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イルカ座の女

昭和を4日だけ生きたという、稀有な私。



生まれるのが、あと4日遅かったら、
私も「Hey! Say! JUMP」に入れたかなと思いつつ(笑)、
令和もいよいよ、3年目を迎えようとしています。





今日はそんな私が、昭和の恋愛模様を描いたnote小説、
武広しんじ🎍 さんの「昭和、渋谷で、恋をしたり」をご紹介します。




昭和50年代の渋谷。



地元・福岡を離れ、都内で大学デビューを果たした泰輔。



バイト先のプラネタリウムで、同い年の夏奈恵と出会うも、
そこから始まる、すれ違いの恋愛模様が繰り広げられます。






あらすじを4行にまとめると、以上となるのですが(笑)、
この作品の魅力や面白さについて、掘り下げていきたいと思います。






まず、率直な感想として読みやすいです。



著者ご本人が、"朝ドラ感覚で読めるよう"意識されており、
1話あたり、およそ2,000文字弱で収められています。



これは、文庫本で読んだ場合の3~4ページ程度なので、
ちょっと気軽に読んでみることもできる分量です。



また、10話分をまとめた記事も、別途投稿されています。




1~10話のハイライトだけでも十分読みやすいにも関わらず、
PDF版では何と、その全容が"ペラ1"でまとめられています。



この辺りは、著者ご自身が広告のお仕事に携わられる中で、
"紙1枚で伝える"重要さを、強く意識されているのだと思います。



文庫本などの小説は、個人的に"一発勝負"感が強く、
その1冊で伝えきったものが全て、という印象があるのですが、
作品の世界に毎日浸っている著者と、初めて触れる読者では、
文章を読んで認識できる世界が、大きく違ってきます。



著者・読者間に横たわる、認識の大幅な乖離を埋めるべく、
noteの様々な機能を使って、より伝わりやすくする試みは、
文庫本にはない、note独自の面白い手法だと感じます。



以上、作品のパッケージ面について触れました。






以下、作品内容に対する感想を述べていきたいと思います。




ネットも携帯もない昭和50年代。



まず驚かされるのが、恋愛に課されるハードルの高さです(笑)。



限られた娯楽と、公衆電話や郵便を駆使しながら、
自分が何者で、相手にどれだけの想いがあるのかを伝える。



家で何でも楽しめて、ネットで婚活もできる現代と比べ、
より、想像力と行動力の大きさが問われるように感じます。



一方で、大学生なのにそんなに勉強しない所や(笑)、
学生時代の恋愛が、打ち上げ花火のように刹那的なのは、
今も昔も、さほど変わらないんだなと思わされます。






あと印象的だったのは、主人公・泰輔が想いを寄せる、
バイト先のプラネタリウムで出会った、夏奈恵の言葉です。




"私とは住む世界が違うから"




今、こうして同じバイト先で仕事を共にしながら、
一緒の場所で、幾度となくデートをしているにも関わらず、
泰輔と夏奈恵は、"住む世界が違う"のだそうです。



その後、徐々に明かされていく夏奈恵の壮絶な過去に、
泰輔は言葉を失う程の衝撃を受けるのですが、
そういった流れを見ていて、改めて感じることがあります。





人は思った以上に、"過去と未来しか見ていない"ということです。





手を伸ばせば届く所に、今この瞬間いる相手との間に、
想像を絶する程の大きな距離を感じることは(笑)ままあります。



その大きな距離を作り出すものが、一体何かと考えたとき、
それは、各々が経験した過去と、自身が描く未来像ではないでしょうか。



いくら目の前にいても、上記2つが自分と大きく乖離している人では、
それは"住む世界が違う"人であると感じるのだと思います。







他にも、面白い場面や考えさせられるポイントは多々ありますが、
物語にご興味を持たれた方は、是非、本編をお読み頂ければ幸いです。



現在、第2章までが掲載されており、
最終章となる第3章が、今後、掲載される予定だそうです。


以上、武広しんじ🎍 さんのnote小説、
「昭和、渋谷で、恋をしたり」をご紹介しました。






お正月も残り僅かではありますが、面白い物語を読みつつ、
寒波にはくれぐれも気を付けて(笑)、お体、ご自愛下さい。



それでは、素敵な新年を。

その100円玉が、誰かの生きがいになります!