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宇宙的和菓子・加賀紫雲石を語る

この間北陸を旅行した。富山と福井に行ったことがないという友人についていろいろと回ってきたのだが、その旅の詳細は別の機会に記すとして、今回はそこで出会った宇宙を感じる銘菓を紹介したい。その名も加賀紫雲石。加賀温泉で泊まったホテルで連れて帰ったものだ。皇太子殿下献上お買い上げの品とのことで、この手のものは本当に間違いがないのでよく買っていく。近々人に会う予定もなかったのでとりあえず4個入りの箱にした。シンプルなデザインの丈夫な紙箱に、印象的な筆文字で書かれた商品名。雅である。

箱を開けると、和紙のようなもの包まれた菓子が四つ並んでいる。その紙のなかに直に加賀紫雲石は鎮座している。ちょっと例にない高級感である。すりガラスのようなクールな見た目の寒天のかたまりの中に、ふっくらと炊き上げた丹波の大納言小豆と備中の白小豆が埋め込まれている。一口かじってとても驚いた。食感にも断面の見た目にも、なぜか星空を感じたからだ。中身の寒天は無色透明で、そこに埋め込まれた小豆たちはさながら銀河に散らばる星形成領域、あるいは宇宙の大規模構造を思わせる。噛み進めているときに浮かんだ擬音は「シュワシュワ」だった。炭酸の発泡は天の川に散りばめられた微細な星を思い起こさせる。そして同じみやげ屋で買った加賀棒茶とともにいただくと、いにしえより愛された無敵のマリアージュの圧倒的正しさをわからされる。数センチ四方のかたまりをえらくもったいぶって食べ進めていった。

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↑伝わるだろうか、このキラキラ感が……。

石川みやげといえば中田屋のきんつばも有名で、こちらも大変おいしかった。見た目もなんだか紫雲石に近しくて、こちらにも宇宙を感じなくもないなと思っていたがどうやらきんつばという名はもともとぎんつばだったものが縁起のよさからきんつばに変更されたものであるらしい。今でこそ星型の物体が金色に塗られることも多いが、「銀」河という言葉をみても実際の夜空を見ても、やはり銀こそ星のかがやきを示すにふさわしい色(?)である。まあみやげとしてはそんな王道ももちろんよいが、加賀紫雲石もたいへんおすすめである。石川通ぶれることうけあい。加賀棒茶とともにぜひ召し上がれ。

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