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中谷宇吉郎は弟子らとともに森羅万象帳というのを作って、不思議なものや美しいと思ったもの…

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中谷宇吉郎は弟子らとともに森羅万象帳というのを作って、不思議なものや美しいと思ったものについてまとめていたという それの俺版です ふだんは銀河の研究をしています twitter -> @yolajojo

最近の記事

花火と星

花火の色の科学を語ることは、理系がするつまらん話の定番のような扱いを受けて久しい。そんな昨今の立ち位置を理解しながらも踏み込みたい花火の科学があるのです。 花火の花弁となる火薬のことを星という。星には出したい色によって異なる火薬が使われていて、ここで出てくるのが化学の授業で習う炎色反応である。リチウムは赤、ナトリウムは黄、カリウムは紫、ストロンチウムは紅、とか、まあ花火を前にでもしなければ使うことのない知識かもしれない。星は、菜種の実だとかを芯としてその周りに層状に「焔色剤

    • 続・シン・イルミネーション探訪

      この間、シン・イルミネーション探訪というnoteを書いた。そこでの主眼は星空にあったが、そんなの書くなら最先端の街中のイルミネーションのこともちゃんと知っておかないとねと思ったので六本木・けやき坂まで見に行くことにした。場所が場所なだけに、きっとそれなりの予算が投じられた最新のイルミネーションになっているはずという期待をもって。こちらの紹介サイトでは関東のイルミネーションでアクセス数ランキング3位とのこと。 ※いつもタイミングが悪くて申し訳ないですが、12/25で今年のイベ

      • 宇宙的和菓子・加賀紫雲石を語る

        この間北陸を旅行した。富山と福井に行ったことがないという友人についていろいろと回ってきたのだが、その旅の詳細は別の機会に記すとして、今回はそこで出会った宇宙を感じる銘菓を紹介したい。その名も加賀紫雲石。加賀温泉で泊まったホテルで連れて帰ったものだ。皇太子殿下献上お買い上げの品とのことで、この手のものは本当に間違いがないのでよく買っていく。近々人に会う予定もなかったのでとりあえず4個入りの箱にした。シンプルなデザインの丈夫な紙箱に、印象的な筆文字で書かれた商品名。雅である。

        • 富士吉田、音楽、志村正彦

          もしも過ぎ去りしあなたに、すべて伝えられたのならば。 かつてフジファブリックというバンドを率いていた男、志村正彦は2009年12月24日に29歳の若さでこの世を去った。今年を境に私は彼の過ごした年月を追い越し、これから永遠に離れていくことになる。大数学者ガロワは20歳、カート・コバーンならびに愚か者クラブの面々は27歳でこの世を去っている。彼らと比べて自分が人生で成したことの少なさを嘆きたいわけではない。しかしなぜか毎年、あと少しで追いついてしまうな、という意識があった。奥

        花火と星

          シン・イルミネーション探訪

          この記事は、天文系同人サークル『アインシュタインクロス』さんのAstro Advent Calendar 2022に参加しています。アドベントカレンダーということでそれっぽい話題をひとつ、と思いまして、今日はイルミネーションから話を始めてみます。 イルミネーションの起源を求めてイルミネーションは今やこの時期の飾りの定番ですが、その起りはどこにあるのでしょうか。Wikipediaやウェザーニュースの記事で語られている通説によると、森の中で見上げた星空に大いに感動した人がそれを

          シン・イルミネーション探訪

          眠れなさとのたうつ無意識

          寝付くのが苦手だ。ベッドに横たわり目を閉じても数時間眠れないなんて日もよくある。夕方過ぎてもコーヒーを飲みながら仕事しているせいかもしれないのでカフェイン断ちでもやってみようかと思っているが、実行には移せていない。あまりにも眠るのが下手なものだから、自分は月で生まれた月人間で、太陽が刻む24時間の光のリズムとは別に月が刻む24時間と50分のリズムで生きているのではないかと思うこともある。それなら地球人の周期で規則正しく生きようとすると無理が生じてくるのも無理はない。いや、月生

          眠れなさとのたうつ無意識

          道東原付爆走旅行その4(完結) 屈斜路湖・川湯温泉・釧路湿原・釧路・羽田

          その3はこちら。 本日は昼すぎまでに原付を返し、あとは電車で釧路湿原を見てから釧路空港から関東に帰るという予定だ。 雲海を狙って日の出前に起き、屈斜路湖のハイランド小清水725に向かう。雲海も何も、すでにそこらじゅう薄い霧に覆われていたのだが。早朝の弟子屈ではかなりの回数道を横切る鹿と遭遇した。濡れた路面に霧で見通しも悪く、かなり気を遣って運転せざるを得なかった。 川湯温泉街を離れ屈斜路湖のほうへ登っていく。標高が上がるにつれ霧が濃くなり、気温も下がっていった。勾配もなか

          道東原付爆走旅行その4(完結) 屈斜路湖・川湯温泉・釧路湿原・釧路・羽田

          道東原付爆走旅行その3 別海・弟子屈・川湯温泉

          知床~別海のその2はこちら。 三日目の今日はいろいろ見て回ったので写真が中心になります。 別海パークホテルで目覚める。寒い雨の夜にたどり着いたのもあって寂しいビジホだと思っていたが、部屋を出てみると子どもたちが階段で遊ぶ声が聞こえ、なぜだがとても嬉しくなったのを覚えている。  何もなさを裏付けるかの如く、ホテルに貼ってあった町のPRポスターの売り文句は「プラネタリウムのような星空」らしいが、実は別海町鉄道記念館というものがあり、廃線となった標津線の思い出の品々が展示されて

          道東原付爆走旅行その3 別海・弟子屈・川湯温泉

          道東原付爆走旅行その2 知床、野付、別海

          その1はこちら 宿で朝食をとり知床へ。言わずと知れた観光地なので詳述はしないが、森に残された野生動物の痕跡が読めるようになると観察が捗り非常に面白く探索できるのでガイドの解説に聞き耳を立てることをおすすめする。遠くに熊の姿も見ることができた。 さて、面白いからといってあまり長居すると足の遅い原付では取り返せない旅程の狂いが生じる。今日の走行予定距離はざっくり180kmくらい。野付半島という日本最大の砂嘴に足を伸ばしたあと別海町のビジネスホテルに泊まる予定だった。宿を別海町

          道東原付爆走旅行その2 知床、野付、別海

          ふたご座流星群2020

          2020年12月13日深夜ごろ、ふたご座流星群が今年の活動のピークを迎えます。平たく言えば今週末は流れ星がめちゃ見えます。関東の予報は快晴! せっかちな方のために先に見方を説明します。やるべきことはただ一つ、21時ぐらい以降に、夜空をぼーっと30分くらい見上げるということ。2時くらいまでふたご座が高く上がるほど数は増えるので、晩ごはんとかいろいろすませて22時くらいから見始めるのがおすすめ。時間さえ合ってればどこ見ててもOKです。流れ星を見るために重要なのは、どの方向を見る

          ふたご座流星群2020

          銀河の春

          このタイトルは、アラブの春的なやつではなく読書の秋的なやつです。前回月の話をしたので今回はどうしようかな、時候に合ったやつがいいよな、、と思案した結果こうなりました。ただ申し訳ないことに、銀河はなかなか自力では見えません。こんなご時世だからと宇宙についてなんか書こうと思ってものした前の記事からもう一ヶ月経とうとしています。ということはまた満月(5月7日←訂正しました)が近づいているということなので、前回の記事をおともにまた観月を楽しみつつ、銀河の世界に思いを巡らせてみたいと思

          銀河の春

          月について

          ※まえおき読み飛ばしてもOK、見出し見て興味持ったとこだけ読んでもわかるようになっているので適当にどうぞ! コロナウイルスで大騒ぎの巷を満月が照らしている。三月に入ってからというもの明るい話題を聞くことがほとんどなくなった。暗いニュースが増えすぎて差し引き暗い、というだけかもしれないが、それにしても四月という比較的めでたく元気な月にあってこんな様子では先が思いやられるというもので、こんな時こそ我が専攻するところの学問・天文学にできることはないかと考えた。毒にもクスリにもなら

          月について

          道東原付爆走旅行その1 網走・女満別~知床

          真夏の道東を原付で旅した。 連日の猛暑と変化のない日々に疲れ切っていた8月、北海道では少しは快適に過ごせるだろうという期待を上回り、原付で風を切る僕の身体はむしろ冷え切っていた。気温は二十度を切り、時折雨がヘルメットのシールドを濡らした。そして三日間とも天候に恵まれないまま旅の終着点、釧路は幣舞橋へ。世界三大夕日が見られるというこの場所も、笑えるほど見事に灰色だった。それでも広大な北海道の大地を走るのはいいものだった。 夜景を見下ろして羽田に帰り着く。色とりどりの街灯の森

          道東原付爆走旅行その1 網走・女満別~知床

          曇りの夜明け

          曇りの夜明け前には、何も始まらせまいという強い意思を感じる。(誰の?) 昨日の酒が残ったか、右足がじんじんと痛んで眠れない。真っ暗な部屋のベッドの上で、意味もなく体の上下を入れ替えたり上体を起こしたりしていたが、ついに灯りをつけてしまった。午前三時半すぎ、腹が減りすぎてもう寝直すことは不可能に思えた。しばらくの何も考えない間のあと、コンビニ行こうと思い立った。どうしてもなにか温かくて塩気のあるものが食べたくなった。 普段は夜明け前の散歩のときにはiPodを欠かさない。夜明

          曇りの夜明け

          風の強い日

          毎日自転車に乗る。中学高校時代も自宅から自転車で20分ほどかけて通学していた。通学路の大部分は一面に田んぼが広がる農道で、風の影響によって大きく体感スピードが変わったのを覚えている。朝はぎりぎりに家を出ることが多かったので、風が強くて遅刻するというのは深刻にありうる話だという実感を持っていた。なんで行きも帰りも向かい風がつらいんだ、どっちかは楽させろよ、などと当時は考えていたが、今思えば海風陸風とか言うように朝と夕方では風向きが違っているほうが自然なのかもしれない。それに実際

          風の強い日

          星を見る

          星を見るのは楽しい。星を見るようになって7年ほどになるが、ひとくちに星を見るといっても本当にたくさんの楽しみ方がある。これをたくさんの人と共有して、みんなが星を見る生活を送るようになってほしいと日々密かに願っているので、まずは自分が星にハマッた最初の体験を思い出してみる。 星に親しみはじめたきっかけは大学入学と同時に天文部に入ったこと。もともと天文学は好きだったけど、それは望遠鏡で撮った星雲や銀河のきれいな写真であったり、宇宙のかなたにある物体としての月や太陽が好きというこ

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