よしえ

群馬県の山の中に在住。二拠点生活に近し。主に酒にまみれて生息中です。 日々のこと、えほ…

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群馬県の山の中に在住。二拠点生活に近し。主に酒にまみれて生息中です。 日々のこと、えほん、小説など https://twitter.com/Yoshie_ten

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【えほん】丸いたましい

あるところに、丸いたましいがありました。 丸いたましいは、あたたかい光の輝きのような、色素のない色ををしており、見る人がみるとまるくは見えませんでした。 ぐにゃぐにゃだったり。 かくかくだったり。 今まで目で見てきた、たましいにあてはめて見てしまうのです。 それは生きていくためには仕方ないので責めることはできません。 丸いたましいもまた、自分がどんな形をしているのか、ほんとうには気付いていませんでした。 あたたかく光輝くたましいは、「じぶんはまるい」と思っていたけれ

    • 【短編小説】休眠

      どうしても、わたしは彼の天使になりたかった。ちっちゃい頃から、私は誰かの天使になるのが得意だった。 この世でその人が得意なことを素直に褒めたら、その人が本格的にそれを仕事にしちゃって、うまくいっちゃって。で、なんだか幸せそうに暮らしている。そういう人がたくさん現れた。だからわたしは彼の天使にもなれる、そう疑わなかった。 彼に初めて会ったのは、近所にある行きつけの喫茶店だった。マスターの友達と紹介された彼は、あまり健康そうではなかった。 背は高めでひょろっとした体つき。

      • ざんこくな鬼とおにごっこ

        1人目の縁のある男に会った後に、はじめて書いた物語です(詳しくは「縁のある男に会った日に、へびに咬まれた①」)。やっとこう、1人目が随分とふっきれて、よいタイミングなので公開しました。 これを書いたのがちょうど2年半前。 書いてすぐに、縁のある男に会った日に、へびに咬まれた①に出てくる親友のシンガーにこの話を送った。「やっと書けたよ」って。 その時、親友にあてた気持ち、メモしてあった。 この話を送った後すぐに、彼女は「おにごっこ」という曲を書いた。 「ざんこくな鬼」から

        • えほん「ざんこくな鬼」

          あるところにざんこくな鬼がいました。 鬼は、1年中野花が咲き乱れる故郷、鬼ヶ島を愛していました。 鬼は182歳の時に、世界の仕組みがどうなっているのかを明らかにするために旅に出ました。もっともっと世界の色んなことを知りたかったのです、感じてみたかったのです。 鬼は世界中でたくさんの人に出会います。 顔の白い目の赤い鬼、白玉の形をしたネコ、頭から足が生えた人間、ほんとうにたくさんの人と鬼は出会いました。 鬼はいろんな人とお酒を呑んで語り合い、すばらしい景色を見たり、時に

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        【えほん】丸いたましい

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          白いヘビについて深く考えない(縁のある男に会った日に、へびに咬まれた続き)

          こちらの続き 読み返してみると、なんだか1人目の縁のある男の話ばかりになっているなと思った。 1人目の縁のある男と、2人目の縁のある男は全く似ていない。 はじめこそ、トラウマにより思い返したが、瞬時に現在に戻ってくるほどに全く似ていない。2人目の縁のある男とは、過去の私ではなく今の私の、やっと好きになれてきた自分が好きな感覚の部分で、深くつながっている湧きあがるあたたかさがあった。うまく説明できないけど、自分をそのままを肯定できる感じ。1人目とはまた違う感覚。 2人目の

          白いヘビについて深く考えない(縁のある男に会った日に、へびに咬まれた続き)

          縁のある男に会った日に、へびに咬まれた④

          彼とは何か通じている感じがした、彼が送ってくることばは、わたしには深いところでよくわかるような、つながっているような気がして、そして、 私は1人目の縁のある男を思い出した。 もうあまり思うことがなくなっていたのに。2人目の縁のある男に出会うまで、私は本当にもう立ち直っていて、もう全然平気で、もうすっかり過去のことになったんだと思っていた。 再び、普通じゃないシンクロが多いな何かおかしいという状況に遭遇したことで、ある夜に私の中でぱかっと開いた。夜中に「私から離れた。」とつ

          縁のある男に会った日に、へびに咬まれた④

          縁のある男に会った日に、へびに咬まれた③

          一目見てない、惚れだった。 彼とはSNSで知り合った。SNSのサジェストでおすすめされた中から、文章がなんとなく好きだなと感じてフォローした。彼は自分のことを「わたし」と言うので、私は彼の事を女の人だと思っていた。 彼をフォローした頃、私はお友達の読書会に持っていく本を選んでいた。 なんとなくはもう「この本にしよう」と決めていて、短編集の中でとくに印象的だったのが現在実在している海に住む生き物の話だった。彼らはもともと陸上で暮らしており、四つ足で犬のようなオオカミのような

          縁のある男に会った日に、へびに咬まれた③

          縁のある男に会った日に、へびに咬まれた②

          原因は、怒り だった。 彼はかなり怒りっぽかった、私から見ると。しかし彼は、自分が怒りっぽいとは思っておらず、明らかに怒って見える時も「怒ってない。」と言った。 家族での議論が白熱すると、おたがいを否定し合っているようにみえたが、彼は「どちらが正しいということじゃない。否定することで、議論を盛り立てているんだ。」と言った。そして、私を家族のように感じ、他の人には出さないような自分が出ると。酔いすぎるとわたしに悪口のようなことを言ってケンカになった。 彼にはわからなかったか

          縁のある男に会った日に、へびに咬まれた②

          縁のある男に会った日に、へびに咬まれた①

          私が縁のある男に出会うのは、これで2人目だ。 2人目の縁のある男と知り合ったのは数か月前。その頃、私はすごく朗らかで、やさしい世界にいて、でも、夜にもう許してほしいもう十分にやってきたじゃないかと泣き叫ぶことがあった。原因はないと思っていたけど、たぶん1人目の縁のある男が関係している。 1人目の縁のある男に会った時も、今考えれば、きつい状態だった。鉱物の会社できゃりあうーまんをすることを辞めた私は、みなかみへと引っ越し、フルリモートで制作会社のライターをしていた。 私は

          縁のある男に会った日に、へびに咬まれた①

          5/29文学フリマ出店

          参戦してます〜シ29にいます。よかったら、おしゃべりしに遊びにきてください^_^

          5/29文学フリマ出店

          バーマリモ#創作大賞2022

          ※縦読みはコチラ 「マリモには男女とかないの。暗い湖の底でも、太陽の光を受けて成長する不思議な生き物なんだって。」とマリモちゃんは言った。 マリモちゃんの本名を私は知らないが、昔からの常連さんが「とおる」と話しかけているのを見たことがある。 古ぼけた黒い錆色の街頭が並ぶ商店街。 ふわふわと大きな粒の雪が地面に落ちては消えていく跡をなんとなく追いながら、ポツンポツンとひとつ飛ばしくらいに、シャッターの閉まった店たちを通り過ぎる。 利根川にかかる細くて赤い橋へと商店街を裏手

          バーマリモ#創作大賞2022

          1/22メモ日記_アートの脳

          「この子つれて帰ります。」 夕方、家でぼーと映画を見ていたら、兄嫁から狐みたいな顔したチワワの写真と共に上記メッセージが送られてきた。 そろそろ本当にわんちゃん連れて帰りそうな雰囲気だなぁと思っていたけど、「ちょっと買い物に行ってくる」と出て行って数時間後に家族が増えることになるとは。かわいいあんどうれしみMAX。 ***** 午前中はリビングのソファでごろごろ。「最近何の本読んでるの?」と兄に聞いたら、茂木先生の「前頭葉を活性化させる本」と。前頭葉を活性化させると経営

          1/22メモ日記_アートの脳

          1/21 メモ日記_真珠のしくみ

          今日は姪っ子とネコちゃんの誕生日会だった。 ネコちゃんは、前働いていた会社の同僚のお姉ちゃんが段ボール箱に捨てられているのを発見して、そのご縁で家にやってきたのでいつ生まれたかはわからない。けど、同僚家族が拾った時に連れて行った病院の先生は「年齢は、1月くらいに生まれたっぽい、くらいだね。」と言っていたらしい。 その話を姪っ子にしたら、「○○ちゃん(姪っ子は自分のことをよく○○ちゃんと言う。その口癖がうつって私は自分のことをよっちゃんはね、とよく言ってしまう。)とくろしろは

          1/21 メモ日記_真珠のしくみ

          1/20メモ日記_おさかなの真相

          姪っ子の誕生日アイスケーキについていたドライアイスを、義理のお姉さんがボウルに入れた。 「子どもたち、これが好きなの。」と言って、ボウルにお湯を注いだ。ふーんと言いかけて、もくもくもくー! すんげーと口からもれる。飲みながらずっと見ていられる。 夜ごはんは、もつ煮、カブときゅうりの塩漬け、白ご飯、たこ焼き、めかぶ、野菜の味噌汁、サラダチキンレモン味を食べた。 夜、上の姪っ子に「そういえば、昨日言ってた道徳のお魚の話って何だったの?食べたくなっちゃったってやつ。」と聞いた

          1/20メモ日記_おさかなの真相

          八月の銀の雪。「地球の内核にも、雪が降るんですよ。」

          伊予原新さん著書の「八月の銀の雪」を読んだ。短編を1つだけ。 気になったことをメモしておこうかと思ったけど、それだと本の内容なのか後でごちゃごちゃになるなと思ってメモじゃなくて少し書くことにした。 理工学部の大学4年生の僕は、就職活動がうまくいかず1社からも内定をもらえていない。行きつけのコンビニの店員で、日本語学校に通っていると思われるベトナム人「グエン」は、コンビニのどのような業務にもどんくさい仕事ぶりで、片言の日本語。僕は「使えないやつ。」とグエンのことを蔑んでおり、

          八月の銀の雪。「地球の内核にも、雪が降るんですよ。」

          1/19メモ日記_おおきなしゃぼんだま

          これはカフェで仕事をした日、帰り際にお店のドアの前で見つけた「鉢植えプレゼント」の写真。かわいかったので、撮った。自分の家に帰るのなら、連れて帰ったかもしれない。 夜、上の姪っ子と一緒にお風呂に入った。 姪っ子はボディソープ(何回もソーップてなって打ち直した)をたくさん追加して、胴と腕とでシャボン玉をつくっていた。 そんな大きなシャボン玉、飛ばせるわけないと思って、浴槽から見ていたが、 大きな膜をふーって吹いたらむっくって大きな半円のシャボン玉ができそうになってすかさず

          1/19メモ日記_おおきなしゃぼんだま