#57 見過ごされがちな「読むプロセス」こそ、深く読むためのカギ
こちらは一部のみの書き起こしです。 読書のコツが満載の「お悩み相談コーナー」は、Podcast限定でお届けしています。
▽本編ではこんなお悩みに回答中
見過ごされがちな「読むプロセス」が深い読解のカギ
こんなお悩み、お持ちではないですか?
ヨンデミーの運営するLINEの無料相談窓口「教えて!ヨンデミー」にも、似たようなお悩みがたくさん寄せられています。
読書は、「楽しく・たくさん・幅広く」の順に進めていくのが大事。
つまり、お子さんが本を楽しい!と思う気持ちが一番大切なんです。
読み方や理解について思うことがあっても、基本的には楽しんでいる姿を見守りましょう。
▽「楽しく・たくさん・幅広く」については、ミカタラジオ第48回をご覧ください。
ただし、「楽しい!」という気持ちがキープできているなら、どんどんステップアップしていくことも大歓迎です。
今回は、「楽しい!」状態を保ちつつより深い読みができるようになる、魔法のような方法をご紹介していきます!
読書感想文の道は失敗から!?プロセスの大切さ
その方法をご紹介する前に、夏休みに開催した読書感想文のワークショップについて少しお話させてください。
実は、このイベントでは「読書感想文を作ることに失敗する様子を見せる」ことを大事にしていたんです。
つまり、感想文を書くために試行錯誤しているところを見ていただこうとしたんですね。
具体的には、感想文のタネになる「ひとこと感想」の例をいくつか挙げて、それに肉付けしながら感想文を組み立てる方法を解説しました。
「読書感想文を書いて」と結果だけを求められると難しいことも、プロセスが分かればすんなりできるんです。
ここから、あることがわかります。
「結果よりもプロセスが重要だ」ということです。
テストだって、勉強の仕方や教科書の読みこなし方はよくわからないまま、点数だけが結果として返ってくることが少なくありません。
しかし、その結果に至るまでのプロセスこそが、実は成長のカギなんです。
これはなにも、お子さんに限った話ではありません。
やり方も教わっていないのに、「この仕事やって!」「やるからには結果出して!」と言われる、そんな経験ありませんか?
「やり方さえ教えてくれればできるのに……」と思ってしまいますよね。
でも、そうした場面でもうまく結果を出すところまでたどり着ける人っていませんか?
そんな人は、いきなり正解を出そうとせずに、まずはやってみて、うまくいかなかったら改善して……というトライアンドエラーが上手なんです。
「まねぶ」力で楽しく深く読む
少し話がそれましたが、大事なのは結果よりプロセス。
それなのに普段はいきなり成果や結果が求められて、どうやって進めるのかを教わることはあまりありません。
しかし本来、やり方さえ見せてあげれば、子どもたちは自然といろいろなことができるようになるんです。
お子さんたちには、真似ることを通じて学ぶ「まねぶ」力が備わっています。
お手本さえ見せてあげれば、真似を通じてどんどん吸収して、自分のものにできてしまうんです。
▽「まねぶ」力については、Yondemyのこちらのnote記事をお読みください。
お手本と言っても、完成品や結果だけを見せてもできるようにはなりません。
先ほどの読書感想文の例で言えば、コンクールで金賞を受賞した読書感想文を見せられても、同じような完成度の感想文をすぐに書けるようになるわけではないですよね。
ここでも大事なのは結果よりプロセス。
単なる成果を示すだけでなく、やり方を教わると、その背後にある工夫や努力を理解でき、どんどん成長できるんです。
これは読書でも同じです。「本を1冊読み切った」という結果の前に、さまざまな試行錯誤が隠れているんです。
本を読むと、どんなことが次に起こるか考えたり、登場人物がどんな気持ちか想像したりしませんか?
文章から絵を思い浮かべたりもしますよね。
どんどん読むと、その答え合わせをすることができます。
最初の考えが当たってるかはあまり大事じゃないんです。
気づかないうちに考えたり、答え合わせをしたりするのが、読むのが楽しくなる理由なんです。
ここで、冒頭でご紹介したお悩みについてもう一度考えてみましょう。
お子さんが本を読み終えたあとに感想を聞いて、「深い考察ができたのか」「正しく内容を理解できているか」だけに注目してしまっていませんか?
これはまさに、「結果」ばかりにこだわってしまっている状態です。
そもそも、読み方なんてわからなくて当たり前なんです。
読み聞かせで楽しんでいるうちは、保護者さまの声色や表情が読解の補助になります。
しかし、お子さん一人で読むようになると、すべて自分で考えて理解しなければいけません。
間違えて当然です。
それよりも、「お子さんがどのようにその結論にたどり着いたのか」に注目してみてください。
最終的に正しい解釈ができていなくても、「楽しい!」と思いながら読めているお子さんは、とてもたくさんのことを考えられているかもしれない。
ああでもない、こうでもない、と試行錯誤しながら、とても素敵な時間を過ごしているかもしれないんです。
そしてそのプロセスは人それぞれで、どれが正しいとか、間違っているとか、そういう話ではありません。
あくまで楽しく読めているか、それが大事なんです。
読書をもっと楽しくする「読書家のワザ」
「でも、読むプロセスなんて複雑そう……どう伝えたらいいの?」と思うかもしれません。
そこで、ヨンデミーでは最近「読書家のワザ」を導入しました。
これは、読書家が本を楽しむときに自然と使っているワザのこと。
誰でも読む「プロセス」を上手に学ぶことができるんです。
ヨンデミーオンラインでは、ミニレッスンや自由記述の感想のヒントで登場する予定です。
読書教育全般で使えるワザなので、ヨンデミーを利用してもいなくても役立ちます。
読書家の先輩として、保護者さまからお子さんにどんどん伝授してください!
実は、「読書家のワザ」は、風越学園の見学をもとに生まれたんです。
風越学園では、「優れた読み手の使う7つのワザ」と呼ばれていました。
あすこまさんにお聞きしたところ、この7つのワザは『「読む力」はこうしてつける』という本で紹介されていたものとのこと。
▽風越学園でのエピソードは、ミカタラジオ第53回をご覧ください。
読書教育に関する本や論文を読んだり、Yondemyとして導入するならどのような形がいいのか議論を重ねたりして、Yondemy流の形にしたものが「読書家のワザ」。
今までに、こんなワザを紹介してきました。
「思い描く」:五感を使って場面を自分なりに想像すること
「つなげる」:本の内容と自身の経験や周囲の人の繋がりを考えながら理解すること
「認める」:読書をしながら、自分とは違う価値観や考え方を知り、自分の正しさや間違いを認めること
▽読書家のワザ「認める」については、ミカタラジオ第55回をご覧ください。
読書家のワザはすべて、読み終わった後ではなく読んでいる途中に関するアプローチ。
どんなふうに考えて楽しむか、ということが重要なんです。
読書の楽しみとプロセスの大切さ
読書のプロセスを楽しむことができない場合、どのような問題が生じるのでしょうか?
そもそも、読書のプロセスを楽しめていない状況って、どんな状況なんでしょう?
それは、ストーリーの流れをただ追って楽しんでいるだけの状況です。
ストーリーの流れだけを追うのであれば、読書よりもYouTubeのほうが手軽です。
忙しいお子さんの心を読書につなぎとめるのは難しくなっていきます。
ただ、ストーリーの流れを楽しむこと自体は悪いことではなく、むしろ、読書を好きになるために必要不可欠なスキルです。
でも、そこからプロセスを楽しめるようになるには、もう一歩ステップアップする必要があります。
そのときに良い方法が「考え聞かせ」です。
考え聞かせには、素敵なところがたくさんあります。
①読書のプロセスをお子さんと共有できる
保護者さまはお子さんにとって、読書家の先輩。
そんな先輩が考えたことや感じたことに触れながら読み進めることで、本の楽しみ方がどんどんわかるようになるんです。
②間違ったことを言っても大丈夫!
「そうじゃないよ、こうやって書いてあるじゃん!」など、ツッコミを入れながらだとより会話も盛り上がるかもしれません!
何より、お子さんにとっては「ツッコミ=間違いの訂正」。
自分の予想やイメージを修正したり、間違いを探して丁寧に読んだりする練習にも◎
③どんな年齢のお子さんにも効果的
「考え聞かせ」は読み聞かせの発展形。
そもそも、読み聞かせ自体、幅広い年齢のお子さんに効果のある読書の楽しみ方なんです。
発展形の「考え聞かせ」も、年齢に関係なく効果があります!
▽「考え聞かせ」以外のアプローチも知りたい!という方はミカタラジオ第27回をご覧ください。
「考え聞かせ」は、誰にでもできます。
特別なことを言わなくても、読みが間違っていても、むしろそれがお子さんの成長機会に通じているかもしれないんです。
豊富な読書体験や、完璧な読みがあっても、なくても、楽しい時間になること間違いなしです。
大事なのは結果よりプロセス。考え聞かせを通じて、読書のプロセス自体を楽しむ姿勢を身につけていきましょう!
最新回はPodcastで先行公開しています。
『おうち読書のミカタラジオ』特設サイト
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