーっと戻った。それが、最近は効かない。ダイエットをしても、あまり効果がない。 そこで、昨年からYouTubeを使って生まれてはじめて筋トレをはじめた。しばらく真面目に取り組んではいなかったが、最近、なかやまきんに君の動画

        • 忘れられない本

          先日、「忘れられない映像」というエッセイを投稿したのだが、今回はその姉妹編というか、幼い頃に読んだどうしても忘れられない本について書いてみたい。再び1970年代の話だ。 私が幼い頃から忘れられない本は2冊しかない。一冊目は、ネットでやっと探し当てた。民話と伝説シリーズ「世界の美しい話」偕成社(1970年)だ。大石真の編集で絵は藤沢友一による。 当時、私は7歳だったと思う。図書館でみつけた偕成社、世界の「民話と伝説シリーズ」にどっぷりとはまった私は、1キロ離れた図書館に

        Kang Tong Boy by YMO

          とうとうたらり たらりらぁ∼

          石田衣良さん、早川洋平さん、美水望亜(よしみずのあ)さんの「オトナの放課後ラジオ」が好きで、よくYouTubeを見ている。先日この番組で、衣良さんが近田春夫作の筒美京平(1940-2020)の伝記を紹介していらした。衣良さんの解説によると、この日本の昭和の歌謡界を代表する作曲家は、天才だったらしい。 そこで、筒美氏について自分なりに調べてみた。確かに凄い。衣良さんのおっしゃる通りだった。総売り上げ数は、歴代の作曲家の中で1位。日本レコード大賞作曲賞を過去5回も受賞したのは

          とうとうたらり たらりらぁ∼

          忘れられない映像

          幼い頃、テレビで観たどうしても忘れられない映像がある。テレビで観たと言い切れるのは、私は1969年(昭和44年)生まれで、当時子供はテレビでしか、作られた映像を観ることはできなかったからだ。 あれから、40年以上たつが、この題名も分からない3つの映画のことを今だに思い出す。そこで、ネットで探し当ててみることにした。 1つ目は、洋画のサスペンス物で、私は話の筋も全部覚えていたので、恐らく、1970年代のアメリカ製ではないかとふんだ。Google に覚えていることを、以下のよ

          忘れられない映像

          「山寺へ」第3話

           二人が十五分ほど西に進んだ時、陽介は地形図を見ながら言った。 「この辺の傾斜が造園所からは一番緩い」 「じゃ、ここが参道だったんですか」 「跡形もないですよね」 「降りてみますか?」 「ええ。丁度、造園所の真上あたりですし」  下りは登りよりは楽だとはいえ、それでも直線で降りられる箇所などはなく、立ち込める木々をかわしながら、二人はスウィッチバックを繰り返した。  陽介の手に捕まって、斜面に横たわる倒れた大木を乗り越えていた祥江が言った。 「千年前は、あんなに栄えていたお寺

          「山寺へ」第3話

          「山寺へ」第2話

           陽介は、席を立ち、店のオフィスで、空だったバックパックに、チーズケーキの箱をぎっしりと詰めた。そして、洗濯室から祥江の乾いたダウンジャケットを持ってきた。 「あれっ? 裾がきれいになってる」  陽介からダウンジャケットを受け取った祥江は言った。 「あ、泥落としときました」 「すみません! そんなことまでしていただいて」 「構いませんよ。僕、時間があれば、お送りしたいんですけど、今日は五時から仕事なんで」 「そんな、とんでもないです。散々お世話になって。一人で帰れますから」

          「山寺へ」第2話

          「山寺へ」第1話

          菅原陽介は、京都駅の和食レストラン藤村でウェイターをしていた。工藤祥江(さちえ)は、東京からの観光客だった。二月のある金曜日の晩、二人は藤村で出会った。翌日、二人は鴨川の岸辺で再会した。祥江は、「蜻蛉日記」の作者にゆかりの場所を巡るために京都を訪れていること、そして、その日は般若寺の跡地に建つ祠を探すために、白砂山に入ったが、結局見つけられなかったことを陽介に告げた。雨の降る翌日、二人は共に白砂山を徘徊し、ついに祠を発見した。京都駅への車の中で、陽介は彼女に魅かれている自分を

          「山寺へ」第1話

          プロフィール

          吉姫百合子(よしひめゆりこ)と申します。コロナ禍中に小説を書きはじめました。カナダで、夫と子供2人と猫と暮らしています。昼間は大学で心理学を教えています。noteではエッセイにも挑戦してみたいです。 国籍:日本 言語:日本語と英語 教育:学士(津田塾大学)    修士・博士(ブリティッシュコロンビア大学) ジャンル:恋愛・エッセイ

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