歌舞伎役者のハラスメントと宝塚歌劇団でのいじめについて。曖昧な言葉づかいはやめるべき。
市川猿之助氏の両親が亡くなった事件、自殺ほう助の罪で懲役3年執行猶予5年の判決が彼に下された。
量刑は司法が厳格に判断した結果である(と信じる)ので言うことはないが、判決を受けて彼が出したコメントに引っかかるものがあった。
「今後は、生かされた自分に、これから何ができるか考えていきます」というものだ。
公判中の彼の発言にも同じような違和感をおぼえた。
「この反省を一生背負っていく」、「歌舞伎で償っていきたい」、「...反省し、申し訳なく思うとともに、支えてくださっている皆さまに感謝の思いでいっぱいです。何かできること、僕にしかできないことがあれば、それをさせていただき、生きていく希望とさせていただきたいと思っています」、云々。
これらは報道によるものなので、彼の発言そのものかは分からないし、その真意は読み取れない部分もあるが、彼が自分のことを悲劇の主人公か何かと思っているように感じられた。そこに違和感をおぼえたのだ。
この事件の発端とされる週刊誌報道(彼のセクハラ・パワハラ疑惑)が事実であれば、浮かばれないのはハラスメントの被害者だ。
ハラスメントが原因で職を変えざるをえなかった人、心に深い傷を負った人がいるだろう。自殺を考えた人だっているかもしれない。
失意のうちに職を失った被害者が再び歌舞伎の仕事に携わることのできる可能性は低いだろう。
自殺ほう助という罪を犯した人間は数年後に復帰するかもしれないのに。
少なくとも本人はそれを望んでいて、サポートする人(彼の復帰によって利益を得る人)もいるようだ。
宝塚歌劇団でのいじめ・パワハラ問題も報道されている。
上級生から下級生に対していじめ・パワハラがおこなわれ、劇団員の女性が自殺してしまったというものだ。
劇団側は外部の弁護士らが調査した結果を公表し、「いじめやハラスメントは確認できなかった」としている。
実態は知る由がないが、第三者による公平・客観的な調査であったとはいえないとも言われている。
二つの事件を受けて、曖昧な言葉づかいはやめるべきだとあらためて思う。
ハラスメントやいじめではなく、暴行、傷害、脅迫、強制わいせつといった適切な言葉を使い、それらが犯罪なのだという意識を社会全体でより共有していくべきだ。
その結果として犯罪行為が減っていけばいうことはない。
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